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魂喰い覚醒で最強へ成り上がるFランク少女、意識を奪う闇と共に歩む  作者: beck2026


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第三十七話:水底の蛇と、狡猾なる毒の檻

第十二層――そこは、協会が公式な調査リストから外している「死の淀み」だった。

天井からは絶えず酸性の雫が滴り、足元には猛毒の澱んだ沼が広がる。霧のように立ち込める毒素は、通常の探索者ならば一時間もあれば呼吸器を焼き切られるほど凶悪だ。

「……ここなら、誰の目も届かない」

三月は『毒耐性』を働かせ、酸性の霧を飲み込みながら、獲物を待った。

この階層の主、『水底の蛇』は、毒の霧に身を潜め、獲物の視界を奪ってから確実に仕留める残忍な魔獣だ。

(……来た)

水の揺らぎ。

『気配察知』が、背後の澱みから忍び寄る巨大な影を捉える。

三月は瞬時に身を翻し、磁力操作で足元の金属鉱石を泥ごと持ち上げ、蛇の眼前に叩きつけた。

シュゥゥゥ……ッ!

酸性の沼と金属が反応し、猛烈な煙が上がる。

視界を奪われた蛇が暴れ、尾で周囲の壁を粉砕する。三月はその荒ぶる尾を足場にして跳躍し、蛇の喉元に肉薄した。

彼女が求めるのは、蛇の「強靭な魔力回路」そのものだ。

(すべて、私の血肉に。……協会に差し出す『偽りの回路』の燃料になりなさい!)

三月は蛇の鱗を切り裂き、直接その心臓へと指を突き立てる。

魂の核が、指先から彼女の体内に流れ込んでくる。

これまでの魔鎧兵のような力任せのエネルギーとは違う。蛇の魂は、毒を扱い、環境を支配する「精緻な毒の技術」を持っていた。

(……これだ。これを使えば、回路の魔力干渉を遮断できる)

数十分後。毒の沼の中に、魔力を失った巨大な蛇の死体が浮いていた。

三月は血と泥に汚れながら、静かに立ち上がる。

体内の魔力循環は、以前よりも格段に精密なものへと変貌していた。

「……これで、二週間。あと一週間で、私は彼らの用意した檻を『喰らう』準備ができる」

彼女は、自身の皮膚の下を流れる魔力が、まるで神経の一部のように蛇の毒と調和しているのを感じた。

もし明日、協会の回路が埋め込まれても、この毒の魔力で回路そのものを腐食させ、機能不全に陥らせることができるはずだ。

帰り道、ギルドへと続く長い階段を上りながら、彼女はふと立ち止まった。

頭上に設置された監視カメラの赤いランプが、彼女の顔を無機質に照らす。

(見てるんでしょう、高橋。……私の、この無防備な顔を)

三月はわざと、疲労困憊した様子でよろめいて見せた。

心臓の鼓動をあえて速め、恐怖に怯える少女の演技を完璧にこなす。

協会という組織は、彼女が「弱くあればあるほど」喜ぶ。

ならば、彼らの前では、誰よりも弱く、誰よりも怯えていればいい。

(……踊ってあげるわ。その回路の手術台の上で、ね)

彼女は、自分の中に住まう「怪物」を、以前にも増して静かに、冷酷に閉じ込めた。

明日も、明後日も、いつも通りの「新人探索者」の顔をして、彼らの前に立つ。

だが、その内側には、かつてないほど濃密な、迷宮の毒と殺意が渦巻いている。

彼女の戦いは、迷宮の最深部だけでなく、協会本部の手術室という名の食卓で、すでに始まっていた。

第三十七話をお読みいただき、ありがとうございました!

第十二層の過酷な環境と、毒を持つ魔獣『水底の蛇』。

それを攻略し、その能力を自身の防壁として取り込んだ三月の執念。

彼女は「ただ強くなる」のではなく、回路を無効化するための「毒の技術」を準備し始めました。

高橋たちが用意した「回路」の手術まで、あと一週間。

偽りの開頭に向けた準備は整いつつあります。

この話が面白い、続きが読みたいと感じていただけましたら、ぜひブックマークや**評価(↓の☆☆☆☆☆)**で応援していただけると、執筆の大きな励みになります!

それでは、第三十八話でお会いしましょう!

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