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魂喰い覚醒で最強へ成り上がるFランク少女、意識を奪う闇と共に歩む  作者: beck2026
第五章:深淵の門(アビスゲート)。見えざる少年指揮官と、最強の主人公の蹂躙劇

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337/353

第337話:第二十九階層『創世の神竜峰』。改竄された契約と、神代のペット(中編)

「マ、待テェェェッ!! ソレヲ押セバ、マナガ暴走シテ我ガ――」

第二十九階層『創世の神竜峰』。

空中に浮かび上がった何万文字にも及ぶ神代の詠唱(利用規約)を、怪力で一番下まで物理スワイプした三月が、古竜の顔面に向かって『同意』のストレートパンチを放った。

「同意(ポチッ)!!!!」

ドゴォォォォォォォォォォォォォンッ!!!!!!!!

神話の時代より生きる白銀の古竜の顔面に、長き眠りを経て極限まで研ぎ澄まされた三月の【怪力(極)】が、一切の情け容赦なくクリーンヒットした。

「ガ、ギャアァァァァァァァァァァッ!?」

顔面がひしゃげ、眼球が飛び出んばかりの衝撃を受けた古竜は、巨大な霊峰の山肌に深々とめり込んだ。

しかし、真の絶望は物理的ダメージではなかった。

三月が『同意』のパンチを打ち込んだ文字列の一番下。

そこには本来、古竜が仕組んだ【この詠唱を聞き届けた者の魂を、永遠に我が贄とする】という、神代の絶対隷属契約が刻まれていたはずだった。

「グ、フフフ……。愚カモノ、メ……。我ガ顔面ヲ殴ロウトモ……『同意』シタコトニハ変ワリナイ……。コレデ、貴様ノ魂ハ我ガモノ……」

顔面から血を流しながらも、古竜は勝利の嘲笑を漏らした。

古代魔法の契約は絶対。どれほどデタラメな腕力を持っていようと、システムとしての魔法陣に「同意」の魔力(衝撃)を通した時点で、三月の魂は古竜の奴隷となるはずであった。

カァァァァァァァァッ……!!

空中に展開されていた黄金のルーン文字が、契約成立の光を放ち始めた。

しかし。

「……ピ、ピガッ? ……アレ? ルーンノ配列ガ……オカシイ……ゾ?」

古竜が、自身の展開したはずの契約文を見上げて、間抜けな声を漏らした。

そう。三月は先ほど、空中のルーン文字を『力任せに猛スピードでスワイプ(引きずり下ろした)』したのだ。

その際、あまりにも強すぎる物理的な摩擦と空気抵抗によって、空中のルーン文字がグチャグチャに混ざり合い、完全に【文字化け(改竄)】を起こしてしまっていたのである!

【この詠唱を聞き届けた者の魂を、永遠に我が贄とする(主:古竜、従:三月)】

という絶対的な文章が、三月の物理スワイプによって。

【このポチッを聞き届けた我の魂を、永遠に三月の贄とする(主:三月、従:古竜)】

という、主従が完全に逆転した、前代未聞のトンデモ契約文に書き換わってしまっていたのだ!

「なっ!? マ、待テ待テ待テ待テッ!? 契約文ガ……物理的ナ摩擦デ、入レ替ワッテイルダトォォォッ!?」

『はい! 契約成立ですわね!!』

インカムの向こうで、クロエ・アーヴィングが高らかに宣言した。

『利用規約(スパム)の隠し条項など、お姉様の神域の腕力(スワイプ)の前では完全に無意味! 物理的摩擦で文章を改竄し、逆に敵の全権限を奪い取る! これこそが、拓也様が意図した究極の【悪質サイトのクーリングオフ戦術】です!!』

「そっかー! アプリの利用規約に同意したから、これでゲームのキャラ(古竜)は私のものになるんだね!」

三月が、満面の笑みでバンザイをした。

「フザ、フザケルナァァァァァッ!! 我ハ神代ノ古竜! キサマノヨウナ小娘ノ所有物ニナド――」

ピキィィィィィィィィィィィンッ!!!!

古竜の悲痛な叫びを掻き消すように、主従逆転の契約魔法が完全に作動した。

『同意』のサインが強制実行されたことで、階層全体を満たしていた莫大なマナが、暴発するどころか「契約者のペットとしての適正サイズ」に収束すべく、古竜の巨体を強烈に圧縮し始めたのだ。

「ア、アババババババッ!? 我ガ……我ガ百メートルノ誇リ高キ肉体ガ……縮ムゥゥゥゥッ!?」

シュゥゥゥゥゥゥゥン……!!

黄金の光が収まった後。

霊峰の頂、三月の足元にいたのは……先ほどまでの世界を滅ぼす神代の古竜ではなく。

「……キュゥゥゥ……」

全長わずか30センチ。

両手でひょいっと抱えられそうなサイズの、白銀の鱗を持った『トカゲのようなミニドラゴン(Sランク魔核入り)』であった。

「わぁっ! ちっちゃくて可愛いー!」

三月が、目を輝かせてミニドラゴンを両手で抱き上げた。

「……我ハ……神代ノ……誇リ……」

ミニドラゴンは、完全なる屈辱と敗北感に、ポロポロと悔し涙を流していた。

「『同意』のボタンをポチッて押したから、今日からお前の名前は『ポチ』ね! よろしく、ポチ!」

「キュ、キュピィィィィィィッ!?(ポチダトォォォォォッ!?)」

世界を滅ぼす神代の古竜(エンシェント・ドラゴン)が、昭和の犬のようなネーミングを付けられ、完全に『利用規約のオマケのペット』へと成り下がってしまった瞬間であった。

「ふふっ。新しい仲間が増えたね、ザイオンお兄ちゃん!」

三月が、ポチ(古竜)を抱きかかえながら、後ろを振り返る。

そこには、先ほどの階層で究極の柔軟剤を浴び、体積が3倍に膨れ上がった『極上のフローラル・モフモフ狼』ことザイオンが、フワフワの尻尾を揺らして鎮座していた。

「……クゥン(……ようこそ、絶対強者の理不尽なる世界へ。安心しろ、新入り。どれほど絶望しようと、このフローラルな毛皮に包まれれば、すべてはどうでもよくなる……)」

かつてのSランクの誇り高き銀狼は、完全に悟りを開いた先輩ペットとして、ポチ(古竜)の頭を優しく前足で撫でた。

「キュゥ……(先輩……)」

神話の魔獣同士が、かつての威厳を完全にドブに捨て去り、ただの『フワフワの犬』と『ペットのトカゲ』として、謎の友情(諦観)を育み始めていた。

「にゃはは! ポチちゃん、よろしくにゃー!」

ルルも、すっかり小さくなったポチを怖がる様子もなく、ザイオンの背中の上から手を振っている。

かくして。

深淵迷宮の第二十九階層は、覚醒した最強スキルの物理攻撃ではなく、『利用規約の物理スワイプ(文章改竄)』と『同意のパンチ』という、現代のデジタル社会の理不尽な契約システムによって完全に踏破された。

一方その頃。

アビスゲートの外、東京・新宿の上空で防衛戦を死守していたSランク探索者たちの間では。

この『神代の魔法すらも同意(契約)で書き換えるバフ』が、彼らの戦場に、かつてない究極の「ルールの崩壊」をもたらそうとしていた。

次回(第338話・後編)は、この「敵の魔法(契約)を強制的に書き換えるバフ」が、外のSランク探索者たちに降り注ぎます!

いよいよアビスゲートも大詰め。次回もぜひお楽しみに!

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