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魂喰い覚醒で最強へ成り上がるFランク少女、意識を奪う闇と共に歩む  作者: beck2026
第五章:深淵の門(アビスゲート)。見えざる少年指揮官と、最強の主人公の蹂躙劇

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第331話:第二十七階層『死霊の呪墓』。悪霊の絶望(ホラー)と、恐怖の脱水コース(中編)

第二十七階層『死霊の呪墓』。

そこは本来、物理攻撃が一切通用せず、無限に蘇るゾンビと怨念が渦巻く、アビスゲート屈指の「サバイバルホラー」の舞台となるはずであった。

しかし今、真のホラー(恐怖)を味わっていたのは、人間側ではなく『魔獣(お化け)たちの方』であった。

「ギ、ギボェェェェェェッ!?」

「アバババババババッ!!」

三月が階層を水没させ、自身の純粋魔力を『漂白剤&フローラル柔軟剤』として溶かし込んだ巨大なプール(洗濯槽)。

その中央で、彼女が巨大な剣をパルセーター(回転羽根)として振り回したことにより、階層全体に『逃げ場のない超巨大な渦巻き(強力洗浄コース)』が発生していた。

数百、数千のアンデッドたちにとって、それは宇宙的恐怖(コズミック・ホラー)以外の何物でもなかった。

何百年も泥の中で蓄積してきたドロドロの怨念や呪いが。

凄まじい水流と、触れるだけで魂を灼く『神域の魔力(ハイター)』によって、強制的に剥がされ、白く漂白されていくのである。

「ヤメ、ヤメロッ! 我が五百年の恨みが……! 爽やかなお花の香りに上書きされてしまうぅぅぅっ!?」

「目が回るゥゥゥ! 成仏……強制的に、成仏させられるゥゥッ!」

怨念に塗れていた悪霊やスケルトンたちは、フローラルな泡にまみれながら巨大な洗濯機の中を猛スピードで引きずり回され、次々と「チーン!」という軽快な音と共に、ピカピカに輝く綺麗な魂となって強制昇天させられていった。

「よしよし、ガンコな泥汚れも綺麗に落ちてきたね!」

三月は、周囲の阿鼻叫喚(アンデッドの悲鳴)など一切気にすることなく、ニコニコと洗濯機(物理)を回し続けていた。

しかし、その時。

「……調子に乗るなよ、小娘ェェェッ!!」

渦巻く水流の中心、三月の背後にある空間が、泥のようにドロリと歪んだ。

現れたのは、第二十七階層の真の主――『アビス・レイス・ロード(Sランク)』。

数万の怨念を束ねた、実体を持たない最強の悪霊ボスである。

「物理的干渉が通じぬ我らならば! 直接その肉体の中に入り込み、魂ごと乗っ取ってくれるわァァッ!」

アビス・レイス・ロードは、三月の背後からヌチャァ……と張り付き、彼女の肉体(最強の器)を奪うべく『強制憑依』を仕掛けた。

いくら外側を洗濯しようと、中に入り込まれれば手出しはできない。悪霊としての絶対有利な究極の一手であった。

「ん? なんか背中がゾクッとした」

三月が、不思議そうに首を傾げる。

「フハハハハッ! 遅い! すでに貴様の肉体は我が呪縛の――」

「あ! 洗いの時間はもう終わりだね! 拓也、次は何て言ってたっけ?」

三月は、自身の背中にSランクの悪霊が取り憑いていることなど全く気にせず(そもそも物理ステータスが高すぎて呪いが通っていない)、インカムの奥の拓也の寝言を思い出していた。

『はい! 拓也様は「水流を最大にしろ」と仰っておられました! 洗浄の次は、一気に水分と汚れを吹き飛ばす【脱水コース】への移行です!』

クロエが即座にアンサーを返す。

「なるほど、脱水だね! それじゃあ、回転のスピード、もっと上げるよー!!」

三月は、水中に突き立てていた大剣を、これまでの比ではない『超音速』で横に回転させた。

ギュルルルルルルルルルルルッ!!!!!!!!

その瞬間、階層を満たしていた巨大な渦巻きが、竜巻のような【超巨大な遠心力】を生み出した。

「……ファッ!?」

背中に張り付いていたアビス・レイス・ロードが、間抜けな声を上げた。

三月の生み出した遠心力は、もはや「洗濯」の域を超え、空間の重力すらもねじ曲げるレベルに達していた。

その凄まじい物理的な回転Gは、三月の肉体(布地)から、ボス魔獣の魂(ガンコな汚れ)だけを、外側へと強烈に引っ張り始めたのだ。

「な、なんだこれはァァッ!? 我の魂が、引き剥がさ、れ……ッ!?」

「脱水、スタートォォォォッ!!!!」

「アババババババババッ!!!!」

ボス魔獣の悲鳴が、回転の風切り音にかき消される。

最強の憑依能力は、三月のデタラメな遠心力(物理)の前に完全に無力化され、ボスの魂は三月の背中から『ブチブチッ!』と音を立てて強制的に分離させられてしまった。

そして、そのまま凄まじい勢いで渦巻きの外側へと吹っ飛ばされ――。

ビターーーーーーーンッ!!!!

遠心力によって階層の壁に激突したアビス・レイス・ロードは。

水分も、怨念も、恨みもすべて完全に絞り取られ、まるで『シワシワになった真っ白なシーツ』のように、ペラペラになって壁に張り付いてしまったのだ。

ピピーッ。ピピーッ。

どこからともなく、洗濯の終了を知らせる軽快な電子音が鳴り響く。

渦巻きが収まり、階層を満たしていた水(魔力)が光の粒子となってフワァッと蒸発していく。

後に残されたのは、ホラーの欠片もないフローラルな香りに満ちた清潔な空間と、壁に張り付いてピクピクと動く「ペラペラの布切れ(Sランク魔核入り)」だけであった。

「ふぅー! お洗濯、おーわり! 綺麗になったね!」

三月が、満足げに額の汗を拭う。

『おおおおおおおおッ!!! す、素晴らしいッ!! 素晴らしすぎます、三月お姉様ァァァッ!!!』

インカムの向こうで、クロエがメガホンで歓喜の叫びを上げる。

『不浄なる死霊どもを、一切のホラー要素を無視して『ただの家事(お洗濯)』として処理する圧倒的な生活感(暴力)! 頑固な憑依すらも、遠心力で汚れとして分離させてしまうとは! 拓也様も、この究極の洗い上がりにさぞご満足されていることでしょうッ!!』

クロエが絶叫している、まさにその時だった。

「……にゃはははっ!! お兄ちゃん、すっごくフワフワなのにゃ! まるでお空の雲みたい!」

三月の洗濯機が引き起こした激しい水飛沫は、高台に避難していたザイオンとルルにも降り注いでいた。

「……あぁ。俺は……俺はついに、この極致へと辿り着いてしまったようだ……」

三月の純粋魔力による『極上の柔軟剤』をたっぷり浴び、さらに脱水コースの強烈な風圧(ドライヤー効果)を全身に受けた銀狼の獣人・ザイオン。

今の彼の姿は、もはや「狼」というよりも『巨大な銀色の綿飴』であった。

毛の体積が通常の3倍にまで膨れ上がり、全身から高級サロンのようなフローラルな香りを漂わせている。

「戦士としての殺気など、もう俺には必要ない……。この、ルルを包み込む究極のトリートメント(仕上がり)こそが、俺の存在意義だ……」

ザイオンは、自身のフワフワの毛皮にダイブして大喜びするルルを見つめながら、ついに戦士としての未練を完全に捨て去り、『最強のモフモフ』としての悟りを開いて歓喜の涙を流していた。

一方その頃。

アビスゲートの外、東京・新宿の上空で防衛戦を死守していたSランク探索者たちの間では。

この『強力漂白と、フローラルな柔軟剤バフ』が、彼らの戦局(と精神)に、凄まじいすれ違いの奇跡を起こそうとしていた。

次回(第332話・後編)は、この「漂白・柔軟剤バフ」が外のSランクたちに降り注ぎます! 魂の汚れまで洗い流された彼らの「美しい勘違い」にご期待ください!

よろしければ、ページ下部の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして応援していただけると、今後の執筆の大きな励みになります!

次回(第332話)もどうぞよろしくお願いいたします!

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