↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魂喰い覚醒で最強へ成り上がるFランク少女、意識を奪う闇と共に歩む  作者: beck2026
第五章:深淵の門(アビスゲート)。見えざる少年指揮官と、最強の主人公の蹂躙劇

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
314/362

第314話:第二十一階層『生命錬成の研究所』。絶対解体(スクラップ)と、魂の解放

「私が、ぜんぶ【解体(スクラップ)】にしてあげるッ!!!!」

如月三月(きさらぎ みつき)の、純度100パーセントの怒りが込められた絶叫。

それが広大な研究所内に響き渡った瞬間、第二十一階層の物理法則は、完全に、そして無慈悲に終焉を迎えた。

ドバァァァァァァァァァァァァァァァンッ!!!!!!!!

三月が、右手の一本で頭上に振りかぶった『魔鉄の塊剣』を、力任せに振り下ろした。

その一振りから解き放たれたのは、神域へと覚醒した【磁力操作(極)】の全エネルギーである。

それはもはや、ただ鉄を動かすといったチャチな次元の力ではない。空間に存在する『すべての金属と機械』に対する、絶対的な支配と破壊の命令であった。

ピキィィィィィィィィィィィンッ!!!!

「ギ、ガピーーーッ!? エ、エラー! エラーーーッ!!」

アビス・マッド・アルケミスト(Sランク)が、絶叫にも似た不協和音の機械音を上げた。

ボス魔獣の巨体を構成していた強固な金属装甲が、三月の極大磁力によって強制的に剥がされ、見えない巨大な万力で締め上げられるようにメリメリとひしゃげていく。

自己修復機能も、防御結界も、一切の意味を成さない。圧倒的な物理の暴力の前に、機械の身体が紙くずのようにクシャクシャに潰されていく。

しかし、三月の怒りは、ボス魔獣一体を破壊する程度では到底収まらなかった。

ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ……!!!!

「消えちゃえ……ッ! こんなお部屋、全部ッ!!」

三月が大剣の柄を両手で握り直し、さらに莫大な魔力を流し込んだ。

その瞬間。広大な研究所を埋め尽くしていた数万の『緑色の培養カプセル』が、一斉に内部から爆発するように砕け散った。

ガッシャン! バキィィィン! メリメリメリメリッ!!

ルルたち獣人を閉じ込めていた忌まわしきガラスの揺り籠が、跡形もなく粉砕される。

それだけではない。壁や天井を這う無数の太いパイプライン、銀色の金属壁、天井の照明、さらには床の鉄板に至るまで。

研究所を構成する『ありとあらゆる金属』が、凄まじい引力と圧力によって、床からメリメリと引き剥がされ、宙へと浮き上がったのだ。

何百万トンという途方もない質量のガレキが、三月が剣を向けた上空の「一点」に向かって、巨大な竜巻のように吸い上げられ、激しく衝突を繰り返していく。

『ピピピ……論理演算、不可能……。物理法則の、崩壊……。この力は、神、か……?』

ボス魔獣もまた、なす術なく宙に浮き上がり、周囲から殺到してくる金属のガレキの渦に飲み込まれていく。

それが、冷酷に命を弄んでいた機械の悪魔が残した、最後の音声だった。

「……トドメッ!」

三月が、頭上でギュッと両手を握りしめる。

その瞬間。空中に渦巻いていた数百万トンの『研究所すべての金属の塊』が、三月の極限の磁力と【怪力(極)】による超圧縮を受け、一気に一箇所へと押し固められた。

ズゴオォォォォォォォォォォォォォォンッ!!!!!!!!

空中に、一辺が数十メートルほどにまで超圧縮された『巨大な金属のサイコロ(スクラップ・キューブ)』が完成した。

Sランクのボス魔獣も、数万のカプセルの残骸も、研究所のすべての設備が、そのサイコロの中に隙間なく圧殺され、完全に機能を停止したのである。

命を道具として大量生産していた忌まわしき悪魔の工房は。

たった数秒の三月の怒りによって、一切の設備を残さない、ただのガレキ一つ落ちていない『完全な更地(ただの広い空間)』へと変貌してしまった。

ドスンッ……。

空中に浮いていた超質量のスクラップ・キューブが、床だった場所に重く落下し、地響きを立てた。

「…………」

鼓膜が痛くなるほどの騒音が止み、圧倒的な静寂が戻った空間で。

三月は、ふう、と短く息を吐くと、手にした大剣をスッと亜空間収納(インベントリ)にしまった。

そして、後ろで呆然と座り込んでいるルルに向かって、ゆっくりと歩み寄る。

「ルルちゃん」

三月が、ルルの目の前でしゃがみ込む。

その顔には、先ほどまでの恐ろしい怒りの形相はすでに消え去っていた。

そこにあるのは、いつもの太陽のように温かく、慈愛に満ちた『お姉ちゃんの笑顔』であった。

「もう大丈夫だよ。お姉ちゃんが、悪い機械のお家、ぜんぶ壊しちゃったからね。……ルルちゃんを閉じ込めるお部屋なんて、もうこの世界のどこにもないんだよ」

「み、三月お姉ちゃん……」

ルルは、震える手で三月のコートに触れようとし、そしてパッと手を引っ込めた。

「でも……わたし……不良品で……」

「ルルちゃんは、ゴミなんかじゃないよ。不良品でもない」

三月は、引っこめようとしたルルの小さな両手を、自身の手でギュッと、温かく包み込んだ。

「あのね、ルルちゃん。ルルちゃんは、拓也のパンケーキが大好きで、イカ焼きもすっごく美味しそうに食べるでしょ? 高いところが怖いし、寒いのも、お水も嫌いなの」

三月は、ルルの大きなエメラルドグリーンの瞳を、真っ直ぐに見つめた。

「そうやって、泣いたり、笑ったり、怖がったり、ポカポカのお布団で幸せそうに眠ることができる。……それが『心』だよ。心がちゃんとある子が、不良品なわけないでしょ」

三月の言葉が、ルルの心の奥底に、温かい光となって染み渡っていく。

「ルルちゃんは、私の大事な妹。これから一緒にお家に帰って、拓也の世界一美味しいパンケーキを食べて、あったかいお風呂に入って、ふかふかのお布団で一緒に寝るの」

三月は、満面の笑みで、ルルの頭を優しく撫でた。

「だから、誰が何と言おうと、ルルちゃんはもう【如月家の女の子】なんだから。……自分をゴミだなんて、もう二度と言っちゃダメだよ。お姉ちゃんとの約束!」

その言葉を聞いた瞬間。

ルルの心にかけられていた「道具として造られた」という深い呪縛が。自分は生きていてはいけない存在なのだという絶望が、完全に、そして永遠に解き放たれた。

「う……あぁぁぁぁぁぁんっ!! 三月お姉ちゃぁぁぁぁんっ!!」

ルルは、三月の首にギュッとしがみつき、今まで我慢していたすべての悲しみと恐怖を吐き出すように、大きな声で泣きじゃくった。

「わたし、ゴミじゃない! お姉ちゃんの、妹になりたい……っ! 一緒に、パンケーキ食べたいのぉぉっ!!」

「うんうん。帰ったら、いーっぱい食べようね」

三月は、自分にしがみついて声を上げて泣く小さな妹の背中を、トントンと優しく叩き続けた。

『おおおおおおおおッ!!! す、素晴らしいッ!! 素晴らしすぎます、三月お姉様ァァァッ!!!』

インカムの向こうで、クロエ・アーヴィングがメガホンを握り潰しながら、文字通りの号泣をしていた。

『命を道具として扱う悪辣なる外道に対し、情け容赦なき絶対的な鉄槌(スクラップ化)を下す! そして、過去の呪縛に囚われた迷える子羊の魂を、真の愛で救済されるとは! 拓也様(爆睡中)の掲げる【大いなる正義と魂の救済】を、お姉様は完璧な物理力で体現なさいましたわッ!! このクロエ、一生如月家についていきますわぁぁっ!!』

一方その頃。

アビスゲートの外、東京・新宿の上空で防衛戦を死守していたSランク探索者たちの間では、彼らの命を救う『奇跡のバフ』が展開されていた。

「ぐうぅッ……! クソッ、体が、動かん……!」

レオン・カーターが、空中で雷を放とうとして、そのまま糸の切れた傀儡のように膝をついた。

彼らを襲っていたのは、精神を縛り付け、肉体の自由を奪う強力な『石化と麻痺の呪縛』の魔眼を持つ変異種、「アビス・バジリスク・ロード」の群れであった。

どれだけ強力な物理バフや回復があろうと、魂そのものを縛り付ける呪いには抗えない。Sランク探索者たちは次々と身動きが取れなくなり、空から地上へと墜落しそうになっていた。

「い、いかん……! 意識が……暗い底へと引っ張られる……。ここまで、か……っ!」

神宮寺(じんぐうじ)もまた、愛刀を杖のように突き立て、呪いの重圧に耐えかねて意識を失いかけていた。

その、絶体絶命の瞬間だった。

上空のアビスゲートから、三月が第二十一階層の『命を縛る培養カプセル』をすべて粉砕し、ルルの心にかけられていた呪縛を完全に解き放った際に生じた、莫大な【生命と魂の解放エネルギー】が、黄金色の光となって逆流してきたのだ。

それが、戦場全体に広域の【絶対覚醒と魂の解放(ソウル・リベレーション)】のパルスとなって降り注いだのである。

カァァァァァァァァァァンッ……!!!!

まるで、澄み切った教会の鐘の音が、魂の奥底で鳴り響いたかのように。

レオンや神宮寺の精神を縛り付けていた強固な呪縛が、一瞬にしてパリィィンッ! と薄いガラスのように砕け散った。

「……な、なんだ!? 呪いが……一瞬で消えただけじゃないぞ!?」

レオンが目を見開き、自身の両手を見つめた。

呪いが解けただけではない。彼らの魂にかけられていた、人間としての「限界(リミッター)」すらもが完全に解除され、これまでの人生で感じたことのないほどの『絶対的な力と全能感』が、マグマのように全身から噴き出していたのだ。

「ハッハァァァァッ!! 冗談だろオイ!? 今度は【あらゆる呪縛を破壊し、魂のリミッターを外す】究極の覚醒バフだとォ!?」

限界を超えたレオンの雷撃は、もはや天災の雷そのものとなり、空を覆うバジリスクの群れを一撃で消し炭に変えていく。

「なんという……なんという深き魂の救済……!」

神宮寺は、限界突破した神速の抜刀術で、空の次元ごと敵を両断しながら、空のゲートに向かって感涙の声を上げた。

「彼は我々が呪いに苦しんでいることを瞬時に察知し、我々を縛るすべての鎖を解き放ってくれたのだ! ただ生き延びさせるだけでなく、我々の魂を『真の自由』へと導いてくれるとは! 如月拓也……! 君はもはや、戦術の神であると同時に、魂の救世主(メシア)だ!!」

「ハッハァ! 俺たち、もうどんな呪いも洗脳も効かねえぜ!! 心の底から、一生ついていくぜ、コンダクター!!」

Sランクの猛者たちが、魂の限界を突破した絶対的な力で、空のゲートに向かって熱狂的な信仰を叫び、大逆転の反撃を開始する。

もちろん、彼らは知らない。

この究極の魂の解放バフが、「妹をゴミ扱いした機械にブチ切れた三月が、研究所を丸ごと物理でサイコロ状にスクラップにした」という、理不尽極まりない『お姉ちゃんの怒り』の余波に過ぎないという事実を。

そして、彼らが魂の救世主と崇め奉る指揮官が、現在自室の机でよだれを垂らし、

「……むにゃ……粗大ゴミ……コンビニで500円のシール買って、貼って出さなきゃ……」

と、スクラップの処理に関する所帯染みた寝言を呟きながら、深い深い眠りについているという事実も。

かくして。

深淵迷宮の第二十一階層は、覚醒した最強スキルによる『研究所の絶対解体(スクラップ化)』によって完全踏破され、外で戦うSランクたちは、気絶中の少年指揮官への心酔をいよいよ『魂の救済者』の領域へと昇華させていくのであった。

「ルルちゃん、泣き止んだ? もう怖い機械さんいないし、次のお部屋に行こうね!」

「うんっ! わたし、もう泣かない! 三月お姉ちゃんと一緒なら、どこでも行けるにゃ!」

『ハッ! お二人の尊き絆の旅路、このクロエが命に代えても聖典に記録し抜きますわッ!』

獣人の悲しき真実を物理で粉砕し、妹の心(魂)を完全に救済した最強の姉。

そして、狂信者の実況を子守唄に深い眠りにつく魔力ゼロの指揮官。

残る29階層。彼らの果てしなきアビスゲート攻略戦は、本物の家族の絆を手に入れ、さらなる爆走へと突き進んでいくのであった。

最後までお読みいただき、ありがとうございます!

第二十一階層の決着編(第314話)でした!

怒り心頭の三月お姉ちゃんによって、機械魔獣も、数万の培養カプセルも、研究所を構成するすべての金属が吸い上げられ、最後は「巨大な金属のサイコロ(スクラップ)」にされてしまいました。物理法則無視の完全更地化です。

そして、ルルちゃんへ向けた「泣いたり笑ったりできる子が不良品なわけないでしょ」「もう如月家の女の子なんだから」というお姉ちゃんの言葉。これによって、ルルちゃんの心は本当の意味で救われました。

一方、外のSランクたちは、その魂の解放の余波を「完璧なリミッター解除バフ」と勘違いし、爆睡中の拓也をいよいよ『魂のメシア』として崇め奉っています(笑)。

当の拓也は、「粗大ゴミにはシールを貼らなきゃ……」と寝言を言っているだけなのですが……!

無事にルルちゃんとの本当の絆を結んだ三月お姉ちゃん。ここからのダンジョン攻略は、さらに賑やかで理不尽なものになっていきそうです!

よろしければ、ページ下部の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして応援していただけると、今後の執筆の大きな励みになります!

次回(第315話)もどうぞよろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。