↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魂喰い覚醒で最強へ成り上がるFランク少女、意識を奪う闇と共に歩む  作者: beck2026
第五章:深淵の門(アビスゲート)。見えざる少年指揮官と、最強の主人公の蹂躙劇

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
309/353

第309話:第十八階層『万魔の闘技場』。一万匹の塊(カタマリ)と、絶対重力(バフ)

第十七階層の海を『ただの腕力』で真っ二つに割り、ビチビチ跳ねるSランクのクラーケンを絶品のイカ焼き(おやつ)に変えた如月三月(きさらぎ みつき)。

お腹を満たしてご機嫌な猫耳幼女・ルルを背中におんぶしたまま、三月は開通した階段をスィーッと滑り降り、第十八階層へと足を踏み入れた。

「わぁ……。今度はすっごく広い場所だね。運動会でもやるのかな?」

三月は、漆黒のロングコートを靡かせながら、円形の巨大な空間を見渡した。

第十八階層――そこは【万魔の闘技場(コロッセオ)】と呼ばれる、古代ローマの円形闘技場を思わせる、血と砂にまみれた巨大なバトルアリーナであった。

三月が足を踏み入れた瞬間、背後にある上層への扉が重々しい音を立てて完全に封鎖される。

『お姉様ッ!! 第十八階層の到達、確認いたしましたッ!!』

インカムの向こうから、深い眠り(気絶)についている拓也(たくや)に代わり、狂信者クロエ・アーヴィングの元気なナビゲートが響き渡る。

『私のデータによれば、そこは第十八階層【万魔の闘技場】! 一度入れば最後、闘技場に召喚される【一万体】の魔獣をすべて殲滅するまで、決して扉が開かないという過酷なサバイバル・エリアです!』

クロエの解説と同時に、闘技場の周囲に設けられた無数の鉄格子がガラガラと開き始めた。

中から湧き出してきたのは、重武装した『アビス・オーク』、巨大な棍棒を持つ『アビス・トロール』、そして素早い『アビス・ゴブリン・アサシン』の群れ。

それらが波のように押し寄せ、あっという間に闘技場を埋め尽くしていく。その数、文字通り『一万』。

「ふにゃああぁぁぁッ!? い、いっぱいいるにゃ! こわい顔の魔獣さんが、うじゃうじゃいるのぉぉッ!!」

背中のルルが、あまりの敵の数に尻尾をボワッと膨らませ、三月の首にギュッとしがみついて震え出した。

『お姉様! いかに無敵のお姉様とはいえ、背中にルル殿を背負ったまま一万体の軍勢を相手にするのは骨が折れます!ここは闘技場の壁際に陣取り、敵を一点に絞って迎撃するチョークポイント戦術を――』

「えーっ。一万匹もいるの?」

三月は、クロエの真っ当な軍事戦術を無視し、闘技場を埋め尽くす魔獣の波を見て、あからさまに不満げな顔をした。

「そんなの、一匹ずつポカポカ叩いてたら、一万回も叩かなきゃいけないじゃない。いくらお姉ちゃんでも、そんなことしてたら拓也のパンケーキが完全に冷めきっちゃうよ!」

タイムロス。三月にとって、一万の軍勢とは「脅威」ではなく、ただの「時間の無駄」であった。

背中のルルも震えている。これ以上、可愛い妹(仮)に怖い思いをさせるわけにはいかない。

「なら、一回で済ませちゃえばいいんだよね!」

三月は、右手で『魔鉄の塊剣』をスッと真上の空(闘技場の天井)に向かって掲げた。

そして、神域へと覚醒した【磁力操作(極)】を、過去最大出力で闘技場全体に展開した。

「みんな、集まれーッ!!」

ピキィィィィィィィィィィィンッ!!!!!!!

三月の剣を起点として、闘技場全体を包み込む凄まじい『極大磁場』が発生した。

魔獣たちが身につけている鉄の鎧、剣、棍棒の鋲、さらには彼らの体内を流れる血液中の鉄分にまで、逃れられない絶対的な引力が作用する。

「ブギィィィッ!?」

「ゴギャァァァァッ!?」

何が起きたのか。

一万体の魔獣たちは、地面から足を引き剥がされ、闘技場の中央上空へと『掃除機に吸い込まれるゴミのように』猛スピードで飛んでいったのだ。

鎧同士が激突し、肉が潰れ、一万体の魔獣が空中で一つの『超巨大な魔獣の肉団子(カタマリ)』となって圧縮されていく。

「わぁっ! すっごくおっきな毛玉(ボール)になったにゃ!」

ルルが、空中に浮かぶ直径数十メートルの魔獣の塊を見て、猫特有の「丸いものを転がしたい」という本能を刺激され、目をキラキラと輝かせた。

「ふふっ、ルルちゃん、ボール遊び好き? じゃあ、お姉ちゃんが特大のサーブを打ってあげるね!」

その時である。

「グオォォォォォッ!! 我が軍勢を一瞬にして……何事だ貴様ァッ!!」

一万の軍勢がたった数秒で一つのボールにされてしまったことに激怒し、闘技場の貴賓席から巨大なボス魔獣『アビス・グラディエーター・チャンピオン(Sランク)』が飛び降りてきた。

身の丈十メートルを超える巨大な剣闘士の化け物が、怒り狂って三月へと突進してくる。

「あ、キャッチャーさんが来たね!」

三月は、突進してくるボス魔獣に向かって、ニッコリと微笑んだ。

そして、空中に浮かべていた『一万体の魔獣の塊(数万トンの質量)』に向かって、覚醒した【怪力(極)】を込めた魔鉄の塊剣を、バッティングセンターのホームランバッターのような完璧なフォームで振り抜いた。

「そぉーいっ!!」

ドバキィィィィィィィィィィィィィィンッ!!!!!!!!

三月のフルスイングによって弾き飛ばされた『一万体の塊』は、超音速の隕石と化して、突進してきていたボス魔獣の顔面へと直撃した。

「ンゴベェェェェェェェェッ!?」

Sランクのボス魔獣は、自身の部下一万匹を固めた超質量のボールを顔面に受け、防御する間もなく闘技場の壁ごと木っ端微塵に粉砕された。

そして、塊となっていた一万体の魔獣たちも、その衝突のエネルギーで完全に圧死・消滅し、闘技場には大量の光の粒子と、ポッカリと開いた『次の階層への大穴(壁の崩落)』だけが残されたのである。

「ストライクだね! ルルちゃん、今の見た!?」

「にゃははっ! おっきなボールが、ドカーンって飛んでったの! 三月お姉ちゃん、すごーい!」

ルルが背中でキャッキャと笑いながら拍手をしている。

『おおおおおおおおッ!!! す、素晴らしいッ!! 素晴らしすぎます、三月お姉様ァァァッ!!!』

インカムの向こうで、クロエがメガホンを叩き割りながら絶叫していた。

『一万の軍勢をチマチマと相手にするのではなく、磁力で一箇所に固めてから【砲弾】としてボスに叩きつける! これぞ一石一万鳥の究極効率! 拓也様(爆睡中)の戦術理論を、物理の力で見事に体現しておられますッ!!』

一方その頃。

アビスゲートの外、東京・新宿の上空で防衛戦を死守していたSランク探索者たちの間では、戦場の前提を覆す『究極のバフ』が展開されていた。

「ギィェェェェッ!!」

上空を飛び回っていた無数の変異種ワイバーンたちが、レオンや神宮寺に向かって一斉に急降下爆撃を仕掛けようとした、その瞬間だった。

ズゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥンッ……!!!!

突如として、新宿上空の『重力』が狂った。

ワイバーンたちは、まるで目に見えない巨大なハエ叩きで上から叩き落とされたかのように、一斉に地面(アスファルト)へと激突し、ピクピクと痙攣して動けなくなってしまったのだ。

空を飛ぶ魔獣だけでなく、地上を走っていた魔獣たちも、自らの体重を支えきれずに地面に這いつくばっている。

「な、なんだ!? 敵だけが……地面に縫い付けられているぞ!?」

神宮寺(じんぐうじ)が、自身の体には全く異常がない(重力変化がない)ことを確認し、驚愕の声を上げた。

それは、三月が第十八階層で『一万体の魔獣を極大磁場で一つの塊に圧縮した』際に生じた、デタラメな引力と重力の歪みがゲートの外へ逆流したものであった。

それが、戦場全体に広域の【絶対重力と束縛(グラビティ・バインド)】のパルスとなって降り注いだのである。

「ハッハァァァァッ!! 冗談だろオイ!? 今度は【敵だけを押し潰す重力支配】だとォ!?」

レオン・カーターが、地面にへばりついて身動きが取れない魔獣たちに向かって、もはやただの『処刑作業』のように雷撃を落としていく。

回避される心配も、反撃される心配もない。すべての敵が、絶対的な重力によって地面に磔にされているのだ。

「なんという……なんという恐るべき神算鬼謀……!」

神宮寺は、動けない敵の首を静かに落としながら、空のゲートに向かって深く一礼した。

「我々の疲労を癒やし、毒を浄化し、ついには星の『重力』すらも支配して敵を大地に縛り付けるとは! 如月拓也……君はもはや、この地球という星そのものをチェス盤として操っているというのか!!」

「ハッハァ! 俺たち、もう歩いてるだけで敵が死んでいくぜ!! 世界最強の指揮官、バンザイだ!!」

Sランクの猛者たちが、地面に張り付く魔獣たちを踏み越えながら、空のゲートに向かって熱狂的な信仰を叫ぶ。

もちろん、彼らは知らない。

この完璧な重力束縛のバフが、「一匹ずつ倒すのが面倒だから、一万匹を磁力で丸めてボールにしてボスにぶつけた」という、三月の理不尽すぎる『物理の塊魂』の残骸に過ぎないという事実を。

そして、彼らが星の支配者と崇め奉る指揮官が、現在自室の机でよだれを垂らし、「……パンケーキ……焼けたよ……」と幸せな寝言を呟いているという事実も。

かくして。

深淵迷宮の第十八階層は、覚醒した最強スキルによる『一万体の物理圧縮(ボール遊び)』によって一瞬で踏破され、外で戦うSランクたちは、気絶中の少年指揮官への心酔をいよいよ『星の支配者』の領域へと昇華させていく。

「ルルちゃん! お姉ちゃん特大ホームラン打ったよ! 次のお部屋もこの調子で行くね!」

「にゃっ! ホームラン、すごーい! 三月お姉ちゃん、最強にゃ!」

『ハッ! お二人の無双のボール遊び、このクロエがしかと聖典に記録いたしましたわッ!』

新しい妹(仮)の応援を受け、パンケーキのために迷宮のギミックをボール遊びで粉砕する最強の姉。

そして、狂信者の実況を子守唄に深い眠りにつく魔力ゼロの指揮官。

残る32階層。真の深淵(裏ダンジョン)の攻略戦は、ツッコミ不在のまま、さらなるカオスへと突き進んでいく。

最後までお読みいただき、ありがとうございます!

一万匹の敵を倒さなければならないサバイバル階層に対し、「一万回も殴ってたらパンケーキが冷める!」と極大磁力で敵を丸めてボールにし、ボスに向かって『ホームラン(物理)』を打ち込む三月お姉ちゃんでした!

ルルちゃんも猫の本能で「おっきなボール!」と大喜びです。

そして外のSランクたちは、圧縮された重力の余波を「完璧なグラビティ・バインド(重力束縛)」と勘違いし、爆睡中の拓也を星の支配者として崇め奉っています(笑)。

よろしければ、ページ下部の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして応援していただけると、今後の執筆の大きな励みになります! 次回もよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。