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魂喰い覚醒で最強へ成り上がるFランク少女、意識を奪う闇と共に歩む  作者: beck2026
第五章:深淵の門(アビスゲート)。見えざる少年指揮官と、最強の主人公の蹂躙劇

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第304話:第十三階層『無明の大迷宮』。直進突破と、絶対貫通(バフ)

第十二階層のマグマの海を『水切りの石』にして蹴り飛ばし、灼熱の世界を瞬く間に氷結の黒曜石へと変えて突破した如月三月(きさらぎ みつき)。

彼女が蹴り開けた大穴を抜けて降り立った第十三階層は、一切の光が存在しない、完全なる『漆黒の闇』に包まれた空間であった。

「わぁ……。真っ暗だね。お部屋の電気、消えちゃってるのかな?」

三月は、身に纏った漆黒のロングコートの裾を揺らしながら、周囲をキョロキョロと見渡した。

第十三階層――そこは【無明の大迷宮】と呼ばれる、侵入者の視覚と方向感覚を完全に奪う、極悪非道な構造を持った巨大迷路であった。

壁も床も、魔力を吸収し物理衝撃を無効化する『神造の黒石』で構成されており、一度迷い込めば二度と最下層には辿り着けないと言われる絶望のトラップフロアである。

『……すぅ、すぅ……』

インカムの向こう側からは、魔力ゼロの少年指揮官・拓也(たくや)の静かな寝息だけが聞こえていた。

彼は前階層での常軌を逸した物理バグ(マグマの水切り)を観測させられた結果、ついに右眼の解析システムもろとも限界を迎え、自室の机で深い気絶(睡眠)へと落ちてしまったのだ。

「あれ? 拓也? ナビゲーション、聞こえないよー?」

三月が不思議そうにインカムを指先でトントンと叩くと、代わりに狂信に満ちた元気な女性の声が響き渡った。

『お姉様、聞こえておりますでしょうかッ!! 拓也様は現在、大いなる宇宙の真理と交信するため、深き瞑想(という名の気絶)に入られております! 拓也様がお目覚めになるまでの間、この忠犬クロエ・アーヴィングがナビゲートを代行いたしますわッ!』

自室で倒れ伏す拓也の横で、メイド服にタクティカルベストを着込んだクロエが、マイクを握りしめて敬礼していた。

「あ、クロエちゃん! 拓也、疲れちゃったんだね。うんうん、いっぱい寝かせてあげて! それで、この真っ暗なお部屋はどうやって進めばいいの?」

『ハッ! 私の持つ元米軍特殊部隊のタクティカル・マニュアルによれば、ここは視覚を遮断するタイプの【隔離迷宮】かと推測されます! このような場合、右側の壁に常に手を当てて進む「右手法(ウォール・フォロワ)」が基本戦術となります! 地道な探索になりますが、確実にゴールへ――』

「えーっ。そんなチマチマ壁を触って歩いてたら、拓也のパンケーキが完全に冷めきっちゃうよ!」

三月は、クロエの真っ当な(?)軍事戦術を即座に却下した。

「それにね、迷路ってクネクネ曲がってるから、ゴールまですっごく遠回りでしょ? そんなのタイムロスだよ!」

『な、なるほど……! お姉様のおっしゃる通り、我々には一分一秒の猶予もありません! では、いかがなされるおつもりで!?』

「簡単だよ! ゴールが下にあるなら、壁に沿って歩くより……【真っ直ぐ】進んだ方が早いに決まってるじゃない!」

三月は、光の届かない漆黒の闇の中、一切の迷いなく『真正面の壁』に向かって身を屈めた。

『お、お姉様!? まさか……ッ!!』

「拓也の! パンケーキは! 待ってくれないのぉぉぉぉぉッ!!!!」

三月は、覚醒した【怪力(極)】を両足に込め、神域の【俊敏(極)】を以て、目の前の壁に向かって弾丸のように突撃した。

さらに、身に纏った漆黒のロングコートの表面に【磁力操作(極)】による強烈な『反発フィールド』を展開。彼女自身が、超弩級の質量を持ったドリルと化す。

ドバァァァァァァァァァァァンッ!!!!!!!!

三月の細い体が激突した瞬間。

あらゆる物理衝撃を吸収し、絶対に壊れないはずの『神造の黒石』でできた迷宮の壁が、まるで薄っぺらいウエハースのように木っ端微塵に砕け散った。

「まだまだぁーっ!!」

ドガァン! バキィィィン! ズドォォォォンッ!!!!

三月は、迷宮の通路を一切無視し、幾重にも重なる分厚い壁を真正面からぶち抜きながら、ただひたすらに『一直線』に爆走し始めた。

右折も左折も行き止まりも関係ない。

邪魔な壁があれば、その身一つで粉砕して突き進む。最強の姉にとって、迷路とは「少し分厚いだけの障害物競走」に過ぎなかった。

一方、その迷宮の中央。

暗闇と同化し、背後からの奇襲に特化した第十三階層のボス魔獣『アビス・シャドウ・ミノタウロス(Sランク)』は、突如として迷宮全体を揺るがす轟音に恐怖していた。

「モォォォォォ……!?(な、なんだ!? 壁が次々と壊れる音が近づいてくるぞ!?)」

侵入者を暗闇でなぶり殺しにするはずが、その侵入者が迷宮の概念そのものを物理で破壊しながら、凄まじい速度でこちらに『直進』してきているのだ。

ボス魔獣は慌てて巨大な戦斧を構え、迎撃の体勢をとった。

しかし、三月の覚醒した【気配察知(極)】は、完全な暗闇の中でもボスの位置をコンマ一ミリの狂いもなく捉えていた。

「あ、どいてどいてー! 轢かれちゃうよー!!」

「モゲァァァァァァッ!?」

直進を続ける三月の超音速の突撃(ただのタックル)が、迷宮の壁ごとボス魔獣を真正面から跳ね飛ばした。

迎撃の戦斧ごと、Sランクのミノタウロスの巨体は紙切れのように吹き飛び、そのまま後方の壁に激突してトマトのように潰れ、光の粒子となって消滅した。

迷宮の主であることすら気付かれず、ただの「通り道の障害物」として轢き殺された、あまりにも哀れな最期であった。

三月はそのままの勢いで第十三階層の端まで壁をぶち抜き、第十四階層へと続く下り階段を力業で抉り開けた。

「ヒャッホーウ! クロエちゃん、迷路終わったよ! ほらね、真っ直ぐ走るのが一番早いんだから!」

『おおおおお……ッ!! 拓也様、お聞きですか! これぞ絶対者の蹂躙!! 迷宮の理すらも、お姉様のパンケーキへの執念の前ではただの薄紙に過ぎないのですッ!!』

自室でスヤスヤと眠る拓也の横で、クロエが感動のあまりスタンディングオベーションを送っていた。

一方その頃。

アビスゲートの外、東京・新宿の上空で防衛戦を死守していたSランク探索者たちは、かつてない苦戦を強いられていた。

「チィッ……! なんだこいつら、硬すぎるぞ!!」

レオン・カーターが、舌打ちをしながら空中で雷撃を連打する。

彼らの周囲を取り囲んでいたのは、深淵の真実(裏ダンジョン)が解放されたことによって出現した『アビス・アイアン・ゴーレム(Sランク相当)』の群れであった。

極厚の魔界金属で覆われたその装甲は、レオンの雷光すらもアースさせて無効化し、神宮寺の神速の斬撃すらも浅く弾き返してしまう。

「いかん……! これまでのような面制圧が通じない! 装甲の隙間を狙うしかないが、数が多すぎるッ!」

神宮寺(じんぐうじ)が、愛刀の刃こぼれを気にしながら険しい表情を浮かべた。

いくら無限のスタミナや絶対冷却のバフがあろうと、こちらの攻撃が通らなければジリ貧である。

その時だった。

上空のアビスゲートから、三月が第十三階層の『絶対破壊不能の壁』を力業で粉砕した際に生じた、空間と概念の破片が逆流してきた。

それが、戦場全体に広域の【絶対貫通(アーマー・ピアシング)】のパルスとなって降り注いだのである。

「……な、なんだ!? 刀身が……青白く発光しているぞ!?」

神宮寺が、自身の刀を見つめて驚愕の声を上げた。

彼の刀に、どんな強固な装甲であろうと物理法則を無視して両断する『概念貫通』の力が宿ったのだ。

「ハッハァァァァッ!! 冗談だろオイ!? 今度は【防御無視の絶対貫通】バフだとォ!?」

レオンが歓喜の咆哮を上げ、目の前のアイアン・ゴーレムに向かって拳を突き出す。

先ほどまで全く通じなかった雷撃が、まるで豆腐に針を刺すかのようにゴーレムの装甲をすり抜け、内部のコアを直接焼き尽くした。

「ギガァァァァッ!?」

難攻不落だったゴーレムたちが、Sランク探索者たちの一撃で次々と紙くずのように粉砕されていく。

「なんという先読み……! 敵が重装甲部隊を投入してくることすら、彼は完全に予知していたというのか!!」

神宮寺が、発光する刀でゴーレムをバターのように両断し、空のゲートに向かって震える声で叫んだ。

「しかも、あえて我々が絶望しかけたこの瞬間に、ピンポイントで貫通バフを付与するその采配! 我々の心臓の鼓動(メンタル)すらも、彼の手のひらの上だというのか!」

「ハッハァ! 恐ろしい男だぜ!! 寝首をかこうなんて気すら起きねえ!! 一生ついていくぜ、コンダクター!!」

Sランクの猛者たちが、空のゲートに向かって熱狂的な信仰を叫ぶ。

もちろん、彼らは知らない。

この完璧すぎるタイミングの絶対貫通バフが、「迷路を歩くのが面倒だから、壁を全部ぶち抜いて真っ直ぐ走った」という、三月の横暴すぎる物理突破の残骸(ゴミ)に過ぎないという事実を。

そして、彼らが崇める恐るべき神算鬼謀の指揮官が、現在自室の机でよだれを垂らして爆睡しているという事実も。

かくして。

深淵迷宮の第十三階層は、覚醒した最強スキルによる『迷宮の直進突破(物理)』によって数秒で踏破され、外で戦うSランクたちは、気絶中の少年指揮官への心酔を完全な『神格化』へと昇華させていく。

「クロエちゃん! 次の階もこのまま真っ直ぐぶち抜いていくねー!」

『ハッ! お姉様の御心のままに! 拓也様、どうか安らかにお休みくださいませ!』

パンケーキのために迷宮の構造すら無視する最強の姉と、狂信者の実況を子守唄に爆睡する魔力ゼロの指揮官。

残る37階層。真の深淵(裏ダンジョン)の攻略戦は、もはや迷宮側にとっての絶望でしかなかった。

最後までお読みいただき、ありがとうございます!

迷路の法則を完全に無視し、絶対に壊れないはずの壁をぶち抜いて「真っ直ぐ進むのが一番早い!」と直進突破する三月お姉ちゃんでした。ボスであるミノタウロスも、気付かれずに轢き逃げされるという哀れな最期を遂げました。

そして外のSランクたちは、お姉ちゃんの壁破壊の余波を「完璧なタイミングの貫通バフ」と勘違いし、爆睡中の拓也を神として崇め奉っています(笑)。

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I love this so much i can’t stop reread this series please continue writing :)
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