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魂喰い覚醒で最強へ成り上がるFランク少女、意識を奪う闇と共に歩む  作者: beck2026
第四章:極星たちの休息と最強の姉編

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第271話:初心者パーティの進捗と、新たな依頼の予感

水曜日の放課後。

東京の閑静な住宅街にある中学校の教室で、如月拓也(きさらぎ たくや)は、歴史の教科書をバッグにしまいながら静かに息をついていた。

(……ふう。ギルドに送った魔核の件、結衣さんから怒りの連絡が来ないところを見ると、どうやら無事に換金されて処理されたみたいだな)

数日前に匿名で送りつけた数億円相当の魔核。

ギルドの総本部長まで巻き込んで大騒動になったことは知る由もない拓也は、ただ「これで数千万円の借金(弁償)はチャラになったはずだ」と、平穏な日常の維持に満足していた。

「おーい、如月!」

教室の扉がガラッと開き、見慣れた顔がひょっこりと顔を出した。

先日の実技試験を経て晴れてFランクの探索者となったクラスメイトの健太である。

「どうしたの健太、そんなに慌てて」

「いや、実はさ! 放課後にちょっとギルドの掲示板を見に行こうと思ってさ。お前も一緒にどうだ?」

「ギルドの掲示板?」

「おう! 俺、そろそろ本当に簡単な依頼(クエスト)を受けようと思ってさ。この間、リョウタさんたち……あの、中ボスを倒したっていう先輩パーティいるだろ? あいつらが『新人の育成を手伝ってやるから、今度一緒に依頼を受けようぜ』って誘ってくれたんだ!」

健太の言葉を聞き、拓也の右眼の奥でピクリと小さな電撃が走った。

(リョウタたち……? あの後、俺が「無言でスライムを狩り続けろ」って課題を出した初心者三人組か。彼らが、今度は別の新人(健太)を誘ってパーティを組もうとしているのか……?)

拓也の戦術指揮官としての脳が、一瞬にしてリスクとリターンの計算を始める。

リョウタたちは先日、自分たちの実力のなさを痛感し、頭を下げて基礎訓練に励んでいたはずだ。彼らがどれほど成長したのか、あるいはまた無謀な作戦で全滅しかけているのか。

気にならないと言えば嘘になる。

「へえ、リョウタさんたちね。……いいよ、せっかくだし、荷物持ち(ポーター)の勉強も兼ねて、掲示板までついていこうかな」

拓也は、少しだけ興味を惹かれて頷いた。

「ほんとに!? よし、行こうぜ!」

健太は嬉しそうに笑い、拓也の肩をバシッと叩いた。

――三十分後。東京・霞が関の探索者協会本部。

放課後のギルドロビーは、多くの探索者たちでごった返していた。

掲示板の前には、数々の依頼書が所狭しと貼り出されており、若手からベテランまでが真剣な顔で吟味している。

「おっ、いたいた!」

ロビーの隅で、腕組みをして待っていた大剣使いのリョウタ、弓使いのケン、魔法使いのアオイの三人組が、拓也と健太の姿を見つけて手を振ってきた。

「よお、眼帯! ……って、そっちは先日の実技試験で合格したばかりの新人か?」

リョウタが、健太を一瞥して少しだけ誇らしげな笑みを浮かべる。

「あ、初めまして! 今日からFランクになった健太です! 先輩方、よろしくお願いします!」

健太が慌てて深々と頭を下げる。

「おう、任せとけ! 俺たちはもう、ただの初心者じゃねえからな。この間も、草原でデカいアシッドスライムを『完璧な無言の連携』で討伐してきたプロの先輩だぜ!」

ケンが、胸を張りながら得意げに語る。

(……いや、あの時アシッドスライムを倒したのは、お前らが死にかけるギリギリのところだったけどな)

最後尾で控えていた拓也は、心の中で静かにツッコミを入れた。

しかし、拓也の『深層言語・限定解析』でこっそり彼らのステータスと立ち居振舞いをスキャンしてみると、以前のような無駄な大振りの癖や、足音の大きさは綺麗に消え去っていた。

呼吸のタイミング、視線の配り方、そして互いの距離感。

数週間前に拓也が与えた「無言のスライム討伐」という基礎訓練の成果は、確実に彼らの体に染み付いているようだった。

(……なるほど。ちゃんと成長してるな。これなら、Eランクの簡単な依頼くらいなら、裏から手出ししなくても自力でクリアできるだろう)

拓也が内心で合格点を与えていると、リョウタは掲示板から一枚の依頼書を剥ぎ取り、みんなに見せた。

「で、俺たちが選んだ最初の合同クエストはこれだ!」

リョウタが掲げた依頼書には、こう書かれていた。

『依頼内容:Eランク指定迷宮「キノコの森」における、特選・魔導キノコの採取と、害虫系魔獣「ジャイアント・マッドワーム」の駆除』

「キノコの森……ね」

拓也は、その依頼書の名前を聞いて、少しだけ記憶を辿った。

そこは、トカゲの尻尾のような形をした食用キノコや、ポーションの原料になる特殊な植物が自生している、比較的平和なEランク迷宮である。

出現する魔獣も、地面を這いずり回る虫型の低級魔獣がメインであり、リョウタたちの今の実力であれば、まさに「挑戦しがいのある適切な難易度」と言えた。

「どうだ? 危険度も低いし、新人の顔合わせにはちょうどいいだろ?」

リョウタが自信満々に笑う。

「はい! ぜひお願いします!」と健太が元気よく返事をする。

「……いいと思いますよ。ただ、キノコの森の奥には、湿地帯特有の足場の悪い場所もあるから、足元には十分気をつけてくださいね」

拓也も、ポーター(およびオブザーバー)としての立場から、ごく自然なトーンでアドバイスを加えた。

「おう、分かってるって! さすがは何度もポーターをやってる眼帯だな、言うことが的確だぜ」

リョウタは、拓也を相変わらず「ちょっと頼りになる一般人のポーター」だと思い込んでおり、親しげに背中を叩いた。

(……まあ、俺の正体がバレないなら、このまま『有能な荷物持ち』として同行するのも悪くないか)

拓也は、久しぶりの平和な(胃痛の少なそうな)迷宮探索の予定が決まったことに、心の中で小さく安堵の息を吐いた。

「それじゃあ、明日の放課後、ギルド前集合な!」

リョウタたちの勢いに押され、初心者五人パーティ(+最強の姉の同行はまだ決まっていないが、おそらくついてくるだろう)による新たなクエストが、こうして正式に決定したのだった。

魔力を持たない少年指揮官の、穏やかで少しだけ微笑ましい日常は、新たな仲間たちの成長と共に、静かに次のステージへと進んでいくのであった。

お読みいただきありがとうございます!

もし「面白かった!」「リョウタたちが成長していて嬉しい!」「拓也がすっかり先生の顔!」と思っていただけましたら、

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次回、キノコの森での穏やかな(?)採集クエストをお楽しみに!



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