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魂喰い覚醒で最強へ成り上がるFランク少女、意識を奪う闇と共に歩む  作者: beck2026
第四章:極星たちの休息と最強の姉編

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234/241

第234話:極星の帰還、英雄たちとの別れと最強姉弟の新たな誓い

東京国際空港(羽田)、VIP専用ターミナル。

雲一つない青空の下、巨大な滑走路には、各国の探索者協会が手配した数機の豪奢なプライベートジェットが駐機していた。

第七の特異点『天空の冥城』での最終決戦から、およそ二週間。

世界を崩壊の危機から救った日米南米合同遠征軍『極星』のメンバーたちは、ついにそれぞれの故郷、そして本来の任務へと帰還する時を迎えていた。

「ハッハッハ! いやぁ、短い間だったが、日本での休暇は最高だったぜ! 寿司は美味えし、温泉ってやつも肌に合った!」

南米の総司令カルロス・リベラが、巨大なボストンバッグを肩に担ぎながら、豪快な笑い声を上げる。

「ああ。だが、あの超絶ブラコン姉御の実力テストと、中学生のドッジボールの威圧感は、バエル戦よりも寿命が縮んだがな」

アメリカ最強のSランク、レオン・カーターが、苦笑いを浮かべながらサングラスを押し上げた。

彼らの視線の先には、制服姿の如月拓也きさらぎ たくやと、淡いグリーンのワンピースを着た如月三月きさらぎ みつきの姿があった。

「レオンさん、カルロス司令。……本当に、今までありがとうございました」

拓也は、二人の巨漢を見上げ、深く頭を下げた。

魔力を持たないただのFランク少年であった拓也が、この規格外の大人たちを指揮し、数々の死線を越えてこられたのは、彼らが拓也の頭脳ナビゲートを誰よりも信じ、最前線で命を懸けて戦ってくれたからだ。

「よせやい、若大将。俺たちの方こそ、テメェにはいくら感謝してもしきれねえんだ」

レオンが、拓也の肩に大きな手をポンと置いた。

いつもなら骨が軋むほどの力強いハグをしてくるところだが、今日は三月が背後でニコニコと(しかし絶対零度の威圧感を伴って)見守っているため、極めて紳士的なスキンシップに留めていた。

「俺たちが国に帰っても、世界中に散らばった迷宮ダンジョンの残党狩りは続く。……だが、もし若大将と姉御の身に何かあったら、いつでも呼んでくれ。地球の裏側からでも、音速で駆けつけてやるからよ!」

「カルロスの言う通りだぜ。俺たちは永遠に『極星』のパーティだからな」

レオンとカルロスは、白い歯を見せて笑い、搭乗ゲートへと向かっていった。

海外勢を見送った後、今度は日本のトップランカーたちが拓也たちの前に歩み出た。

「拓也くん。……君のおかげで、我々は『最強』という殻を破り、真の連携を知ることができた。君は間違いなく、日本が世界に誇る最高の指揮官だ」

絶対的な盾としてパーティを守り抜いた神宮寺蒼太じんぐうじ そうたが、騎士のように胸に手を当てて敬意を表す。

「フン。魔力もねえヒヨッコに顎で使われたのは腹が立ったが……まあ、悪くねえ戦いだったぜ。学校の勉強、サボるんじゃねえぞ」

日本のトップ魔術師、九条炎樹くじょう えんじゅが、相変わらず素直ではない態度で鼻を鳴らす。

「若大将。……俺の氷槍は、いつでもお前のためにある。またゲーセンで格ゲーの勝負でもしようぜ」

氷使いの風間蓮かざま れんが、拓也の髪をクシャクシャと乱暴に撫でた。

「皆さん……っ」

拓也の視界が、少しだけ滲んだ。

屋上でポーションを押し付けてきたり、ゲーセンに出待ちしていたりした時は本気で胃が痛くなったが、いざこうして別れの時を迎えると、どうしようもない寂しさが胸に込み上げてくる。

「拓也くん。これ、私からのプレゼントです」

回復と結界のスペシャリストである瀬戸玲奈せと れいなが、ふわりと微笑みながら、一つのお守りを拓也の手に握らせた。

それは、彼女の白銀の魔力が込められた、美しい交通安全のお守りだった。

「これを持っていれば、ちょっとやそっとの事故からは身を守れますから。……あと、三月さんも」

瀬戸は、三月に向かって深く頭を下げた。

「拓也くんのこと、よろしくお願いします。彼は強がっていますが、本当はずっと、三月さんに甘えたかったはずですから」

「うん。任せて、瀬戸さん。……私の可愛い弟は、世界中の誰の手にも渡さないし、指一本触れさせないから!」

三月が、拓也を背後からギュッと抱きしめながら、力強く宣言する。

(ねえさん、ちょっと重いよ……)

拓也は心の中でツッコミを入れつつも、その温もりを心地よく感じていた。

そして、暗殺部隊『八咫烏』を率いる不知火凛しらぬい りんも、影の中からスッと現れ、無言で拓也に一礼すると、再び風のように消えていった。

「……さらばだ、指揮官殿。また会う日まで!」

神宮寺たちの力強い言葉と共に、日本のトップランカーたちもそれぞれの帰路へとついた。

彼らには、日本の各支部をまとめ上げ、未だ残る高難易度迷宮を処理するという重要な任務が待っている。

ゴォォォォォォォォォォォォッ……!!

プライベートジェットの巨大なエンジン音が響き渡り、英雄たちを乗せた機体が、青空へ向かって飛び立っていく。

拓也は、小さくなっていく機影を、いつまでもいつまでも見上げていた。

南極の水晶宮、アマゾンの熱帯雨林、そして成層圏の天空の冥城。

魔力を持たない十四歳の少年が駆け抜けた、血と硝煙に塗れた数ヶ月間の記憶が、走馬灯のように脳裏を駆け巡る。

「……行っちゃったね」

隣に立つ三月が、ポンッと拓也の頭に手を乗せた。

「うん。……なんだか、ぽっかり穴が空いたみたいだ」

拓也は、素直な胸の内を吐露した。

過保護すぎる彼らの警護から解放されて、やっと普通の中学生に戻れる。

そう思っていたはずなのに、いざ静かになってみると、あの騒がしい大人たちの声が少しだけ恋しかった。

「寂しい?」

三月が、弟の顔を覗き込む。

「少しだけね。……でも、これで本当に『平和』になったんだって、実感してるよ」

拓也が微笑むと、三月は「そっか」と優しく目を細め、そして拓也の手をギュッと握りしめた。

「でも拓也、退屈してる暇なんてないよ?」

「え?」

「極星のみんなはそれぞれの場所に帰ったけど、私たちの『如月デュオ』の活動はこれからが本番なんだから!」

三月は、空を指差して満面の笑みを浮かべた。

「特異点が消えても、魔獣がいなくなったわけじゃない! 書類上はFランクの私たちだけど、セバスチャン局長からはもう山のように『非公式のSランク依頼』が届いてるんだから!」

「うげっ……。局長、やっぱり俺たちを便利屋として使う気満々じゃん……」

拓也は、先日のAランク迷宮を物理で更地にした一件を思い出し、再び胃のあたりがキリキリと痛み始めるのを感じた。

「それにね! 今度の週末は、拓也の『探索者用の新しい装備』を買いに、銀座のダンジョンショップまでデートするんだから! Fランクの制服じゃなくて、お姉ちゃんが最高にカッコいい服をコーディネートしてあげる!」

「デ、デートって……。ねえさん、俺はあくまで後方支援なんだから、そんな高価な装備はいらないよ……」

「駄目! 拓也に虫一匹近づけさせないためには、最新の防魔素材の服が必要なの!」

強引に話を進める三月の笑顔を見て、拓也はふっと肩の力を抜いた。

世界を救った最強のパーティ『極星』は解散した。

だが、彼の中には、極星の大人たちから受け継いだ『決して諦めない心』と、数多の戦術知識がしっかりと刻み込まれている。

そして隣には、かつて最底辺のFランクから『魂喰い』の覚醒を経て世界最強へと成り上がった、愛すべき(そして過保護すぎる)無敵の姉がいる。

「……仕方ないなぁ。お手柔らかに頼むよ、ねえさん」

「ふふん! お姉ちゃんにどーんと任せなさい!」

青空の下、しっかりと手を繋いで歩き出す二人の影。

魔力を持たない少年指揮官と、書類上は最弱のFランク姉による『最強姉弟デュオ』。

彼らの紡ぐ新たな日常という名の冒険は、まだ始まったばかりである。

そして次回からは、いよいよ三月と拓也の『如月デュオ』による、ドタバタで無双な日常任務や、週末のダンジョンショップでの買い物デート(?)へと突入していきます!

もし「感動した!」「これからの姉弟の活躍が楽しみ!」と思っていただけましたら、

ぜひページ下部にある【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして応援していただけると、執筆の最大の励みになります。

次回もたっぷりのボリュームでお届けします。ご期待ください!

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