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魂喰い覚醒で最強へ成り上がるFランク少女、意識を奪う闇と共に歩む  作者: beck2026


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第二十三話:受付嬢の違和感、強者の階段

探索者ギルドの重厚な扉を押し開くと、そこには迷宮の冷気とは対照的な、活気と少しの汗の匂いが混ざり合った空間が広がっていた。冒険者たちが喧騒の中で酒を酌み交わし、ボードの前で次の依頼を検討している。

以前の三月にとって、ここはただ淡々と魔石を換金し、最低限の生活費を受け取るだけの場所だった。誰かに媚びることも、高難度の依頼をねだることもなく、ただ誰にも見つからないように、ひっそりと。しかし、今の彼女は違う。

カウンターの向こう側には、いつもと変わらぬ笑顔を浮かべた佐藤結衣が座っている。しかし、三月は彼女の瞳の奥に、わずかな「揺らぎ」を見た。昨日、団地まで訪ねてきた調査員たちの報告が、既にギルドの端末を通じて結衣の手元に届いていることは明白だった。

「三月ちゃん、お疲れ様。……第三層、攻略してきたのね」

結衣は端末を操作しながら、努めて冷静な声でそう言った。昨夜の調査員の一件以降、ギルドの空気が微妙に変化していることを、三月は直感的に理解する。彼女の視線には、かつてのような「心配」だけでなく、「警戒」の色が混じっていた。

「……何か問題でも?」

「ううん。ただ……Fランクで第三層のボスを単独討伐なんて、前代未聞だから。上層部からも、三月ちゃんの適性値について再調査の要請が来てるの。それと、もしよければ昨夜討伐した『クリスタル・レギオン』の魔石、精算していかない?」

結衣はそう言いながら、カウンター越しに精算の手続きを促す。

三月はポケットから、昨夜回収した『クリスタル・レギオン』の巨大魔石を取り出した。魔石は重厚な光を放ち、カウンターの上に置かれた計測器の数値を一気に跳ね上げる。

受付の騒がしさが、ふと静まったような錯覚を覚えるほどの、強烈な密度。計測器が限界を超えた音を立てる。

「あらためて見るけど……すごい密度ね。これだけの魔石、普通ならパーティ全員で命がけで回収するものよ。……三月ちゃん、あなた一人でこれを?」

「……そうよ。一人で倒した」

三月は淡々と答える。彼女にとって、この魔石は単なる換金アイテムではない。家族の未来を守るための「切符」だ。

結衣は計測器の数値を書き留めながら、どこか三月を遠い存在を見るような視線を投げかける。彼女は三月の変化に気づいている。単なるFランクの新人ではなく、何か決定的に異なるものへと変貌しつつある少女の姿に。

「三月ちゃん、あなた昨日から変わったわね。何があったのかは聞かないけど、ギルド内もざわついてる。……協会があなたを追っているのも、知ってるわよね?」

「ええ、知ってるわ。だからこそ、ここに来たの」

三月はあえて、不敵な笑みを浮かべてみせた。

いつもはおとなしく、目立たないようにしていた少女が、急に「強者」としての余裕を見せ始めたことに、結衣は息を呑む。

三月はカウンターに手を置き、結衣の目を見つめた。これまで「ひっそりと」生きることを選んでいた彼女だが、今はあえて「ギルドの管理下」で動くことを選んだ。協会という巨大組織を、自分の家族を守るための「盾」にするために。

「結衣さん、私を協会の上層部に繋いで。彼らが『期待の星』を求めているなら、一番良い素材を準備してあげる。これからは、私が望む迷宮の攻略ルートを用意させて。Fランクという肩書きは、もう私には狭すぎるわ」

その言葉は、受付嬢である結衣にとって、あまりに衝撃的だった。

三月の眼差しは、もはや迷宮の魔獣を狩る時のような、冷徹な狩人のそれだった。彼女はもはや、組織に追われる逃亡者ではない。組織そのものを動かそうとする支配者への階段を、登り始めていたのだ。

「……分かったわ。三月ちゃん、あなたの言葉、ちゃんと上層部に伝えておく。でも、気をつけて。協会はあなたを『飼い慣らしたい』だけかもしれないわよ」

「飼い慣らす……? ふふ、面白いわね。彼らが私を飼い慣らせるものなら、好きにさせてあげるわ。その代わり、彼らが失うものの大きさも、ちゃんと教えてあげなきゃいけないけれど」

三月は満足げに頷くと、踵を返した。

背後で、あの調査員がこちらを凝視しているのが気配察知で分かる。だが、三月は一度も振り返らなかった。彼女は自ら協会の視線を受け止め、その上で組織を御する立場へと踏み込んだのだ。

外へ出ると、冷たい風が彼女の頬を撫でた。

街の景色が、以前とは違って見える。

迷宮への道は、もう隠し通路ではない。それは、彼女という「怪物」が、地上界を支配するための凱旋路だった。

第二十三話をお読みいただき、ありがとうございました!

結衣の前で巨大魔石を提示し、さらに強気の依頼交渉を行うことで、協会に対する「看板娘」戦略をスタートさせた三月。

魔石を精算し、ギルドという組織のど真ん中で自らの価値を証明していく彼女の姿は、以前のひっそりと生きる姿とは対照的です。

これまでは「隠す」ことに必死でしたが、これからは「認めさせる」ことで自身の安全と家族の生活を守り抜く姿勢へ。

協会の調査員たちも、彼女のこの豹変ぶりにどう反応するのでしょうか……!

この話が面白いと感じていただけましたら、ぜひブックマークや**評価(↓の☆☆☆☆☆)**で応援していただけると、執筆の大きな励みになります!

それでは、第二十四話でお会いしましょう!

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