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魂喰い覚醒で最強へ成り上がるFランク少女、意識を奪う闇と共に歩む  作者: beck2026
第三章:世界崩壊と魂の誓い

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第211話:絶理の一閃、砕け散る氷柱と水晶の居城

猛吹雪のベールの向こう側にそびえ立つ、高さ数十メートルにも及ぶ巨大な『水晶のオベリスク』。

第六魔卿グラキエスの領域において、周囲の空間からあらゆる熱を奪い尽くし、マイナス162度の魔力嵐ブリザードを吐き出し続ける元凶である。

「……俺が行きます」

如月拓也は、極限耐熱・魔力炉心鎧『天照アマテラス』の背中から供給される熱を感じながら、静かに腰の『絶理の銀刃』を引き抜いた。

「おい待て、若大将! いくらその特注スーツが熱を保ってるとはいえ、結界の外の吹雪に生身の武器を晒せば、数秒で極低温脆性ぜいせいを起こして砕け散っちまうぞ!」

カルロス・リベラが、戦斧を構えたまま血相を変えて叫ぶ。

「ええ、普通の物理攻撃なら弾き返されて、武器ごと粉々にされるでしょう。……でも、俺の眼には『正解』が見えています」

拓也は、風間と神宮寺が維持している絶対零度の防壁のギリギリの縁に立ち、青く発光する右眼で巨大なオベリスクを真っ直ぐに視据えた。

「オベリスクは、無作為に冷気を放っているわけじゃない。内部に緻密な魔力回路が張り巡らされ、それが一つの『特異点バルブ』を通じて外部へ冷気を放出しているんです。……そのバルブが開くコンマ数秒の隙間に、刃を滑り込ませます」

「コンマ数秒だと……!? そんな針の穴を通すようなタイミング、少しでもズレたらテメェの腕ごと凍りついて吹き飛ぶんだぞ!」

レオン・カーターが驚愕に目を見開く。

「大丈夫です。……俺を、信じてください」

拓也は振り返らず、短剣を逆手に構えて重心を落とした。

「……行かせろ、レオン、カルロス」

背後から、神宮寺蒼太の重々しくも確かな声が響いた。

彼の大盾から放たれる冷気が、拓也の目の前の結界をわずかに開き、一人が通れるだけの「道」を作る。

「我らが指揮官殿の眼が『行ける』と言っているのだ。……大人がそれを疑ってどうする」

「神宮寺のオッサンの言う通りだぜ。俺たちは黙って、アイツがぶち抜いた後の道を広げる準備だけしてりゃいいんだよ」

風間蓮もまた、ニヤリと笑って拓也へと視線を送る。

「……ありがとうございます」

拓也は小さく呟き、結界の隙間から、マイナス162度の猛吹雪が吹き荒れる絶対零度の世界へと、一陣の風となって跳躍した。

ヒュゴォォォォォォォォォッ!!

結界の外へ出た瞬間、視界を白く染め上げるような強烈な魔力嵐が拓也の小さな身体を襲う。

しかし、鉄山厳が鍛え上げ、九条炎樹と瀬戸玲奈の魔力が込められた『天照』の炉心は、その暴力的な冷気を完全にシャットアウトし、拓也の肉体に一切の寒さを感じさせなかった。

(……見えた!)

拓也の右眼の『深層言語・限定解析』が、オベリスクの表面に流れる青白い魔力回路の鼓動を完全に捉える。

ドクン……ドクン……。

周囲から熱を奪い、冷気を圧縮し、外部へと放出する。

そのサイクルが頂点に達し、巨大な氷の柱の表面に、わずか数ミリの「魔力の排気口バルブ」が開く瞬間。

拓也は空中で身体を捻り、手に持った『絶理の銀刃』に、スーツから供給される熱エネルギーの残滓を『柄』を通じてほんのわずかだけ伝導させた。

刃そのものを熱するのではない。刃が凍りついて砕ける限界の温度ギリギリを保ちながら、金属としての強度を極限まで引き出すための、精密な温度管理。

「そこだッ!!」

開かれた数ミリのバルブの隙間へ向けて、銀の刃が神速で突き出される。

カキィィィィィィィィィィンッ!!

金属と水晶が激突する、澄み切った硬質な音が猛吹雪の中に響き渡った。

オベリスクの超硬度の装甲に弾かれることもなく、冷気によって刃が砕け散ることもない。

拓也の放った一撃は、オベリスクの魔力回路の最も重要な『継ぎ目』へと完璧に滑り込み、内部の魔力流動を物理的に「切断」したのだ。

「『絶理・断線』ッ!!」

ジュゥゥゥゥゥゥッ……!!

回路を断ち切られたオベリスクの内部で、行き場を失った莫大な冷気魔力が暴走を始める。

青白く発光していた巨大な柱が、内側からドス黒い亀裂を走らせていく。

ピキッ……ピキキキキキキキッ!!

「……下がれッ!! 爆発するぞ!!」

神宮寺が叫び、開いていた結界を瞬時に閉じて拓也を内側へと引き戻す。

その直後。

高さ数十メートルに及ぶ巨大な水晶のオベリスクが、内側からの魔力暴走に耐えきれず、凄まじい轟音と共に粉々に砕け散った。

ドガァァァァァァァァァァンッ!!!!

オベリスクの崩壊と同時に、周囲に吹き荒れていたマイナス162度の魔力嵐が、嘘のようにピタリと止んだ。

そして、猛吹雪の向こう側から無限に再生して襲い掛かってきていた『水晶の氷獣』たちも、発生源の魔力を絶たれたことで、次々とただの雪塊となって地面に崩れ落ちていく。

「……ふぅ。終わりましたね」

結界の内側に着地した拓也が、短剣をホルスターに収め、乱れた息を整えながら眼帯の位置を直した。

「ハッハッハッハ!! やりやがった! あの超硬度のバカでかい氷柱を、たった一撃で粉砕しやがったぜ!!」

カルロスが豪快に笑い、拓也の肩をバンバンと叩く。

「まったく、肝の冷える真似をしてくれる。……だが、見事な一撃だったぞ、若大将」

レオンもまた、安堵の息を吐きながら大剣を下ろした。

「拓也くん、怪我はありませんか!? どこか凍傷になっていたり……」

瀬戸が慌てて駆け寄り、拓也の身体を隅々までチェックする。

「大丈夫ですよ、瀬戸さん。皆さんの魔力と、鉄山さんのスーツのおかげです。かすり傷一つありません」

拓也は、心配性の大人たちへ向けて柔らかく微笑んだ。

「フン……俺の炎を使いこなすとは、生意気なガキだ。だが、吹雪が止んだのなら、ここからは俺の火力も少しは役に立てそうだな」

九条炎樹が、腕を組みながらも、どこか誇らしげな笑みを浮かべる。

風間と神宮寺もまた、結界の維持を解き、大きく深呼吸をした。

オベリスクが破壊されたことで、この一帯の気温は依然として極寒ではあるものの、「魔力を凍らせる理不尽な絶魔の領域」からは解放されていた。

「皆の者、油断は禁物だ。……吹雪が晴れて、いよいよ敵の『本陣』が姿を現したぞ」

神宮寺の低く響く声に、全員の視線が前方へと向けられる。

猛烈なブリザードが晴れ渡った南極の空。

どんよりとした鉛色の雲の下、遥か数十キロ先の雪原の果てに、それはそびえ立っていた。

「……なんだ、ありゃあ」

風間が、思わず息を呑む。

巨大な氷山を丸ごと削り出して作られたかのような、常軌を逸したスケールの『氷の城』。

いや、城というよりは、幾重にも複雑なフラクタル構造を成した『巨大な水晶の迷宮』そのものであった。

太陽の光を不気味に反射し、青白く、そして冷酷に輝くその威容は、見る者の心を芯から凍りつかせるような絶対的な威圧感を放っている。

「あれが、第六魔卿グラキエスの居城……『水晶宮』」

拓也が、青き瞳で遠くの巨城を視据えながら静かに呟いた。

「アマゾンの樹海よりタチが悪そうだぜ。あんなデカい迷宮、中に入ったら方向感覚すら凍りつきそうだ」

レオンが顔をしかめる。

「ええ。ですが、あの中に間違いなく、地球を縛る六つ目の『楔』があります。……行きましょう。立ち止まっていれば、いずれまた新しいオベリスクが生成されるだけです」

拓也は、極限耐熱スーツのバイザーを下ろし、迷いのない足取りで真っ白な雪原へと歩み出した。

彼らの行く手を阻む猛吹雪は消え去った。

しかし、その先に待ち受けているのは、いかなる熱をも許さない絶対零度の迷宮の主。

人類の希望を背負った極星の大人たちと、最強の姉を救うために地獄を歩む少年指揮官。

彼らの過酷な大遠征は、さらに冷たく、さらに深く、氷の魔王の懐へと突き進んでいくのだった。

最後までお読みいただき、ありがとうございます!

拓也の神業である「絶理の一閃」が見事にオベリスクを穿ち、猛吹雪の突破に成功しました!

そして吹雪が晴れた先に姿を現した、第六魔卿グラキエスの巨大な水晶宮。ここからいよいよ、絶対零度の迷宮探索が始まります。

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