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魂喰い覚醒で最強へ成り上がるFランク少女、意識を奪う闇と共に歩む  作者: beck2026
第三章:世界崩壊と魂の誓い

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第200話:第一の夜、学習する魔境と極星の狙撃

「オラァァァッ! 燃えカスすら残さねえぞ! 『極大殲滅魔法オーバー・フレア』ッ!!」

九条炎樹の頭上から放たれた規格外の火炎放射が、夜空を赤々と染め上げた。

第一キャンプの上空、結界のすぐ外側に滞空し、強酸性の溶解液を撒き散らそうとしていた巨大な飛行型魔獣の群れが、悲鳴を上げる間もなく一瞬にして灰へと変わる。

「フン、夜行性の虫ケラどもが。光に群がる習性ごと焼き尽くしてやるよ」

九条が獰猛な笑みを浮かべ、さらに炎の幕を厚くして上空からの奇襲を完全に封殺した。

「上空は九条さんが抑えました! 不知火さん、地下の防壁基礎への浸食はどうですか!?」

陣形の中央から、如月拓也が通信機越しに鋭く問いかける。

「……問題ない。すべて刈り取っている」

防壁の足元、暗闇に溶け込んだ不知火凛が短く答える。

彼女が率いる暗殺部隊『八咫烏』は、音もなく地中から忍び寄ろうとする寄生根やドリル型の植物魔獣の「魔力の中核」を的確に見抜き、地上へ顔を出す前に次々と切断・無力化していた。

「ハッハッハ! 上と下は完璧だ! なら、俺たちは正面から来るお客人どもを存分に持て成してやるだけだな!」

防壁の上では、アメリカ最強のSランク、レオン・カーターが大剣を風車のように振り回し、壁をよじ登ってくる四足歩行の蔦獣ヴァイン・ビーストどもをまとめてミンチに変えていた。

「南米のド根性、見せてやるぜ! オラァァァッ!」

カルロス・リベラも巨大な戦斧を振るい、防壁に取り付く魔獣たちを豪快に叩き落としていく。

「神宮寺のオッサン、右からデカいのが来るぞ!」

「分かっている! 『絶氷・剛大盾シールド・スマッシュ』ッ!!」

風間蓮が極低温の槍で魔獣の動きを封じ、すかさず神宮寺蒼太が大盾の質量で粉砕する。

日米南米のトップランカーたちによる、隙のない完璧な迎撃陣形。

瀬戸玲奈の展開する『白銀の浄化陣』がキャンプ全体を覆い、有毒な瘴気や胞子を完全にシャットアウトしているおかげで、前衛たちは呼吸を気にすることなく全力を出すことができていた。

「……すごい。これが、世界トップクラスの連携……」

拓也は右眼の『深層言語・限定解析』をフル稼働させながら、大人たちの戦いぶりに息を呑んだ。

姉・三月なら、これらすべてをたった一人で、圧倒的な暴力で薙ぎ払っていただろう。だが、拓也は凡人だ。彼一人では、一匹の魔獣を倒すことすら難しい。

だからこそ、彼は自分の『眼』を極限まで研ぎ澄ませ、この最強の大人たちの力を120%引き出すための「完璧な盤面」を作り上げることに全神経を注いでいた。

(……おかしい)

激戦の中、拓也の青く発光する右眼が、樹海の奥深くで微かに変動した魔力流動を捉えた。

(防壁に群がっている魔獣たちの動きが、単調になっている。……いや、違う。『わざと』単調な攻撃を繰り返して、こちらの意識を防壁のすぐ外側(近距離)に釘付けにしているんだ!)

アスタロトの『暴食の樹海』は、ただ本能で動く植物の群れではない。戦術を学習し、的確に獲物を仕留めようとする「軍隊」だ。

拓也は即座に視界のレンジを広げ、真っ暗なジャングルの奥、キャンプからおよそ一キロメートル先の地点を解析した。

「……ッ!! 皆さん、警戒を! 敵の本命は、壁を登ってくる雑魚じゃありません!」

拓也の鋭い声が、全員の通信機に響き渡る。

「キャンプから北北西、距離一千二百メートル! 樹海の奥深くで、桁外れの魔力が一点に圧縮されています……! 敵は超巨大な『砲台型』の魔獣! このキャンプの結界ごと、俺たちを一撃で吹き飛ばす気だ!」

「なんだと!? 1キロも先から狙撃してくるってのか!」

風間が壁の下へ槍を突き出しながら叫ぶ。

「マズいぞ。あれだけ距離が離れていては、周囲の樹海が邪魔でこちらの攻撃も届かない!」

神宮寺が顔をしかめる。

「撃たれる前に防ぐしかありません! ……九条さん、風間さん! お二人の力を貸してください!」

拓也は即座に決断し、通信機へ向かって叫んだ。

「九条さん! 俺が指定する座標へ向けて、一直線に『炎のトンネル』をぶち抜いてください! 途中の樹海をすべて灰にして、射線を無理やりこじ開けるんです!」

「ハッ、無茶苦茶言い上がって! 1キロ先まで届く炎の道だと? ……上等だ、やってやるよ!」

九条が防壁の上へと飛び乗り、両手にこれまでにないほどの莫大な魔力を集束させ始める。

「風間さん! 九条さんが開けた射線を通って、その奥にある『砲台の核』を氷の投擲で撃ち抜いてください! コンマ一秒でもズレれば、周囲の樹海に阻まれます!」

「俺のコントロールを舐めんなよ指揮官殿! 針の穴を通すような真似、俺の槍の十八番だぜ!」

風間もまた、『銀牙槍・改』を投擲の構えに取り、極低温の冷気を槍の穂先に極限まで圧縮していく。

「瀬戸さん、二人の前に結界の開口部を!」

「はいっ!」

瀬戸が結界の一部を解除し、攻撃のための小さな「窓」を作る。

拓也の右眼が、暗闇の奥で臨界点に達しようとしている敵の魔力核の座標を、完璧な数値として割り出した。

「仰角十五度、北北西! 距離、一二四〇! ……いっけェェェッ!!」

「オラァァァァァァッ! 消し飛びなァ!!」

九条の両手から、極太の火炎レーザーが放たれる。

超高温の炎は、キャンプから敵の砲台までの一直線上の樹海を、文字通り一瞬にして「蒸発」させ、暗闇の中にポッカリと赤い光のトンネルを貫通させた。

「もらったぜェェェッ!! 『絶氷・穿牙せんが流星メテオ』ッ!!」

九条の炎が開いた射線。その炎のトンネルが周囲の樹海に塞がれる前のコンマ数秒の隙間を縫って、風間の放った銀色の氷槍が、音を置き去りにして一直線に飛翔する。

ヒュゥゥゥゥゥゥンッ!!

ドガァァァァァァァァァンッ!!!

一キロメートル先の樹海の奥深くで、太陽のような青白い氷の爆発が夜空を照らし出した。

敵の巨大な砲台魔獣が、放つはずだった自身の圧縮魔力と風間の絶対零度を同時に食らい、内側から完全に破裂・凍結したのだ。

『ギギ……ギギギィィィ……』

砲台が破壊された直後。

防壁に群がっていた無数の魔獣たちが、まるで統率者を失ったかのように動きを止め、波が引くように次々と暗い樹海の奥へと退却していった。

「……敵の撤退を確認。……迎撃、成功です」

拓也が短剣を鞘に収め、大きく息を吐き出す。

それとほぼ同時。東の空がわずかに白み始め、アマゾンの樹海に朝の光が差し込んできた。

「ハァッ……ハァッ……。マジで、冗談キツいぜ。初日の夜からシークレット・スナイパーのお出ましとはな」

風間が防壁の上に座り込み、汗を拭う。

「だが、見事な指揮だった。拓也くんの眼がなければ、我々はあの砲撃に気づくことすらできず、結界ごと消し飛ばされていただろう」

神宮寺が、労うように拓也の肩に手を置いた。

「ハッハッハ! 全く、日本の若大将の采配には肝を冷やすぜ! だが、最高にスカッとした一撃だった!」

カルロスが豪快に笑いながら、九条の背中をバンバンと叩く。

「痛えよ筋肉ダルマ! まったく……俺の魔力もタダじゃねえんだぞ」

九条は悪態をつきながらも、その顔には確かな達成感と、少年指揮官に対する深い信頼の笑みが浮かんでいた。

「皆さん、本当にお疲れ様でした。……ですが、これはまだ第一夜です」

拓也は、朝日に照らされた無限の赤紫の樹海を見渡した。

第一キャンプの防衛には成功した。しかし、彼らの目的地である第五魔卿アスタロトの中枢は、この果てしないジャングルのさらに奥深くにある。

「休める時に、しっかり休んでください。……この死の樹海を根絶やしにするまで、俺たちの長い遠征は続きます」

人類の生存圏を広げ、姉の魂を救い出すための過酷なサバイバル。

極限の第一夜を乗り越えた日米南米の合同遠征軍は、確かな絆と覚悟を胸に、次なる未知の領域へと進むための準備を静かに始めるのだった。

最後までお読みいただき、ありがとうございます!

祝・第200話! 砲台型魔獣の狙撃という絶体絶命の危機を、拓也の眼と九条・風間の見事な連携で打ち破りました!

ここからさらに過酷さを増していくアマゾン長期遠征編。

もし「200話おめでとう!」「この連携最高に熱い!」と思っていただけましたら、

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