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魂喰い覚醒で最強へ成り上がるFランク少女、意識を奪う闇と共に歩む  作者: beck2026
魂喰いの少女編

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101/112

第101話:誤算の火種と、か弱い少女の蹂躙

迷宮第5層、最終防衛線の広場。

そこは地獄の釜の底と化していた。

先ほどまで三月を侮っていたトップクラン「銀の剣」のリーダーたちが、今や顔面蒼白で後退りしている。

防衛線の最前線で対峙していたのは、中層から溢れ出した狂暴種の魔獣たち。その数は数万。地響きが止むことはなく、空気を震わせる咆哮は探索者たちの鼓膜を容赦なく叩き潰す。

「どうしてだ……! 結界を張っていたはずの障壁が、なぜこれほど呆気なく砕ける……!」

「銀の剣」のリーダーが叫ぶが、返答はない。彼らが誇る重厚な魔導障壁は、魔獣たちの突進一撃でヒビ割れ、次々と沈黙していく。

後方に控えていた索敵班の探索者たちは、恐怖のあまり武器を落とし、ただ立ち尽くすことしかできない。

「だ、誰か! 前線の部隊を引かせろ! このままでは全滅だ!」

悲鳴が飛び交う中、三月は一人、平然と魔獣の奔流の中に立っていた。

周囲の探索者たちが彼女を「逃げ遅れた足手まとい」だと錯覚し、憐れみの視線を向ける。

(……うるさいわね。本当に、人間ってのはどいつもこいつも騒がしいだけ)

三月は誰の視線も届かない死角へとスッと移動した。

先ほど、不可視の魔力刃で一匹を両断したが、それではあまりにも遅い。

三月の目的は「防衛線の死守」と「家族の夕食に間に合わせること」。そして「自分の異常性を誰にも気づかせないこと」。

矛盾する命題を、彼女は冷徹な演算で解き明かす。

(魔力刃では隠密性が高いけれど、一度に消せる数が少なすぎる。かといって、熱衝撃波を使えば、範囲と衝撃波で周囲の探索者まで巻き込んでしまう)

三月は漆黒のコートの中で、小さく魔力を練り上げた。

彼女が選んだのは、もっとも「地味」で、しかし「壊滅的」な殲滅方法。

彼女は周囲の狂暴種たちの足元に、ごく僅かな「重力操作(微)」を仕掛ける。

ただの重力ではない。数千倍に圧縮した、一点への局所重力だ。

ズズッ……!

突撃してくる数千の魔獣たちの足元が、突然、巨大な磁石に吸い寄せられるかのように、一点へと強制的に引きずり込まれる。

重心を崩した魔獣たちが互いに衝突し、巨大な肉の山となって積み重なっていく。

「な、なんだ!? 魔獣たちが勝手に自滅している……!?」

探索者たちが驚愕に目を見開く中、三月はコートの袖からごく小さな魔力の針を放った。

重力で一点に固められ、折り重なった数千の魔獣の中心部。

そこに圧縮された魔力を一点突破で叩き込む。

ドッ……! という、まるで心臓が止まるような小さな音。

それだけで、積み重なっていた数千の魔獣の心臓が、内側から一斉に停止した。

血飛沫を上げることもなく、ただ一瞬で数千の命が消える。

三月はそれを、まるでゴミを整理するように、淡々と、正確に繰り返していく。

「あ、ありえない……あんなにいた群れが、一瞬で動かなくなった……?」

だが、三月の冷徹な計算に、一つだけ予想外の「火種」が混入した。

防衛線をすり抜けた一体の巨大な魔獣が、三月の背後から、彼女が「か弱い少女」として立っていた地点を狙って跳躍したのだ。

その跳躍の先には、恐怖で動けなくなっていた「銀の剣」の若手探索者がいた。

(……チッ。計算外ね)

三月は一瞬だけ、眉をひそめた。

このまま見捨てれば、若手は死ぬ。だが、今ここで自分を動かせば、周囲の探索者に「自分が魔獣を殺している」と確信される。

「危ないッ!!」

若手探索者が絶望の悲鳴を上げた、その刹那。

三月は誰にも気づかれない速度で、足元の灰を蹴り上げた。

魔力を込めた灰のつぶてが、弾丸のごとき速度で魔獣の喉元を貫通する。

魔獣は跳躍の頂点で絶命し、若手探索者の数メートル手前で、無様な死体となって転がった。

「え……?」

若手探索者が、呆然と倒れた魔獣と、その背後に立っていた三月を見比べる。

三月は、これ以上ないほど怯えた表情を作り、その場にへたり込んだ。

「ひっ……うう、こわい……助けて……っ」

大粒の涙を浮かべ、か弱く震える三月。

その演技の完璧さに、若手探索者は逆に「この子が魔獣を倒した」などという発想に至るはずもなかった。

「……君、無事でよかった。……すごいな、偶然とはいえ、君は運が強いよ」

探索者は、逆に三月を憐れみ、彼女の肩を抱き寄せた。

三月の内側で、殺意が一度だけ沸き上がり、そしてすぐに霧散する。

(……汚れたわね。後でまたお風呂に入り直さないと)

蹂躙劇は続く。

彼女の日常を脅かすゴミ掃除は、まだ始まったばかりだ。

第100話をお読みいただきありがとうございます!

ついに防衛線での激闘が幕を開けました。

周囲のトップ探索者たちから「足手まとい」と侮られている三月ですが、彼女はあえてその誤解を放置し、誰にもバレない超速度と不可視の魔力刃で、次々と大物を仕留めていきます。

「か弱いFランクの少女」という隠れ蓑を着ながら、裏で数万の魔獣を掃除するという、三月にとって最高に面倒で最高に爽快な(?)縛りプレイが始まりました!

次回は、いよいよ中核を担う魔獣たちの処理と、三月の冷徹なカウントダウンが加速していきます!

面白い、続きが読みたい!と思っていただけましたら、ぜひブックマーク登録や下部の評価ボタンでの応援をよろしくお願いいたします!皆様の応援が執筆の最大のエネルギーです!次回もお楽しみに!

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