8.不意の告白
「ロゼッタ…君は私が好きなのか?」
「……は……い」
質問の内容に驚いてしまって、とっさに本当の事を
言ってしまう。
「そうか。わかった」
「……。」
それ以上何も言わず、いつもの様に仕事を始めた
ハラルト様を棒立ちで眺めたあと、ロゼッタは
おずおずと退出したのだった。
どうしよう!言ってしまった!
自分の席に戻ってから、固まったまま
仕事も手につかず座っているロゼッタを
すぐ隣のセシルが、じっと見ていた。
「ねぇ…ロゼッタ。この二三日、ボーッとしちゃって
すごい量の仕事が溜まっていってるけど…大丈夫?」
セシルは、ロゼッタの顔の前で手をふって意識の確認
をしている。
「う…うん。」
「ハラルト特務の仕事は、今ではロゼッタしか分からないんだから…手伝えるものあればやるけど?」
「だ、大丈夫」
「…今日は早退したら?なんか…ミスしそうだし…」
「う…うん。」
夕方、ハラルト特務に渡す予定だった資料をセシル
に頼み、ロゼッタは、早退して頭を冷やすことにし
た。
コンコン。
「ハラルト特務、今日出来た資料ですが…」
「ああ…ロゼッタ。そこに置いといてくれ。
それとさっきの資料だか…」
ハラルトは、セシルを見ることもなく、用件を
次々に口にする。
「あ、のっ!ハラルト特務…。よく見てください。
私はロゼッタではなくて。セ、シ、ルです。」
ピタリと手が止まる。
いつもと違う事が、何故起きたかを考えている
様だ。
「セシル嬢?何か用が?」
「ロゼッタが体調不良で早退したので、出来ている
ところまでをお持ちしました。で。は。」
愛想のない事で有名なハラルトに、愛想なく答える
セシル。
机においてさっさと退出する事にきめた。
初めてハラルトの研究室に入ったセシル。
これほど無愛想な研究員の為に、
山のような仕事をこなすロゼッタのことが
心配になった。
一度他の研究員の仕事をしたほうがいいわ。
明日ロゼッタが来たら、コンラート様のお仕事を
勧めてみよう。
そう思ったセシルだった。




