5.あなたが心配
ハラルトに午後の休息を取ってもう為に
今日もハーブティーを淹れて研究室へ向かう。
「失礼致します。ハラルト特務、そらそろ休息に
しませんか?お茶をお持ちしましたが……」
今日はバラのハーブティーにしてみた。
自分が香りで癒されたかったのかもしれない。
「あ…あ。助かる。」
朝と何も変わらないその態勢。
脳内は忙しく駆けずり回っているのかもしれない
けれど、外から見れは石像のよう…。
それでもロゼッタには
ステキな石像だわ。家に持ち帰りたい!
とすら思える完璧な仕事姿だった。
「……ハラルト様…ご結婚されるのですか?」
恐る恐る聞いてみる。
「ああ…まだ決まってはいないがな…
所長の遠縁の令嬢だそうだ。しかし…私はまだ、
好きなように仕事をしていたいのだが…」
困ったように、ふうっ。とため息をつくハラルト。
今まで散々逃げてきたのだろう。
今回ばかりは出席するしかないといった雰囲気だっ
た。
「す、好きな人がいると言ってお断りされては?」
ハラルトにその気が無いなら、見合いに行って欲し
くない!
「…もう…いないと言ってしまったんだ」
「そ、そうでしたか…」
見るからにしょんぼりしたロゼッタ。
3年かかって、ようやく今の関係性を築いたのに…
ロゼッタは、ハラルトメインのスタッフとして
働けるだけで十分だった。
彼の専門領域を少しでも手伝えるのは自分しか
いなかったし、誰もそのポジションを狙って
もいない。
信頼されたスタッフという関係。
——それだけで幸せだったのに——。
その後はあまり仕事が手につかなかったが、
夕方までに仕上がった書類を届けに、
ロゼッタは再びハラルト研究室へ向かった。
コンコン。
「ロゼッタです。資料を届けに——」
珍しく、うたた寝をしていた。
やはり、奥様が必要なのかもしれない——。
ハラルトの体を心配した。
仮眠を取るハラルトのために、自分のデスクから
ひざ掛けを持ち出して、そっとかけてあげた。
ハラルト様——。




