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仕事一筋の伯爵様は、愛について研究する  作者: シャルru


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3/26

3.仮眠室でのこと


 このところ隣国から濃い濃度の魔力が流れ込み

 ハラルト特務からの結界強化指示が頻繁にあり、

 研究だけで収まらない多忙な日がつづいていた。

 

 コンコン。

「ハラルト特務、資料を…」

 いつものように部屋に入ると、

 右手で眉間を押さえるようにして、目をつむってい

 る彼に気づいた。


「あの…どうされましたか?」

小声で話しかける。

「…ああ、ロゼッタか。少し頭痛が…」


 そういえば今週、ハラルト特務は一度も帰宅してい

 ないと研究員たちが話していた。

 顔色も悪い。

 

「あ、あの。一度仮眠室へ行きませんか?私、付き添

 います」


 ハラルト特務に付き添って、仮眠室に向かうこと

 に。

 地下にある、仮眠室は人けもなくとても静かだっ

 た。ここならゆっくり休めそうだ。

 

 2つあるベッドの手前の方に、そっと横たわる。


 ハラルト特務は、ふうっ。とため息をつき首元

 のボタンを少しゆるめながら、ゆっくりと横になっ

 た。


 その仕草と色気に目眩がしそうだ。

 しかも二人きり。

  

「こっ…ここでしばらく休んでください。

 帰る前に一度様子を見に来ますので、何かあればそ

 の時に…」


 どうしても早口になってしまう。

 話をしている間に、彼は小さな寝息をたてて

 眠ってしまっていた。


「ハラルト特務…」

 さっきよりは少し血色が良くなったように見える。

 彼の温もりが感じられる程の距離。  


 仕事中でもこんなに近くで、彼の顔をこんなにじっ

 と見つめていられることなどあるはずもなく。


 その空間はロゼッタを少し大胆にした。


 ハラルト特務。大好きです!

 早く元気になってください!


 小さく呟いて、そっと頬にキスをして

 急いで仮眠室を出た。


 パタン。

 

 

 ロゼッタが退出し、仮眠室のドアが閉まってすぐ、

 ハラルト特務のまぶたは……

 ゆっくりと開いたのだった。


 ※※


 それから、ロゼッタはいくつか途中だった仕事を終

 わらせて、帰宅前にもう一度、ハラルト特務の様子

 を見に行く事にした。


 夜ということもあり、廊下は一層静かでロゼッタの

 足跡だけが静かに響いている。

 

 起こさないように、そっと扉を開ける。

 

「…失礼します。…ハラルト特務。ロゼッタです」

 声を潜めて入室したものの、

 彼は既に起き上がり、なにやら考えている様子。


「もう、大丈夫ですか?今日は帰宅されたほうが…」

 明日の事も心配になり声をかけた。

 

「ああ。そうだな。」

 ハラルト特務は、準備したら帰るので先に帰るよう

 にと言われたので、気になりつつも一足さきに

 仮眠室を後にした。



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