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仕事一筋の伯爵様は、愛について研究する  作者: シャルru


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26/26

26.研究の成果

翌週——


 今日はハラルト様が私の両親に挨拶に来てくれる

 という。

「ハラルト様、お待ちしてました!」

 30分も前からホールでウロウロと落ち着かないでい

 た。

 いつものハラルト様とは違って、薄い青みがかった

 グレーのスーツの正装姿だった。

 普段は、研究室にこもりがちなのであまり

 服装などは気にしていない感じだったけど

 気品に満ちた出で立ちに、見とれてしまう。


 さらに今日は、あの伸び放題の前髪がキレイに

 カットされて…


 私をいつもドキドキさせるブルーの瞳と、

 すっと通った鼻筋が際立つ。

 

「ロゼッタ、挨拶に伺ったよ」

 優しく微笑まれたら、その場でふ抜けになりそうだ。


 目を合わせることもなかった3年から、数ヶ月で

 こんな日が来るなんて!!

 

しかし…

 

「お父様、お母様、こちらがハラルト·フェルド様!

 お仕事でもお世話になってるの」

 両親共に、にこやかに迎える。

  

「こんなに早くお嫁に行くとは思って居なかったなぁ」

 ふと、父が漏らした言葉にハラルトが過敏に

 反応する。


「そ、それはまだ早いという事でしょうか?」

 明らかな動揺が。

「いや…そんな事はないけれど…お付き合いして

 まだ数ヶ月とか…?急ぐ必要は無いかと…」

 一般的な見解だったが…


「それは違います」

 キッパリいうと、なにやら沢山の書類を

 出した。


 ま…まさか…!


「お父上、これは私のロゼッタに対する

 恋心の研究と考察をまとめたものです。

 まず、こちらを読んで頂いて結婚を急ぐ必要性を

 理解して頂きたいと思います」


 それに対して母が反応した。 


「そんなに急ぐなんて…まさか!子供が?」

「お、お母様!なんてことを!私たちはそんな

 関係ではありませんわ!」


 ここでハラルトは、重要な議題を提示する

 かのように低い声で話した。

 

「……早く結婚しなければ、……心臓が持たない.。

 という事です」

 

 一瞬の静けさ。


「ええ!病をかかえて?なんてこと…」

「君、それは少し無責任では!」

 青ざめる両親。これではとても賛成されそうにない。


「ち、ちょっと待ってー!」

 これでは婚約に向けての話が流れてしまう…

 そうだわ、ハラルト様、話が飛躍し過ぎているわ!

 どうにかフォローをしなければ…

 

 が、しかし…ハラルトは…

 ふと微笑むと、


「……ご安心ください。

 私が彼女を愛し過ぎて、早く結婚しなければ

 私の心臓が持たない。という事です」


 彼は恥ずかしがることもなく両親の前で、

 ロゼッタへの愛を口にした。

「なので、急ぎご挨拶に伺いました」


 こ、こんな甘い言葉がスラスラと言える人

 だったかしら?

 また新しい一面にドギマギしてしまう。


 一方で父は、冷静さを欠くことなく彼の言葉

 をきいて真剣になる。


「そうか…このノートをまとめると、今の言葉

 になるのですね」

 ウンウンと満足げな様子。

 

 しかしまた父が…

「それにしてもこの論文を読み切るのに…

 3年はかかりそうだなぁ。

 ははは。結婚はそれからか?」

 と、この場にそぐわない冗談を言う。

 

 もうっ!お父様はハラルト様を分かってない!


 まるで電波が走ったかのように、反応したハラルト様は、『そうはさせない』と、この壮大な論文の内容を確認する期限を提示した。

 

「お父上、早急に結婚したいので長くても3カ月で読んで頂きたい。お願い致します!」


 はっきり、キッパリ言い切った。


「何?!」

 焦る父と真顔のハラルト様。

 この分厚い書類の山。まるで仕事だ。


 こうして、ハラルト様の熱意により父は3カ月かけて

 なんとか論文を読み終えて、その想いの深さに

 感動を覚えたようで……。



 この顔合わせからちょうど

 3カ月後…


 ロゼッタは美しいウエディングドレスを着ていた。


参列してくれた研究室の皆は、二人の急にな展開に

未だついていけないようで、彼の満面の笑に

固まっている。 

「ロゼッタ。君から頬にキスしてもらってから

 ちょうど半年だ。」

 

 そういうと、ロゼッタの頬にキスをした。

 

「これからは、毎日君を独り占めだ!」

 

 彼はもう、仕事に夢中な研究員ではない。

 夕方には仕事を終えて、ロゼッタの待つ家へと

 帰ってくる。


 残業など決してしない。ロゼッタがいなくなった後も

 補助スタッフの誘いなどに、端から目もくれない。


 彼女と過ごす時間が、かけがえのない

 時間だと知ったからだ。


 フェルド伯爵はのイメージは変わった、

 氷の伯爵から…陽だまりの伯爵へ。

 

 

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