18.夢見心地
その言葉の衝撃は、ロゼッタの息の根を止めるかと
思ったほどだった。
ハラルト特務から気持ちを伝えて貰えるなんて!
ずっと『ごっこ』のままだと思っていた。
視界が滲んできて、よく見えない。
「なぜ?なぜ泣くんだ?ロゼッタ…」
オロオロ慌てるハラルト特務を見たのは、
多分私が初めてだ。
それが嬉しくて、ちよっとおかしくて。
「これは…嬉しい涙ですから!」
と、きちんと伝えておくことにした。
こうして、ロゼッタは3年憧れ続けたハラルトの
恋人となったのだ。
しばらく仮眠室で落ち着を取り戻し、
仕事に戻ることにした二人。
「ハラルト特務の恋人になっても、お仕事は
これまで通り、きちんと頑張りますので
よろしくお願いします」
ペコリと頭を下げ、彼を先に見送り時間を
見計らって、スタッフルームに戻る事に
したのだけれど……。
「ちょっとぉ〜。ロゼッタってば!
どういうことよ。皆驚いたのよっ?」
セシルは、ロゼッタを見つけると、
狩りの獲物を見つけたように、ピクリと
反応して、待ってました。と言わんばかりに、
隣のロゼッタのイスをポンポンと叩いた。
どうしてそんなに待ち構えているのか……
苦笑いが出そうになりながら、
席につく。
そういえば、セシルだけでなく周りのスタッフたちも
ロゼッタの様子を何となく生温かい感じでみている。
「な、何かあったの?」
とりあえず、笑顔が一番。
先ほどのハラルト特務の件といい、どういう反応
をすればいいのか迷う。
「……ぶっ!隠しても無駄だからねっ!」
仮眠室での事を見られていたのかと思うような、
セシルの言葉に、
ロゼッタの目が完全に泳ぐ。
「ふふふ……なんと言っても、ハラルト特務が
ロゼッタを抱き上げて、仮眠室へと運んだのを
皆でみたのだから!」
なるほど!
そ、そうか。さっきの
『多少の騒ぎ』って…この事ね…。
まさか…ハラルト様が抱き上げてくれたなんて。
それが記憶にない事が残念。
「それだけじゃないわよっ。ふふふ。」
自分の知らない自分の様子を聞くのが
今は一番怖い。
「ロゼッタを、運ぶときのハラルト特務の表情に、
皆、すっごく驚いたんだから!」
まさか、まさか、まさか。
私の気持ちだけでなく、先ほど自分の気持ちに
気づいたばかりのハラルト特務の気持ちまでも……。
皆に知られてしまったなんて!
彼はわかっているのかしら…?




