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転生したら最悪の領主で破滅寸前の領地を押し付けられたので内政チートで立て直します  作者: レモンティー


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第九十八話 世界一の皇帝に勝つ方法を考えたら、王様を必要としない国になった

「……王様を必要としない国を作る?」

ミディアが、俺の言葉を聞いて固まった。

「はい?」

「正確には、王様がいなくても動く国だ」

「……レアル様」

「何だ?」

「それ、国王陛下の前で言わないでくださいね」

「……確かに」

俺は少し考えた。

「言い方を変えよう」

「ぜひ、そうしてください」


アルフォンス城。

俺は、王国の行政資料を広げていた。

税金。

農業。

水道。

道路。

学校。

病院。

治安。

軍事。

外交。

国を運営する仕事は、山ほどある。

だが、その多くは国王が直接処理しているわけではない。

地方の役人。

領主。

商人。

農民。

職人。

さまざまな人間が、日々の仕事をこなしている。

「……つまり」

俺は呟いた。

「国王が一日休んでも、国は動く」

ミディアが頷いた。

「当然です」

「一週間休んでも?」

「重要案件は滞りますが、通常業務は続きます」

「一か月なら?」

「さすがに問題が出ます」

俺は頷いた。

「ならば、一か月休んでも動く仕組みを作ればいい」

ミディアは、しばらく黙っていた。

そして、静かに言った。

「……それは、行政制度の改革ですね」

「そうだ」

俺は、国王に提案書を提出した。

『王国行政継続計画』

内容は、単純だった。

各地方に、一定の決定権を与える。

予算の使途を公開する。

行政手続きを標準化する。

担当者が不在でも、業務を引き継げるようにする。

さらに、重要な政策については、複数の担当者が確認する。

国王は提案書を読み終えた。

「……レアル」

「はい」

「これは、私の権限を減らす提案か?」

俺は少し考えた。

「……一部は、そうなります」

国王は黙った。

俺は続けた。

「ですが、陛下の負担も減ります」

国王が顔を上げた。

「……何?」

「地方の水路修理まで、王宮の許可を待つ必要はありません」

「……確かに」

「学校の机を買うために、王宮へ書類を送る必要もありません」

「……それもそうだ」

俺は頷いた。

「陛下には、もっと重要な仕事があります」

国王は、しばらく考えた。

そして、静かに笑った。

「……なるほど」

「……?」

「つまり、お前は私を楽にしたいのだな」

「……まあ、そういうことです」

国王は笑った。

「よし。試してみよう」

改革は、まず王国東部で始まった。

村の井戸が壊れた。

以前なら、村長が領主へ報告し、領主が役所へ申請し、予算の承認を待っていた。

だが、新制度では違う。

村の共同予算から修理費を支出できる。

一定額を超える場合だけ、上位の役所へ報告する。

工事が終われば、費用と結果を公開する。

「……井戸が三日で直った?」

俺は報告書を見て驚いた。

ミディアが頷いた。

「はい」

「前は?」

「二十日以上かかっていました」

「……早いな」

「村長が、必要な職人を直接手配できるようになりましたから」

俺は笑った。

「いいじゃないか」

次に、道路の修理。

学校の備品購入。

農業用水路の整備。

病院の薬品調達。

さまざまな仕事が、地方で処理できるようになった。

もちろん、問題も起きた。

予算を使いすぎる村。

帳簿を間違える役人。

必要のない工事を申請する領主。

だが、それらも記録を公開し、監査することで改善していった。


数か月後。

王国全土の行政指標が改善し始めた。

【世界統治システム】

《行政処理速度:向上》

《地方自治能力:向上》

《財政透明性:向上》

《政策継続性:向上》

《中央政府への依存度:低下》

俺は画面を見つめた。

「……いい感じだな」

ミディアが頷いた。

「はい」

「国王陛下が休んでも、国は動く」

「そうですね」

「俺が休んでも?」

ミディアは、しばらく黙っていた。

そして、答えた。

「……それは、もう少し先ですね」

「何でだよ!」


一方。

帝国首都。

皇帝アウグストは、統治システムを見つめていた。

【帝国統治システム】

《中央統制率:高》

《命令伝達速度:高》

《地方裁量:低》

《行政継続性:低下》

皇帝は眉をひそめた。

「……行政継続性?」

宰相が説明した。

「地方の判断が、皇帝陛下の承認に集中しております」

「……それが何だ?」

「陛下の決裁を待つ案件が、増加しています」

「……」

「さらに、戦時総動員令によって、地方の行政官が軍務へ転用されています」

皇帝は黙った。

宰相は続けた。

「陛下の命令は、非常に強力です」

「……当然だ」

「ですが、命令がなければ動けない部署も増えています」

皇帝は、しばらく考えた。

そして、静かに呟いた。

「……強すぎる支配は、弱さにもなるのか」


その夜。

皇帝の統治システムに、新しい表示が現れた。

【統治方式比較】

《王国:分散協調型》

《帝国:中央集権型》

《経済回復力:王国優位》

《行政継続性:王国優位》

《軍事動員速度:帝国優位》

《危機対応の柔軟性:王国優位》

皇帝は、画面を見つめた。

そして、静かに笑った。

「……アルフォンス」

その声には、怒りではなく、驚きが混じっていた。

「お前は、王を強くするのではなく……」

皇帝は呟いた。

「王がいなくても動く国を作ったのか」

アルフォンス城。

俺は、国王から届いた書状を読んでいた。

『行政改革は順調である』

『地方の負担も軽減されている』

『ただし、一つだけ問題がある』

俺は眉をひそめた。

「……問題?」

続きを読む。

『私の仕事が減りすぎた』

俺は思わず笑った。

「……いいことじゃないか」

その下には、さらに一文があった。

『今度、休暇を取ってアルフォンス領を視察したい』

俺は固まった。

「……え?」

ミディアが尋ねた。

「どうされました?」

俺は書状を見せた。

ミディアは笑った。

「よかったですね」

「何が!」

「国王陛下が、領地へ遊びに来られるそうですよ」

俺は頭を抱えた。

「……仕事が減ったと思ったのに!」

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