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転生したら最悪の領主で破滅寸前の領地を押し付けられたので内政チートで立て直します  作者: レモンティー


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第七十六話 ガイゼルを初めて出し抜いたら、敵将が本気になった

王国東部。

灰石平原の北側。

帝国軍の補給隊が、街道を進んでいた。

荷車が並ぶ。

食料。

飼料。

武器。

医薬品。

そのすべてが、前線へ運ばれていた。

しかし今回は、王国軍が補給隊を攻撃することはなかった。

むしろ、周辺の市場では商人たちが商売を再開していた。

「……妙だな」

帝国軍の補給将校が呟いた。

「王国軍が、何もしてこない」

副官が答えた。

「交易協定が、まだ一部有効だからでは?」

「……そうかもしれん」

しかし、将校は不安を感じていた。

帝国軍本陣。

ガイゼルは、補給状況の報告を受けていた。

「……灰石平原周辺で、物資調達が容易になっています」

「そうか」

「王国側の商人も、交易を再開しています」

ガイゼルは眉をひそめた。

「……アルフォンスが許可したのか?」

「そのようです」

「……妙だな」

副官が尋ねた。

「……何か問題が?」

ガイゼルは答えた。

「アルフォンスが、敵に利益を与える理由が分からん」


その頃。

アルフォンス城。

エリオは、地図を見つめていた。

「……敵が動きました」

ミディアが頷いた。

「予定通りです」

レアルが尋ねた。

「……どこへ?」

エリオは地図を指さした。

「灰石平原の北側です」

「……なるほど」

ミディアが続けた。

「補給拠点が整ったため、帝国軍は北側の進軍路を選びました」

レアルは頷いた。

「……作戦の第一段階だな」


翌日。

帝国軍の一軍団が、北側の街道へ進軍した。

兵力は約一万二千。

指揮官は、ガイゼルの部下だった。

「……前方に王国軍!」

斥候が報告する。

「兵力は?」

「約三千!」

指揮官は笑った。

「……少ないな」

しかしその瞬間。

左右の丘陵から、王国軍が現れた。

「……敵だ!」

帝国軍の指揮官が叫んだ。

「陣形を整えろ!」

だが、遅かった。

王国軍は、すでに高地を確保していた。

エリオは、丘の上から戦場を見ていた。

「……敵が混乱しています」

副官が報告する。

「よし」

エリオは頷いた。

「中央を押さえろ」

「……はい!」

「ただし、包囲を急ぐな」

副官が顔を上げた。

「……なぜですか?」

エリオは答えた。

「敵に、退路があると思わせる」

帝国軍は、南側へ撤退を開始した。

しかしその先には、王国軍の別部隊が待っていた。

「……何だと!」

帝国軍の指揮官が叫んだ。

「退路が塞がれている!」

副官が尋ねた。

「……どうしますか!」

指揮官は歯を食いしばった。

「……西へ!」

しかし、西側にも王国軍がいた。

帝国軍は、次第に包囲されていった。


数時間後。

帝国軍一万二千は、大きな損害を受けて撤退した。

王国軍は、敵軍の一部を捕虜にした。

エリオは、初めてガイゼルの軍団を大きく出し抜いた。

帝国軍本陣。

ガイゼルは、報告書を読んでいた。

「……北側の軍団が敗北しました」

副官が頭を下げた。

「申し訳ありません」

ガイゼルは黙っていた。

やがて、静かに口を開いた。

「……補給拠点を利用されたか」

副官が顔を上げた。

「……はい?」

「アルフォンスは、こちらの進軍方向を誘導した」

「……まさか」

ガイゼルは地図を見つめた。

「商人の動きで補給拠点を作り、そこへ我々を集めた」

副官が息を呑んだ。

「……そんなことが?」

「できる」

ガイゼルは答えた。

「アルフォンスならな」

しかしガイゼルは、そこで首を振った。

「……いや」

副官が尋ねた。

「……将軍?」

「違う」

ガイゼルは、地図の兵力配置を見つめた。

「この作戦は、アルフォンス一人のものではない」

「……では?」

ガイゼルは答えた。

「補給計画は、ミディア」

「……はい」

「戦術は、エリオ」

そして、静かに笑った。

「……なるほど」

副官が尋ねた。

「……どうされますか?」

ガイゼルは立ち上がった。

「全軍に命じろ」

「……はい!」

「これより、王国軍を正式な主敵として扱う」

副官が驚いた。

「……今までも敵でしたが?」

ガイゼルは首を振った。

「違う」

そして、静かに言った。

「今までは、アルフォンスを警戒していた」

ガイゼルは地図を指さした。

「これからは、エリオも警戒する」

アルフォンス城。

エリオは、勝利の報告を終えた。

レアルが笑った。

「……よくやった」

ミディアも頷いた。

「補給計画も、予定通りでした」

エリオは深く頭を下げた。

「……ありがとうございます」

しかしヴァルクは、静かに言った。

「……喜ぶのは、まだ早い」

エリオが顔を上げた。

「……なぜですか?」

ヴァルクは答えた。

「ガイゼルが、本気になる」

エリオは黙った。

レアルも頷いた。

「……そうだな」

そのとき統治システムに、新しい警告が表示された。

【緊急警告】

《帝国軍主力、再編開始》

《ガイゼル直属軍、前線へ移動》

《推定兵力:十万》

レアルは、画面を見つめた。

「……十万か」

そして、静かに笑った。

「……いよいよ、本番だな」

エリオは、地図を見つめた。

その目には、以前のような恐怖はなかった。

「……はい」

そして、静かに答えた。

「今度こそ、勝ちます」

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