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転生したら最悪の領主で破滅寸前の領地を押し付けられたので内政チートで立て直します  作者: レモンティー


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第七十四話 ミディアが戦場の帳簿を調べたら、敵軍の弱点が見つかった

アルフォンス城。

深夜。

ミディアは、机の上に積まれた帳簿を見つめていた。

帝国軍の補給記録。

商人の取引記録。

倉庫の在庫。

輸送隊の通過日時。

そして、各地の市場価格。

「……おかしいですね」

ミディアは、静かに呟いた。

隣にいたレアルが顔を上げる。

「……何が?」

「帝国軍の補給量です」

「……足りないのか?」

「いいえ」

ミディアは首を振った。

「むしろ、十分すぎるほどあります」

レアルは眉をひそめた。

「……それなら問題ないだろう」

「そうなのですが……」

ミディアは帳簿を指さした。

「補給量が、一定ではありません」

ミディアは、帝国軍の輸送記録を並べた。

一日目。

食料輸送、二百トン。

二日目。

食料輸送、百八十トン。

三日目。

食料輸送、二百十トン。

四日目。

食料輸送、百九十トン。

五日目。

食料輸送、四百五十トン。

レアルが眉をひそめた。

「……五日目だけ多いな」

「はい」

「理由は?」

「大型輸送隊が到着するためです」

レアルは頷いた。

「……なるほど」

ミディアは続けた。

「ですが、もっと重要なのは、その翌日です」

「……翌日?」

「帝国軍は、大型輸送隊が到着した翌日に進軍しています」

レアルは顔を上げた。

「……つまり?」

「補給が整った直後に、軍を動かしているのです」


翌朝。

ミディアは、エリオを呼んだ。

「……エリオ様」

「何でしょう?」

「帝国軍の補給記録を調べました」

エリオは頷いた。

「……ありがとうございます」

ミディアは帳簿を広げた。

「ガイゼル軍は、五日周期で補給を受けています」

「……はい」

「そして、大型輸送隊が到着した翌日に進軍する傾向があります」

エリオは地図を見た。

「……つまり、進軍日を予測できる」

「そうです」

エリオは少し考えた。

「……ですが、それだけでは勝てません」

ミディアが頷いた。

「はい」

「ガイゼルは、補給路を三本に分けています」

「その通りです」

エリオは続けた。

「一本を止めても、残り二本で補給できます」

ミディアは静かに笑った。

「……では、三本とも止めれば?」

エリオは首を振った。

「不可能です」

「……なぜ?」

「敵の護衛が多すぎます」

ミディアは頷いた。

「そうですね」

そして、帳簿を閉じた。

「では、止める必要はありません」

エリオが顔を上げた。

「……え?」

ミディアは答えた。

「補給路を止めるのではなく、補給路が集まる場所を調べればいいのです」

帝国軍の補給路は、三本に分かれていた。

しかしその三本は、完全に独立しているわけではなかった。

北側の街道。

中央街道。

南側の街道。

それぞれの輸送隊は、最終的に帝国軍の後方補給拠点へ集まる。

ミディアは、その場所を地図に示した。

「……ここです」

エリオは、地図を見つめた。

「……灰石平原」

「はい」

「……ここに、物資が集まる?」

「正確には、ここを通過する輸送隊が多いのです」

エリオは少し考えた。

「……なるほど」

そして、ゆっくりと笑った。

「……補給を止める必要はない」

ミディアが頷いた。

「はい」

エリオは続けた。

「敵が補給を受ける場所を、予測できればいい」


その日の午後。

レアルは、二人の報告を聞いていた。

「……灰石平原か」

エリオが頷いた。

「はい」

ミディアが続けた。

「帝国軍は、この平原を重要な輸送拠点として利用しています」

レアルは地図を見つめた。

「……だが、敵もそれを知っている」

「はい」

「当然、守りを固めるだろう」

エリオが答えた。

「その通りです」

レアルは尋ねた。

「……では、どうする?」

エリオは、少し考えた。

そして、静かに答えた。

「……敵に、ここを安全だと思わせます」

レアルは笑った。

「……なるほど」

ミディアも頷いた。

「そのために、商人の輸送記録を使えます」

レアルは、二人を見た。

「……面白い」

そして、静かに言った。

「二人で、作戦を考えてみろ」

エリオとミディアは顔を見合わせた。

「……私たちで?」

「ああ」

レアルは頷いた。

「戦術と経済を組み合わせる」

そして、笑った。

「ガイゼルが、まだ見たことのない作戦を作ってくれ」

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