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転生したら最悪の領主で破滅寸前の領地を押し付けられたので内政チートで立て直します  作者: レモンティー


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第六十九話 敵将ガイゼルの作戦を百回研究したら、共通点が見つかった

アルフォンス城。

深夜。

エリオの執務室には、大量の地図と報告書が積み上げられていた。

机の上には、ガイゼルが指揮した戦闘の記録。

二十年前の帝国南部戦争。

十五年前の山岳戦役。

八年前の反乱鎮圧。

そして、王国への二度の侵攻。

エリオは、一つ一つの戦闘を調べていた。

「……まただ」

彼は、あることに気づいた。

ガイゼルは、決して無謀な戦いをしない。

必ず予備兵を残す。

必ず退路を確保する。

必ず補給路を守る。

そして「……勝てる戦場でしか、決戦しない」

エリオは呟いた。


翌朝。

エリオは、レアルの執務室を訪れた。

「……レアル様」

「何だ?」

「ガイゼルの戦術に、共通点を見つけました」

レアルは顔を上げた。

「……聞こう」

エリオは地図を広げた。

「ガイゼルは、必ず予備兵を残します」

「そうだな」

「そして、退路を確保します」

「……なるほど」

「つまり、彼は負けないための準備を徹底しています」

レアルは頷いた。

「……優秀な将軍だ」

「はい」

エリオは続けた。

「ですが、裏を返せば……」

レアルが尋ねた。

「……何だ?」

「退路と予備兵を失えば、ガイゼルは決戦を避けるはずです」

レアルは少し考えた。

「……つまり?」

エリオは答えた。

「敵に、退路が安全だと思わせる必要があります」

レアルは静かに笑った。

「……面白い」


その日の午後。

エリオは、ヴァルクにも分析結果を見せた。

「……なるほど」

ヴァルクは地図を見つめた。

「確かに、ガイゼルは慎重な将軍だ」

「はい」

「だが、慎重な将軍ほど、簡単には騙せん」

エリオは頷いた。

「分かっています」

ヴァルクは続けた。

「お前は、ガイゼルを罠にかけたいのだろう?」

「はい」

「ならば、覚えておけ」

ヴァルクは静かに言った。

「敵が罠に気づいたとき、どう動くかまで考えろ」

エリオは顔を上げた。

「……罠に気づいたとき?」

「そうだ」

ヴァルクは続けた。

「優秀な将軍は、罠を見破る」

「……はい」

「さらに優秀な将軍は、罠を利用する」

エリオは黙った。

ヴァルクは笑った。

「ガイゼルは、後者だ」


その夜。

エリオは、再び地図を広げた。

「……罠を利用する」

その言葉を、何度も繰り返した。

ガイゼルが罠に気づく。

そして、逆に王国軍を包囲する。

白霧峡谷と同じだ。

「……ならば」

エリオは、地図に新しい線を引いた。

「罠に気づいた後の行動まで、利用できれば……」

その瞬間、エリオの手が止まった。

「……そうか」

彼は、ゆっくりと笑った。

「ガイゼルは、必ず安全な退路を選ぶ」

ならば。

その退路を、こちらが選ばせればいい。


翌朝。

エリオは、レアルとミディアを呼んだ。

「……お願いがあります」

レアルが尋ねた。

「何だ?」

「帝国軍の補給記録を、可能な限り集めてください」

ミディアが顔を上げた。

「……補給記録?」

「はい」

「何を調べるのですか?」

エリオは答えた。

「ガイゼルが、どの道を安全だと考えているかです」

ミディアは少し考えた。

そして、頷いた。

「……分かりました」

レアルは静かに笑った。

「……ようやく、面白くなってきたな」

エリオは地図を見つめた。

「……今度は、こちらが戦場を選びます」

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