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転生したら最悪の領主で破滅寸前の領地を押し付けられたので内政チートで立て直します  作者: レモンティー


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第六十三話 前回の作戦をもう一度使ったら、敵将に全部見破られた

帝国軍が国境を越えた。

その進軍は、驚くほど慎重だった。

先鋒部隊。

偵察部隊。

補給隊。

工兵隊。

そして、主力軍。

すべてが整然と動いていた。

レアルは報告書を見つめた。

「……隙がないな」

ヴァルクが頷いた。

「前回とは別の軍隊です」

エリオが尋ねた。

「……どうしますか?」

「まず、前回と同じ作戦を試す」

「……同じ作戦を?」

「敵がどう対応するか、確認する」

王国軍は、帝国軍の補給路周辺で小規模な陽動を開始した。

橋の封鎖。

街道の監視。

輸送隊への牽制。

しかし「……敵が動きません!」

斥候が報告した。

「橋を封鎖しても、別の道を使っています!」

「補給隊も、護衛が多く近づけません!」

レアルは頷いた。

「……予想通りだ」

エリオが眉をひそめた。

「……完全に対策されています」

「そうだな」

さらに、別の報告が届いた。

「……帝国軍が、こちらの陽動部隊を包囲しようとしています!」

ヴァルクが立ち上がった。

「撤退させろ!」

帝国軍本陣。

ガイゼルは、報告を聞いて笑っていた。

「……橋の封鎖か」

副官が頷いた。

「はい」

「前回と同じだな」

「……そうですね」

ガイゼルは地図を指さした。

「アルフォンスは、我々の対応を見ている」

副官が驚いた。

「……では、これは本格的な攻撃ではない?」

「そうだ」

ガイゼルは答えた。

「こちらの補給制度が改善されたか、試している」

「……なるほど」

「ならば、見せてやろう」

ガイゼルは命じた。

「第一軍を前進させろ」

「……はい!」

「王国軍の防衛線を、正面から押し潰す」


翌日。

帝国軍第一軍六万が、王国東部の防衛線へ進軍した。

王国軍は、約二万。

三倍の兵力差。

ヴァルクが地図を見つめた。

「……正面から来るか」

エリオが尋ねた。

「迎撃しますか?」

「いや」

レアルは首を振った。

「防衛線を一段下げる」

「……撤退ですか?」

「そうだ」

「ですが、敵は勢いに乗ります」

「分かっている」

レアルは静かに答えた。

「今は、敵の戦い方を知る」


その日の夕方。

王国軍は、防衛線を後退させた。

帝国軍は、予定通り前進した。

しかしガイゼルは追撃を命じなかった。

「……追わないのですか?」

副官が尋ねた。

「追わん」

「……なぜ?」

「アルフォンスは、こちらを奥へ誘っている」

ガイゼルは笑った。

「前回の戦争で学んだ」

そして、地図を指さした。

「今回は、補給拠点を確保しながら進む」

アルフォンス城。

エリオが報告した。

「……敵は追撃してきません」

「そうか」

レアルは頷いた。

「ガイゼルは、前回の失敗を完全に克服している」

ヴァルクが腕を組んだ。

「……厄介な敵です」

「そうだな」

レアルは少し考えた。

そして、エリオを見た。

「……お前なら、どうする?」

エリオは驚いた。

「……私ですか?」

「ああ」

「……私は……」

エリオは地図を見つめた。

しばらく考えた後、静かに答えた。

「敵が慎重なら、慎重さを利用します」

レアルは笑った。

「……続けろ」

エリオは地図の一点を指さした。

「ここです」

そこは、王国東部の山岳地帯だった。

「……黒岩谷の北にある、白霧峡谷です」

レアルの表情が変わった。

「……なるほど」

エリオは続けた。

「敵を、ここへ誘い込みます」

その言葉を聞いた瞬間。

ヴァルクが、静かに眉をひそめた。

「……エリオ」

「はい」

「峡谷は、敵を閉じ込める場所にもなるが……」

ヴァルクは続けた。

「こちらが閉じ込められる場所にもなる」

エリオは頷いた。

「……分かっています」

しかしその目には、強い決意が宿っていた。

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