↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら最悪の領主で破滅寸前の領地を押し付けられたので内政チートで立て直します  作者: レモンティー


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
57/101

第五十七話 王位を決めろと言われたので、先に王国の食料を確保することにした

王都の穀物価格が、再び急騰した。

「……前月比、一・八倍です」

ミディアが報告した。

「このままでは、貧しい家庭から食料を買えなくなります」

レアルは帳簿を閉じた。

「備蓄は?」

「王都全体で、約十日分です」

「……少ないな」

「商人たちが輸送を控えています」

レアルは地図を広げた。

「ならば、輸送を再開させる」


その日の午後。

王国各地の商人が集められた。

「……アルフォンス卿」

老商人が口を開いた。

「王都へ食料を運べと?」

「そうだ」

「ですが、街道は危険です」

「護衛を付ける」

「第二王子派の兵士が、勝手に食料を徴発しています」

「それも止める」

商人たちは顔を見合わせた。

「……本当に?」

「王国軍の中立部隊と協力する」

レアルは続けた。

「さらに、食料輸送の優先通行証を発行する」

「……通行証?」

「王国財政特別顧問として、正式な手続きを取る。各地の領主にも協力を求める」

老商人は頷いた。

「……それならば」

「ただし、条件がある」

レアルは続けた。

「不当な値上げは認めない」

商人たちが顔をしかめた。

「……利益が減ります」

「適正な利益は保証する」

レアルは答えた。

「輸送費と危険手当は支払う。だが、飢えた民から金を巻き上げる商売には協力しない」


三日後。

王都へ向かう街道に、大量の荷車が現れた。

穀物。

干し肉。

塩。

保存食。

王国各地から集められた食料だった。

しかし王都の入口で、第二王子派の兵士たちが立ちはだかった。

「……止まれ!」

商隊の代表が顔を上げた。

「何でしょう?」

「食料の一部を、王子殿下の軍へ納めてもらう」

「……徴発ですか?」

「そうだ」

商人は困った顔をした。

「ですが、これは王都の民へ届ける食料です」

「王子殿下の命令だ!」

そのとき背後から、騎馬隊が現れた。

「……その命令書を見せてもらおう」

ヴァルクだった。

兵士たちが顔を上げた。

「……アルフォンス軍?」

「王国軍の護衛任務中だ」

ヴァルクは静かに答えた。

「正式な徴発命令がない限り、商隊の物資を奪うことは認められない」

「……だが、王子殿下が!」

「命令書は?」

兵士たちは黙った。

ヴァルクは続けた。

「王国法に従え」


翌日。

王都の市場に、大量の食料が運び込まれた。

「……穀物だ!」

「食料が来たぞ!」

人々が歓声を上げた。

市場の価格は、少しずつ下がり始めた。

しかし第二王子の屋敷では、怒号が響いていた。

「……またアルフォンスか!」

王子が机を叩いた。

「私の兵士を止めただと!」

側近が頭を下げた。

「……正式な徴発命令がなかったため、王国軍が介入したようです」

「ふざけるな!」

「さらに、王都の民からアルフォンス卿への支持が高まっています」

王子の顔色が変わった。

「……何?」

「市場では、あの方を英雄と呼ぶ者まで……」

王子は唇を噛んだ。

「……許さん」


その夜。

レアルの執務室。

リシアが報告書を持ってきた。

「……王都の食料価格が下がり始めました」

「もう一つあります。王位継承を審議する諸侯会議が、国庫印章の管理権をめぐって割れています」

「印章?」

「新王の承認がなければ大口支出を認めないという派閥と、空位の間は第二王子が管理すべきだという派閥です」

レアルは顔をしかめた。

「食料を運んでも、代金を払う印章が止まれば次の商隊は来ないな」

「はい。王位争いが市場の決済まで止めようとしています」

「ならば暫定会計を作る。王位とは切り離し、支出は複数の署名と公開記録を条件にする」

「王子たちは反対します」

「だから両派に同じ条件を突きつける」

「そうか」

「ですが、第二王子派の反発が強まっています」

「だろうな」

リシアは少し考えた。

「……あなたは、王位継承に関与するつもりはないのですね?」

「ない」

「ですが、王国の食料と物流を握れば、政治的な影響力は増します」

「それは分かっている」

レアルは静かに答えた。

「だが、今は必要なことだ」

リシアは頷いた。

「……あなたが王国を動かしているように見えます」

「そうか?」

「はい」

レアルは少し笑った。

「ならば、王子たちにも仕事をしてもらいたいものだな」


数日後。

王都の広場で、一人の男が叫んだ。

「……アルフォンス卿こそ、王国を救った英雄だ!」

人々が集まった。

「帝国軍十万を退けた!」

「食料を運んでくれた!」

「貴族の不正を暴いた!」

男は続けた。

「……王子たちは、何をした!」

沈黙が落ちた。

そして誰かが叫んだ。

「……アルフォンス卿が王になればいい!」

その声は、瞬く間に広がった。

アルフォンス城。

ミディアが、震える手で報告書を差し出した。

「……レアル様」

「何だ?」

「王都で……」

「……どうした?」

「あなたを国王にしようという動きが、始まっています」

レアルは固まった。

「……は?」

ミディアは真剣な顔で続けた。

「民衆の一部が、あなたを王に推す署名を集め始めています」

レアルは、しばらく黙っていた。

そして、深くため息をついた。

「……誰がそんな面倒なことを始めた」


【統治システム更新】

・王都食料価格:下落

・民衆支持率:上昇

・王位継承争い:継続

【新規イベント】

《レアル擁立運動》

《王位簒奪疑惑:拡大》

レアルは画面を見つめた。

「……王様なんぞ、やるつもりはないんだがな」

しかしその言葉を、王都の民衆はまだ知らなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。