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転生したら最悪の領主で破滅寸前の領地を押し付けられたので内政チートで立て直します  作者: レモンティー


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第五十六話 国王が死んだので、王国中の貴族が俺に味方を求めてきた

国王崩御。

その知らせは、王国全土を駆け巡った。

王都では鐘が鳴り響き、人々は黒い布を掲げた。

市場は一時閉鎖され、王宮では葬儀の準備が始まった。

しかし悲しみに暮れる時間は、長くなかった。

「……第一王子殿下こそ、正統な後継者だ!」

「いや、第二王子殿下の方が王国を導ける!」

貴族たちは、早くも二つの派閥に分かれていた。

そして、その両方が、同じ人物を必要としていた。

レアル・アルフォンス。

王国財政を改善し、帝国軍十万を撤退させた領主。

今や、王国で最も影響力を持つ人物の一人だった。

アルフォンス城。

「……また使者です」

ミディアが疲れた顔で報告した。

「今度はどこだ?」

「第一王子派の公爵家です」

「断れ」

「……まだ用件を聞いていません!」

「どうせ協力要請だろう」

「……その通りです」

レアルは帳簿を閉じた。

「では、断れ」

ミディアは深くため息をついた。

「……これで七件目です」

「今日は?」

「はい」

レアルは少し考えた。

「……多いな」

「多すぎます!」


その日の午後。

第二王子派からも使者が訪れた。

「……アルフォンス卿」

使者は深く頭を下げた。

「第二王子殿下は、あなたの功績を高く評価されています」

「それはありがたい」

「殿下に協力していただければ、王国宰相の地位を……」

「断る」

使者は固まった。

「……まだ条件を申し上げておりません!」

「聞く必要がない」

レアルは答えた。

「王位継承は、法に従って決めるべきだ」

「ですが、第二王子殿下は……」

「王位継承順位は?」

使者は黙った。

「……第一王子殿下が上位です」

「ならば、まずその事実を認めろ」

使者は顔を引きつらせた。

「……アルフォンス卿」

「何だ?」

「殿下を敵に回すことになりますぞ」

レアルは静かに笑った。

「すでに何度も敵に回している」


その夜。

リシアが、王国の貴族勢力図を持ってきた。

「……状況は、あまり良くありません」

「そうだろうな」

「第一王子派は、王位継承順位で優位です」

「はい」

「しかし、第二王子派は、財務院の一部と有力貴族を掌握しています」

「……つまり、政治的には互角か」

「そうです」

レアルは地図を見つめた。

「軍は?」

「王都守備隊は、原則として中立を維持しています」

「よし」

「ですが、地方貴族の私兵は別です」

リシアは続けた。

「第二王子派の一部が、兵を集め始めています」

ミディアが顔を上げた。

「……内乱になるのですか?」

「可能性はあります」

レアルは静かに答えた。

「だが、まだ止められる」


翌朝。

王都の市場で、異変が起きた。

「……穀物が値上がりしている?」

「昨日より三割高いぞ!」

「また戦争になるのか?」

商人たちは、食料の販売を控え始めた。

王位継承争いが激化すれば、街道が封鎖されるかもしれない。

そう考えたからだ。

さらに一部の貴族が、食料を大量に買い集め始めた。

「……またか」

レアルは報告書を読み、眉をひそめた。

ミディアが尋ねる。

「……どうしますか?」

「まず、食料を確保する」

「……王位継承より先に?」

「当然だ」

レアルは答えた。

「王様が誰になるかより、民が明日食べられるかどうかの方が重要だ」


その日の午後。

レアルは、王国各地の商人へ書状を送った。

『王都への食料供給を維持する』

『輸送路の安全を確保する』

『不当な買い占めを防止する』

『商人の正当な利益は保証する』

商人たちは、次々と協力を表明した。

しかし王都の貴族たちは、その動きを警戒していた。

「……アルフォンス卿が、また食料を動かしている」

「王都の民を味方につけるつもりか?」

「このままでは、王子たちより支持を集めるぞ」

そして第二王子の屋敷。

「……レアル・アルフォンス」

第二王子は、報告書を握り潰した。

「また、あの男か」

側近が尋ねる。

「……どうされますか?」

王子は静かに笑った。

「王都の民が、あの男を英雄と呼ぶなら……」

そして、続けた。

「英雄が王になりたがっているという噂を流せ」


数日後。

王都に、不穏な噂が広がり始めた。

『アルフォンス卿は、王位を狙っている』

『帝国軍を退けた功績を利用し、王国を支配するつもりだ』

『王子たちを排除し、自ら国王になる計画がある』

その報告を聞いたレアルは、静かに笑った。

「……なるほど」

ミディアが青ざめた。

「……笑っている場合ではありません!」

「そうだな」

「反逆罪にされるかもしれません!」

「分かっている」

レアルは立ち上がった。

「だから、先に動く」

「……何をするのですか?」

「王位を決めるのではない」

レアルは地図を広げた。

「王国の食料を守る」


【統治システム更新】

・王国政治安定度:低下

・王位継承争い:激化

・王都食料価格:上昇

・レアルへの支持:上昇

【新規警告】

《王位簒奪の噂が拡散》

レアルは画面を見つめた。

「……王様になりたいわけじゃないんだがな」

ミディアが小さく呟いた。

「……それが一番、信じてもらえないのかもしれません」

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