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転生したら最悪の領主で破滅寸前の領地を押し付けられたので内政チートで立て直します  作者: レモンティー


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第四十六話 王国が内輪揉めしている間に、隣国が十万の軍勢で攻めてきた

帝国軍、十万。

その数字が王都へ伝わった瞬間、王宮は騒然となった。

「……十万だと!」

「王国軍は、何をしている!」

「国境の守備隊だけでは防げません!」

重臣たちが叫び合う。

第一王子派。

第二王子派。

財務院。

軍務院。

それぞれが責任を押し付け合っていた。

その会議室の中央で、レアルは黙って地図を見つめていた。

「……アルフォンス卿!」

一人の貴族が怒鳴った。

「何か意見はないのか!」

レアルは顔を上げた。

「あります」

「ならば、早く申せ!」

「まず、静かにしてください」

会議室が凍りついた。

「……何?」

「叫んでも、帝国軍は減りません」

レアルは地図を指さした。

「必要なのは、敵の位置、補給状況、進軍速度です」

軍務院の報告が始まった。

帝国軍の先鋒、二万。

主力、五万。

後続部隊、三万。

合計十万。

国境付近に集結し、王国への侵攻準備を進めている。

「……王国軍の動員可能兵力は?」

レアルが尋ねた。

軍務官が答える。

「全軍を集めれば、七万ほどです」

「集めるまでに何日かかる?」

「……一か月以上」

「では、間に合わんな」

会議室が静かになった。

「現時点で国境へ投入できる兵力は?」

「……約二万です」

「帝国軍の五分の一か」

レアルは頷いた。

「正面から戦えば負ける」

一人の貴族が立ち上がった。

「弱気なことを言うな!」

「事実です」

レアルは即答した。

「勇気で兵力差は埋まりません」


その日の午後。

レアルはアルフォンス領の家臣たちを集めた。

ヴァルク。

エリオ。

ミディア。

そして、リシア。

「……帝国軍十万ですか」

ヴァルクが腕を組んだ。

「正面からの迎撃は不可能です」

「そうだな」

レアルは頷いた。

「だから、戦場を選ぶ」

エリオが尋ねる。

「……どこで戦うのですか?」

「まだ戦わん」

「……はい?」

「敵を歩かせる」

レアルは地図を広げた。

「帝国軍が国境を越えれば、食料が必要になる」

「はい」

「十万人が一日に消費する食料は膨大だ。馬の飼料も必要になる」

ミディアが頷いた。

「補給が続かなければ、軍は動けません」

「そうだ」

レアルは街道を指さした。

「橋、道路、倉庫、渡河地点。敵が通る場所を把握する」

ヴァルクが尋ねた。

「破壊しますか?」

「必要ならな。ただし、住民の避難を優先する。橋を壊して味方の逃げ道まで失っては意味がない」

「承知しました」

「さらに、食料を前線から移す」

「……焦土作戦ですか?」

「違う」

レアルは首を振った。

「領民の財産を無意味に焼くつもりはない。移動できるものは移動し、移動できないものは守る」

ミディアが小さく息を吐いた。

「……安心しました」

レアルは続けた。

「敵に食料を渡さず、領民も飢えさせない。その両方をやる」


三日後。

国境の町では、大規模な避難が始まっていた。

荷車に家財道具を積む住民。

家畜を連れて歩く農民。

倉庫から穀物を運び出す商人。

その様子を見て、一人の老人が尋ねた。

「……領主様」

「何だ?」

「わしらは、もう戻れんのですか?」

レアルは老人を見た。

「戻れるようにする」

「……本当ですか?」

「約束はできん」

老人の顔が曇った。

レアルは続けた。

「だが、戻る場所を残すために戦う」

老人は、しばらく黙っていた。

そして、深く頭を下げた。

「……お願いします」


一週間後。

帝国軍が国境を越えた。

先鋒二万。

その後ろに、主力軍。

さらに、長大な補給隊。

帝国軍の旗が、地平線を埋め尽くしていた。

王国軍の斥候が、その光景を見て呟いた。

「……本当に、十万いるのか」

別の兵士が答えた。

「……勝てるわけがない」

しかし帝国軍の本陣では、一人の将軍が地図を見つめていた。

銀髪の男。

帝国軍総司令官、ガイゼル。

「……妙だな」

副官が尋ねた。

「何がでしょう?」

「王国軍が、前へ出てこない」

「恐れているのでしょう」

ガイゼルは首を振った。

「それだけではない」

地図を指さす。

「国境の倉庫が空になっている。橋には撤去準備の跡がある。街道の住民も避難している」

副官が顔を上げた。

「……計画的な撤退?」

「そうだ」

ガイゼルは静かに笑った。

「敵にも、頭を使う者がいるらしい」


その夜。

レアルの前に、統治システムが表示された。


【緊急警告】

《帝国軍侵攻開始》

・敵軍総兵力:約100,000

・王国軍即応兵力:約20,000

・戦力比:1対5

【新規イベント】

《王国防衛戦》

《敗北時:王国東部の統治崩壊》

レアルは画面を見つめた。

「……十万か」

ヴァルクが尋ねる。

「どうされますか?」

レアルは地図を閉じた。

「まず、敵に教えてやる」

「……何を?」

「十万人の軍隊を動かすのが、どれほど大変かということを」

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