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転生したら最悪の領主で破滅寸前の領地を押し付けられたので内政チートで立て直します  作者: レモンティー


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第四十二話 王子に反逆を疑われたので、兵士を一人も動かさず勝つことにした

王都守備隊、総兵力八千。

そのうち、第二王子派が掌握した兵力は約五千。

対するレアルの護衛兵は、わずか百二十人だった。

「……正面から戦えば、勝ち目はありません」

ヴァルクが報告した。

「当然だ」

レアルは頷いた。

「だから戦わない」

ミディアが尋ねる。

「……本当に、兵士を一人も動かさずに勝てるのですか?」

「勝てるかどうかは、相手次第だ」

レアルは王都の地図を広げた。

「まず、守備隊の補給を調べる」

王都守備隊の食料は、主に三つの商会が納入していた。

穀物。

干し肉。

塩。

そして、馬の飼料。

「……三つとも、王都の大商会ですね」

ミディアが確認した。

「そうだ」

「第二王子派と取引している商会です」

「だが、商売は商売だ」

レアルは資料を示した。

「守備隊への納入代金が、三か月分未払いになっている」

ミディアが目を見開いた。

「……三か月?」

「財務改革の調査で分かった」

「では、商会は……」

「金を受け取っていない」

レアルは頷いた。

「ここからだ」


翌日。

王都の大商会に、一通の書状が届いた。

『王都守備隊への未払い代金について、支払能力の確認を求める』

さらに、別の書状。

『アルフォンス領では、王都商会との新規取引を受け付ける』

『ただし、王国からの未払い債権を整理すること』

商人たちは困惑した。

「……つまり?」

「守備隊に商品を納め続けるなら、代金を回収できるか確認しろということだ」

「しかし、王子殿下の命令だぞ!」

「命令で金貨が増えるわけじゃない」

一人の老商人が呟いた。

「……我々は商人だ」

そして、決断した。

「未払い分の支払い計画が示されるまで、新規納入を停止する」

二日後。

王都守備隊の兵舎。

「……食料が届かない?」

隊長が怒鳴った。

「はい!」

「どういうことだ!」

「商会が納入を停止しました!」

「王子殿下の命令だぞ!」

「ですが、代金が未払いだと……」

隊長は机を叩いた。

「……ふざけるな!」

しかし、問題は食料だけではなかった。

馬の飼料。

装備の修理。

矢の補充。

すべてに金が必要だった。

そして、王国財務院は資金不足に陥っていた。


三日後。

第二王子の執務室。

「……何だと!」

王子が怒鳴った。

「守備隊が動けない?」

「はい……」

側近が震えていた。

「食料の備蓄はありますが、長期間の行動は困難です」

「商人に命令しろ!」

「すでに命令しました」

「ならば!」

「ですが、商人たちは未払い代金の清算を求めています」

王子は机を叩いた。

「……レアル・アルフォンス!」

その名を、憎々しげに吐き捨てた。

同じ頃。

レアルの執務室。

ミディアが報告書を読み上げた。

「守備隊の大規模出動は延期されました」

「そうか」

「ただし、兵舎には備蓄があります。完全に動けなくなったわけではありません」

「分かっている」

レアルは頷いた。

「相手が本気で動けば、短期間の軍事行動は可能だ」

ヴァルクが尋ねる。

「では、次は?」

「兵士の給与だ」

「……給与?」

「三か月分、遅れている」

ミディアが顔を上げた。

「……食料だけでなく、給料まで?」

「そうだ」

レアルは静かに言った。

「兵士にも家族がいる」


翌日。

王都守備隊の兵舎に、噂が広まった。

『アルフォンス卿は、王国軍の給与未払い問題を調査している』

『正規の王国軍として職務を続ける者の給与債権を保護する方針』

『違法な命令を拒否した兵士の身分を保証するよう、国王へ進言する』

兵士たちは顔を見合わせた。

「……俺たちの給料を?」

「本当か?」

「王子殿下は、いつ払ってくれるんだ?」

不満が広がり始めた。


その夜。

第二王子は、ついに命令を下した。

「アルフォンス卿を逮捕しろ」

しかし守備隊の将校たちは、動かなかった。

「……命令書に国王陛下の署名がありません」

「何?」

「王国財政特別顧問の逮捕には、正式な手続きが必要です」

第二王子は怒鳴った。

「私が王子だぞ!」

将校は静かに答えた。

「……存じております」

「ならば従え!」

「ですが、我々は王国軍です」

沈黙が落ちた。

「王子殿下個人の軍ではありません」


翌朝。

レアルの前に報告が届いた。

『王都守備隊、アルフォンス卿逮捕命令の執行を保留』

ミディアが息を吐いた。

「……止まりました」

「そうだな」

「兵士を一人も動かさずに……」

レアルは首を振った。

「違う」

「……え?」

「俺は、兵士に考える時間を与えただけだ」

レアルは窓の外を見た。

「給料も払えない人間の命令で、命を懸ける必要があるのかとな」


【統治システム更新】

・王都守備隊:命令系統混乱

・第二王子派:軍事行動失敗

・王国軍の中立性:一部回復

・軍事衝突:回避

【新規状態】

《第二王子派の権威低下》

だがその日の夕方。

王都守備隊から、新たな使者が現れた。

「……アルフォンス卿」

「何だ?」

「兵士たちが、直接お話を伺いたいと」

レアルは眉を上げた。

「……兵士が?」

「はい」

使者は深く頭を下げた。

「我々は、もう王子殿下を信用できません」

そして、続けた。

「どうか、我々の給与と家族の生活を守ってください」

レアルは静かに答えた。

「……分かった」

しかし、その目は冷静だった。

「ただし、条件がある」

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