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転生したら最悪の領主で破滅寸前の領地を押し付けられたので内政チートで立て直します  作者: レモンティー


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第三十八話 国王に呼び出されたので、王国の借金を計算してあげた

王都へ向かう馬車の中。

ミディアは、何度も窓の外を確認していた。

「……本当に行くのですか?」

「もう王都へ向かっているだろう」

レアルは帳簿を読みながら答えた。

「そういう意味ではありません!」

「では?」

「危険すぎます!」

「知っている」

「財務大臣も、第二王子派も、あなたを敵視しています!」

「だから、行く価値がある」

レアルは帳簿を閉じた。

「向こうが俺を恐れているうちに、国王と話をつける」

馬車の前後には、ヴァルクが選んだ護衛兵がついていた。

エリオは領地に残り、万一の事態に備えている。

リシアも同行していた。

「……王宮に入った後は、私の案内に従ってください」

「分かった」

「勝手な行動は控えてください」

「善処する」

「……信用できません」

王宮。

巨大な扉が開かれた。

レアルは、国王の前へ進み出た。

「レアル・アルフォンス。参上いたしました」

玉座に座る国王は、疲れた顔をしていた。

その左右には、王国の重臣たちが並んでいる。

財務大臣の姿もあった。

「……アルフォンス卿」

国王が口を開いた。

「そなたが公開した資料によって、王都は混乱している」

「承知しております」

「財務大臣は、そなたを反逆者として処罰すべきだと申している」

レアルは財務大臣を見た。

相手は、鋭い目で睨み返してきた。

「……では、陛下」

レアルは静かに言った。

「私が公開した資料に、誤りはありましたか?」

国王は答えなかった。

代わって財務大臣が声を上げた。

「問題は資料の正確さではない! 国家機密を勝手に公開したことだ!」

「つまり、数字は正しいのですね」

「……何?」

「誤りがあるなら、訂正してください」

財務大臣は言葉に詰まった。

レアルは国王へ向き直った。

「陛下。私が調べた限り、王国財政には重大な問題があります」

「……申してみよ」

「まず、国庫支出の一部が正しく管理されていません」

「それは聞いている」

「問題は、それだけではありません」

レアルは持参した資料を広げた。

「王国の借金です」

会議室に、大きな帳簿が運び込まれた。

レアルは数字を示した。

「王国は、過去十年間で多額の借入を行っています」

「国防のためだ」

財務大臣が言った。

「その必要性は否定しません」

レアルは答えた。

「しかし、借りた金の一部が本来の目的に使われていない」

国王が眉をひそめた。

「……どれほどだ?」

「確認できた不正支出だけで、金貨三十万枚以上です」

会議室がざわめいた。

「さらに、未確認の不審な支出が残っています」

レアルは別の資料を示した。

「そして、王国の借金は、年間税収の数倍に達しています」

国王の顔色が変わった。

「……数倍?」

「はい」

「財務大臣」

国王が低い声で尋ねた。

「これは事実か?」

財務大臣は汗を流していた。

「……陛下。借入は国家運営に必要なものであり……」

「事実かと聞いている!」

国王の声が響いた。

財務大臣は、何も答えられなかった。

しばらくして国王は重臣たちを退室させた。

残されたのは、レアル、リシア、そして少数の側近だけだった。

国王は深く息を吐いた。

「……アルフォンス卿」

「はい」

「そなたは、この国をどう見る?」

レアルは少し考えた。

「……豊かな国になる可能性はあります」

「可能性、か」

「はい。しかし、今のままでは無理です」

国王は目を閉じた。

「……何が必要だ?」

「まず、金の流れを明確にすることです」

レアルは答えた。

「次に、無駄な支出を止める」

「それだけで足りるか?」

「足りません」

レアルは続けた。

「商業を発展させ、税収を増やす必要があります」

「税率を上げるのか?」

「いいえ」

レアルは首を振った。

「税率を上げれば、商人が逃げます」

国王は顔を上げた。

「……では?」

「商売を増やすのです」

「商売を?」

「はい。道路を整備し、物流を改善し、商人が安心して取引できる市場を作る」

レアルは静かに言った。

「民が豊かになれば、国も豊かになります」

国王はしばらく黙っていた。

そして、尋ねた。

「……そなたなら、この国を救えるか?」

レアルは即答しなかった。

王国の財政。

腐敗した貴族。

分裂する王族。

そして、国境の向こうに存在する帝国。

問題は山積みだった。

だが「……救うことはできます」

国王の目が見開かれた。

「本当か?」

「ただし、条件があります」

「申してみよ」

レアルは国王を真っすぐ見た。

「今まで通りの王国では、いられなくなります」


数日後。

王宮から正式な発表が行われた。

『レアル・アルフォンス卿を、王国財政再建の特別顧問に任命する』

王都は騒然となった。

「……あの悪徳領主が?」

「財政顧問だと?」

「国王は何を考えている!」

一方。

アルフォンス領では、ミディアが報告を読みながら頭を抱えていた。

「……レアル様」

「何だ?」

「領地の仕事だけでも大変なのに、王国の財政まで担当するのですか?」

「そうなったな」

「仕事が増えすぎです!」

レアルは少し笑った。

「ならば、人を増やそう」

「……簡単に言わないでください!」

そのとき統治システムが、静かに光った。


【統治システム更新】

・統治度:96 → 97

・王国への影響力:大幅上昇

・王国財政再建:開始

・王都貴族の警戒度:上昇

【新規権限】

《国家財政分析》

【警告】

《王国中枢への介入を確認》

《敵対勢力が増加しています》

レアルは画面を見つめた。

「……敵が増えたか」

そして、小さく笑った。

「構わん」

領地を支配するのも。

国を立て直すのも。

やることは同じだった。

「数字を見て、無駄を削るだけだ」

だが、レアルはまだ知らなかった。

その改革によって利益を失う者たちが、すでに王宮の奥で動き始めていることを。

そして、その中心にいる人物が――国王の息子であることを。

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