第三話:初陣――支配は、力で証明する
異変は、夜に来た。
「領主様!!」
扉が叩き開けられる。
「魔物の群れが接近しています!」
レアルはゆっくりと立ち上がった。
「数は」
「およそ……五十!」
「多いな」
だが、表情は変わらない。
外に出ると、既に騒ぎになっていた。
松明の光。
震える民兵たち。
「む、無理だ……!」
「俺たちじゃ勝てない……!」
当然だ。
この世界の人間は強くならない。
つい最近まで農民だった連中だ。
(だが)
レアルは前に出る。
【統治システム】
統治度:31
忠誠:24
恐怖:75
民兵化率:38%
(十分だ)
「全員、配置につけ」
低く命じる。
動きはぎこちない。
だが、逃げる者はいない。
「来るぞ……!」
闇の奥から現れる影。
狼型の魔物が群れをなして迫る。
赤い目。鋭い牙。
完全に“格上”。
「……震えてるな」
レアルは民兵を見渡す。
誰もが恐怖で固まっている。
「いいか」
静かに言う。
「死にたくなければ――俺の命令通りに動け」
その瞬間。
【スキル発動:《威圧》】
空気が変わる。
「……っ!?」
民兵たちの体がビクッと震える。
恐怖が“統制”に変わる。
(使えるな)
「前列、槍を構えろ」
「後列、投石準備」
「絶対に前に出るな」
命令が、通る。
さっきまでの素人とは思えないほど、動きが揃う。
「来るぞ!!」
狼型魔物が突っ込んでくる。
「――今だ」
槍が突き出される。
一体が貫かれる。
「ギャァッ!」
だが、勢いは止まらない。
二体目、三体目が飛び込む。
陣形が崩れかける。
(ここだな)
レアルは一歩前に出た。
「下がるな」
その一言で、崩壊が止まる。
「俺が前に出る」
地面を蹴る。
一瞬で間合いに入る。
(速いな)
自分でも驚くほど、体が軽い。
振り下ろす。
一閃。
狼の首が飛ぶ。
【経験値獲得】
「……いいな」
笑みがこぼれる。
二体、三体。
斬る。
避ける。
潰す。
【レベルアップ】
Lv.2 → Lv.3
武力:78 → 79
知力:66 → 67
「まだ上がるか」
止まらない。
気づけば。
群れは崩壊していた。
残った魔物が逃げ出す。
静寂。
「……勝った……?」
誰かが呟く。
その瞬間。
【統治システム】
統治度:31 → 42
忠誠:24 → 40
恐怖:75 → 68
一気に跳ね上がる。
「見たか」
レアルは振り返る。
血に濡れたまま、言う。
「これが“戦い方”だ」
民兵たちは、ただ見ていた。
恐怖ではない。
――敬意と、信頼。
「覚えろ」
「次はお前たちがやる」
誰も反論しない。
(いい流れだ)
恐怖だけではない。
力を見せることで、忠誠が上がる。
【クエスト更新】
・民兵化率50% → 45%
・戦闘勝利 1/5
「……あと少しだな」
その夜。
領地は初めて――
“勝てる”と理解した。
だが同時に。
遠くの丘の上。
それを見ている影があった。
「……なんだあれは」
隣国の斥候。
震えた声で呟く。
「弱体化した領地じゃ……なかったのか……?」




