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初めての戦い

 カーテンの隙間から差し込んできた光で目を覚ましたシスティナは、ベッドから体を起こそうとして、自分の横にある暖かさに気づいた。それはシスティナの使い魔になったスライムと森ネコだ。


「おはよう、スライムさん、森ネコさん」

『キュイ』

『にゃー』


 昨日、あれから二つ目の捕獲瓶詰も見たところ、森ネコが使い魔として瓶に入ってくれていた。


 森ネコは、その名の通り森に生息する猫の魔物だ。

 俊敏な動きと鋭いツメでの攻撃が強みで、隠れるのも上手い。そのため姿を見ることは少ないが、森に詳しいので使い魔になるととても頼もしい存在だ。


「朝ごはんを食べたら、スライムさんと森ネコさんのレベルを上げに行きましょう」


 そしてレベルが上がったらもっと森の奥へ行って、瓶詰作りのための素材を採取したりするのだ。

 今はまだ弱い三人組だけれど、これからどんどん強くなることができるのは、やっぱりワクワクしてしまうものがある。


「よし! わたし、頑張るからね。スライムさんと森ネコさんもよろしくね」

『キュ!』

『にゃ!』


 システィナは、頭をすりつけてくる森ネコを撫でながら……わずかに自分の手が震えていることに気付く。


「……わたし、わたしね。たくさん瓶詰を作って、それで…………まだ誰も作ったことはないけど、癒しの瓶詰を作ってみたいと思ってるの」


 それは、ここにきて初めてシスティナが口にした自分の想いだ。

 生活を便利にする瓶詰や、雨や虹を閉じ込めておく鑑賞用の瓶詰、攻撃など戦いで使う瓶詰、その種類は多岐に渡るけれど――誰も癒しの瓶詰を作るまでには至っていない。


「夢物語だって、何回も言われちゃった。わたしだって、すごく難しいことはわかってるんだよ? でもね、絶対に作りたいの。……聞いてくれてありがとう、スライムさん、森ネコさん」


 システィナは少し照れたような、切なげなような、そんな笑みをスライムと森ネコに見せた。



 ***



 スライムと森ネコの瓶詰めを持って、システィナは家の外にある森へ足を踏み入れた。


 朝食の後、部屋の掃除をする際、二匹には瓶詰の中に戻ってもらっていた。瓶詰の中はこの二匹にとって心地よい空間になっていて、ゆっくりではあるけれど体力を回復することもできるのだ。


 森の中に入ってすぐ、システィナの前にスライムが現れた。


「スライム……! どうしよう、スライムさんにスライムと戦ってもらうのはいいのかな?」


 システィナの使い魔になってもらったとはいえ、スライム同士……仲間という認識があるかもしれない。


「無理に戦わせない方がいいかな? あっ、森ネコさんにお願いしたらいいかな……?」


 システィナが困惑するもスライムは特に気にしないようで、目の前に現れたスライムに攻撃を始めた。それを見て森ネコもスライムと一緒になって攻撃を開始するが、鋭い爪で攻撃したら一瞬で倒してしまった。

 倒されたスライムは、キラキラと……まるで粒子のようになってその体は空へ昇るように消えていく。その場に残ったのは小さな、魔石が一つ。


「すごい。スライムさんも、森ネコさんも、強い! 魔石も手に入ったし、これなら瓶詰の材料がたくさん集まるかもしれない!!」


 システィナの期待がどんどん高まっていったところで、不意に一〇メートルほど先にシロロ花があることに気付いた。


「シロロ花! 図鑑で見たことはあるけど、本物は初めて! 瓶詰の装飾に使うことができるんだよね? 使ってみたかったんだ……!」


 瓶詰の材料で、例えば使い魔の瓶詰に加えると、瓶の中が良い香りになるのだという。中で過ごす使い魔が落ち着くと言われている花だ。


「これで二人のお家をパワーアップさせてあげるね」

『キュイ!』

『にゃあ!』


 どうやらスライムと森ネコに喜んでもらえているようだ。

 システィナがしゃがんでシロロ花を摘んでいると、すぐ近くの茂みでガサガサガサという音がした。見ると、でっぷり太ったネズズがこちらを睨みつけていた。


「わわっ!」


 システィナが一歩下がると、それと入れ替わるように森ネコが地面を足で蹴ってネズズへ跳びかかった。そのまま体当たりをしてネズズをシステナから引き離し、『にゃっ!』と叫び鳴いて爪で連撃を食らわせる。が、先ほどのスライムと違い一撃で倒すことはできない。


「森ネコさん!」

『にゃうぅ……!』


 すると、システィナの横にいたスライムがぐわっと体を伸ばしてその一部を投げつけた。遠距離攻撃だ。


「え!? スライムさん、自分の体を投げて攻撃しちゃうの!?」


 システィナは驚いたけれど、スライムには何食わぬ顔で攻撃を仕掛けていく。しかし攻撃の勢いは弱く、ネズズにもあまり効いてはいない。

 それから奮闘しつつ、スライムと森ネコは無事にネズズを倒すことができた。

 ネズズの体からキラキラしたものが空へ昇っていきはしたが、スライムのように体が全てなくなることはなく、ネズズはそのまま死体が残った。


「わ、わわ……死んじゃってる……んだよね? え……っと、魔物の死体からは確か……素材が取れるって本で読んだけど、本当かな? もし本当なら、新しい瓶詰が作れちゃう……よね? でも、どうやって素材を取ればいいのかな?」


 ネズズの死体を前に、システィナは首を傾げた。

誤字脱字報告、感想、リアクションなどありがとうございます。

私がミスしまくりで申し訳ないのですが、とりいそぎ……「瓶詰」で統一していけたらと思っております!

うっかり瓶詰めになることも多いのですが、「瓶詰」です。ぴえ……。

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― 新着の感想 ―
幽閉されるほど疎まれている理由と それなりに利用価値があったと思われる 瓶づくりが必要なくなった理由は 早目に書いておいて欲しいかな?
>昨日、あれから二つ目の捕獲瓶詰も見たところ、森ネコが使い魔として瓶に入ってくれていた 「本には、捕獲瓶詰を設置してもすぐに魔物が入ってくれることはほとんどないってあった」そうですから、システィナに…
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