帰り道
鷹窟大権現から村に戻る。そんなに遠い距離ではないはずだが、ずっと坂道を下っているせいか来たときよりも帰り道のほうが足にダメージが入っている気がする。ざっざっという土をつま先で削るような音を立てながら、村まで戻って来ると日は少し傾き始めていた。
「結局、土が原因じゃなかったね。ってことは問題があるのは木の護り?」
「そう、だと思います」
自転車にまたがり、来た道を下り始めるとスピードはどんどんと速くなっていく。登りは結構時間が掛かったはずなのに、国道にでるまでわずか数分しかかからなかった。
「先に下伊良原の高木神社に行けばよかったかなぁ」
信号もない国道の脇で、ブレーキをかけながら呟く。
「気持ち的には、先に行きたかったのは私も同じですが、明日は午後から雨が振るそうですから。仕方ありません」
そう言えばそうだった。昨日どちらから行くか相談した際、今日は一日晴れているものの、明日から天気が下り坂になるのだった。『雨の中、山に入るのはやめたほうがいいだろう』とと決めたのは、私達自身だった。
「土に問題があるわけじゃないって分かっただけでも収穫といえるんじゃないかな」
私とムツキの後ろを走るアサノ君から声がした。風に負けないように少しだけ大きな声で。
「そうですね。仮に木に問題があったとして、土にも問題がある可能性がありましたから」
「それもそうか。結局、手間は同じなわけだ」
「ですです」
「この後ってどうなるんだろうね」
「家に帰ってからですか?」
「あー、ううん。今日のことじゃなくて、この事件のことかな」
「……多分だけど、銀杏姫に話しを聞いて、問題が有るのか、無いのか確定するよね。問題があれば今ある御神木に、楢彦と銀杏姫から枝をもらって接木をするんじゃないかな。それで護りが復活して、異変は止まる」
「そういえば、そんなこと言ってたね。でもさー、お社の向きの問題かもしれないんでしょ? 接木はともかく、お社の向きはどうしようも無いんじゃない?」
「まぁ……、それは確かに」
「明日、銀杏姫に会えばいろいろとわかるんじゃないですか? 何が問題なのか、これからどうすればいいのか」
「うん」
「だね」
「それで、明日は何時にします?」
「僕は今日と一緒で、朝10時でいいけど、2人はどう?」
「オッケー」
「わかりました」




