御神木
翌日、また夢を見た。
どこかの古い神社の夢だった。道のすぐ側に建てられた神社。参道の階段も、鳥居も、狛犬もすべて苔むしていて、上を見上げれば辺り一面に大きな木の枝が走り、空はやけに狭かった。境内の外れに一本、ポツンと生えている木はひときわ大きいが、木の種類まではわからない。見たことがあるような、無いような。
ふと気づけば、木の根元に人が立っていた。白装束の修験服。『ナラヒコ』とマイは言っていただろうか。彼がこちらをじっと見つめていた。
目が覚める。昨夜はなかなか眠れなかったせいか、気づけば午前10時を回っていた。
スマホに目をやると、アサノ君と、ムツキがグループチャットでやり取りしているのが見て取れた。
『今朝、神社の夢を見たよ』
『私もです。古い神社にナラヒコ君が居てこっちを見ていました』
『同じ夢っぽい』
『アオイはどうでしょうか』
そこで止まっていた。履歴は2時間ちょっと前のものだった。
『ごめん。昨日眠れなくて今起きた』
すぐに既読が付き、Goodアイコンが付く。
何と返そう。素直に『私も見たよ』と返すべきなのだろうか。
昨日のマイの姿がまぶたに焼き付いて離れないが、チャットではそのことは触れられていなかった。私達が心配したところでしょうがないとは言え、これは2人なりの気遣いなのだろうか。なのだとしても……。
『私も見たよ。同じ夢』
少し悩んだ結果、ごく短い文章を送る。すぐにムツキから返信が帰ってきた。
『こんな時に不謹慎と思うかもしれません。ですが、何もできないことには代わりはありませんし、何もせずにじっとしていると昨日の光景を何度も思い出してしまうんです』
『僕も同じ』
2人も私と同じだった。チャットに文字を打ち込む。
『昔の高木神社に行ってみよう。11時に学校に集合でどう?』
『オッケー』
『わかりました』




