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谷の祟りと高木の神々  作者: わけあり団子


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蛇

 暗い森の中だと思う。何だか見慣れない植物が左右に生えた景色の中を、何故かわからず全速力で走っていた。


 ふと気づけば、左右にも仲間がいて、黒い影のような姿をしている。不思議と顔はわからない。


 分かることは彼らもまた私と同じように何かから逃げている、ということ。


 無様なほどに手をばたつかせ、必死になって短い手足を前に出している。


 次の瞬間、正面の木陰から仲間たちがこちらへと走ってくるのが見えた。


 一体何が、そう思い見上げた先には、爛々と輝く大きな2つの目。瞳孔が縦に割れている。三角の頭。黒字にオレンジの鱗。そして、私が丸呑みされそうなほど大きな口。


(蛇!?)


 木陰から現れた蛇がごちそうを見つけたかのような嫌らしい目つきで大口を開け、私に突っ込んでくる。


 反射的に、体をひねるが、一歩遅かった。


 右腕が口に咥えられ、体ごと引きずられる。瞬間、高く持ち上げられた体を見て、腕を牙から外せないか試みるが、逆に右足が蛇の口へと入ってしまう。

 

 必死で伸ばした足はつるつるとした蛇の口の中を滑り、足場が確保できない。


 もう一度蹴ろうと足を畳んだ瞬間、蛇は口を広げ蹴った足が空を蹴り、体勢を崩してさらに口の奥へ体が滑ってしまう。


(こいつ、私が何をしようとしたか理解してるんだ)


 力を入れて必死に抵抗するが、じりじりと力が入らなくなっていく。


 それからどれくらい格闘しただろうか。ついには頭もほとんど口の中に入ってしまい、左足がかろうじて蛇の牙に引っかかっているだけになってしまう。


(や、ばい……、なん、とか…しなきゃ……)


 遠のく意識の中で、足がするりと牙から抜ける感触。そして、ゴクリという音がして、私は暗い穴へ落下していった。


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