表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/22

第五話 なんか不穏要素モリモリじゃん

プロローグ 第五話を開いていただきありがとうございます。本話はプロローグ最終話となります。

では、本文をお楽しみください。



「――――で、―――」


「――――」





「はあ。」


思わずため息が零れた。


――帰れと伝えたはずだが……


相変わらず外はうるさかった。

いつまでそこで言い争いを続けるつもりなのか。


もはや呆れを通り越して、何も感じなくなってきたころだった。



「――解放しろ。」



突然、会話の内容が鮮明になるような感覚を覚える。

まるで、頭の中に無理やりねじ込まれたような感覚で、直前までの会話は一切シャットアウトしていて全く分からなかったのにもかかわらず、そこだけは確かに、はっきりと認識できてしまった。


先ほどから聞かされていた会話の中で最も威圧的な声。

なんとなく、何かが背筋を駆け上がるような不快感を覚え、一瞬だけ身動きを封じられたような気がした。


しかし、すぐに思考を巡らせる。

その声の主が誰なのか。

いや、そんなことはどうだっていい。


あれほどうるさかった村長の喚き声もいつの間にか消え失せる。

そこに今あるのはあの声の余韻一つだった。



――一体、何のためにそこまで怒ったんだ?



その理解のできない歪さに先ほど見た二人の姿が脳裏に浮かんだ。


異質な二人、それはあくまでこんな辺境の村だから異質なのだと思っていた。

しかし、根本的に彼ら事態が圧倒的な何かを放っていたらしい。



その証拠にさすがの村長も焦ったのか、空いた窓からなんとなく見える彼の顔は口をパクパクとさせていた。

何かを言おうとしているようだったが、結局その音は聞こえてこない。


たとえ聞こえたところでもはやこの空間では存在すら許されず、力なく消えていくだけだろうが。


そんなことを思いながら、一つ、舌打ちを零した。




「ッチ……」


――窓、閉めてこればよかった。




村長の顔など見たくもなかったので、閉めなかった自分を心底恨んだ。





――読めない……





あの王子、何をそんなにこだわっているんだ?


優しさ(かどうかは知らんが)で声をかけた結果の返答が「帰れ」だったのだから呆れて帰るだろうに。



一体、何が目的なんだか。



相変わらずの眠さにあくびをこぼし、眠り眼をこすって立ち上がる。

とりあえず、もう一度、窓から覗き見ることにした。


いい加減、迷惑だ、そう言うついでに、その裏を全部暴いてやろうと思った。



人は所詮、私利私欲に塗れた生き物だ。

無償で人を助けたりなんてしない。

だから、腹の内を晒されれば、さすがに帰るだろう。



しかし、俺が窓までたどり着くことはなかった。


突然、全身に激痛が走り、思わず声を漏らした。



「っう…ぁ」



それほど大きな声を漏らしたつもりもなかったが、王子たちには聞こえたらしい。


先程までの支配的な外の空気は一瞬で瓦解し、声が聞こえる。


「!!ッ何かかりましたか?」


「おい!!大丈夫か!?」


「駄目です、兄上。返答が―――」






「ん”う”う”、あ”……は」


――うるさい……


脳に響き渡るような声が邪魔だった。

さっきまではシャットアウトできていたはずの雑音が歪みながらではあったもののよく届いた。


しかし、それを意識しているほどの余裕はなかった。


あまりの痛みに立っていられず、膝をつく。

すると、全身に走っていた痛みが次第に頭へと集中していき、それに合わせるように両手は頭へと伸びていた。

必死に頭を抱えながら、奥歯を噛みしめる。






「開けられそうか?」


「ッ駄目です!! 申し――――――。

無理やり―――、小屋が!」


「そっちは?」


「ッせぇの!! はぁ……ッこちらも無理です!」


「兄上!窓から―――う!」


「!! その手があったか……掴まれ! ”ワープ”」





遂にその痛みに耐えかね、床へ転がりそうになった時だった。

その体を床へ打ち付けることはいつまで経ってもなく、何か優しいものに支えられていた。



「ん”ぐふ……あ”」


――視界が……気持ち悪い……



痛みに耐えながらやっとの思いで、片目だけではあったが薄く開き、自分を支えているものを伸びてくる方へと目を滑らせた。

そこには、先ほど窓の外で見た、金髪の男と漆黒の髪の男が立っていて、どちらが支えているのかはわからなかったが、その手から伝わってくる脈がひどく速い気がする。


本当に気づいた時にはいつの間にか二階の窓から入り込んで来ていて、倒れそうになった俺を支えていた。



――どう、や、って……



途切れそうになる意識の中で、必死に腕を振り払おうとしたが、叶わない。



「おい、大丈夫か!?」


「大丈夫ですか?聞こえますか?」


なんとなく聞こえる呼びかける声にも反応することはできず、意識が遠のく。

最後に頭の片隅に響いたのはどこかで聞いたことがあるような声――


しかし、その言葉が俺の記憶に残ることはなかった。





「―――、残念だが、今回は手を引くことにするよ、また会おう。」



――だれ、だ……



「ああ、ダメだよ?

忘れてしまいなさい。」


「おい、もういいか?

早くしないとばれるぞ。」


「ああ、構わないとも……

おやすみ、必ず迎えにい――――。」




( ジジッ――魔法の解除と記憶隠蔽を実行します。――ビィー )



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
最高のプロローグでしたね! 最後のいきなりの記憶隠蔽は不穏ですが、今後がすごい楽しみです! 期待を込めて星5をつけさせていただきました。 これからも連載頑張ってください。 毎日投稿だけどかなりの高クオ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ