第四話 正直怖いな、あの村長 side弟王子
第四話を開いていただきありがとうございます。
どうぞ、お楽しみください。
兄上とともに調査をしに来てみれば、まったく別の案件で厄介なことになってしまっていた。
呪われた少年。そう聞かされ、村長の反対を押し切って、少年の住む小屋に来た。
そこで見たのは光を失った瞳と「殺してくれ」と吐くような姿だった。
つまるところ端的に言えば、思った以上に少年の状態が深刻だったということだろう。
まあ無理もないのだろう。兄上もそうだろうが、こちらへ興味を惹きつけること自体は問題ないだろうという判断は大きく外れていた。
もはやそういう問題ではなく、すでに外というか生死に関心がないのだろう。
「兄上、完全に興味を持たれていないようですね、どうしますか?」
「どうするも何も彼をこのままおいておくわけにはいかないだろうさ。呪いなんてものは存在しないようだしね。」
「それはわかっています。むしろ兄上が置いていくなどと言い出したら、父上に報告して即刻、王位継承権を剥奪してもらわなければならないほどことなのですから…冗談でもそういうこと、言わないでくださいね。」
いつものように軽口が返ってくるかと思いきや、その言葉に対しての兄上の返答はなかった。
どうやら相当お怒りのようだ。
しかし、数秒の沈黙の後、口を開いた兄上はしっかりと怒り隠しきっていた。
「村長、少年はこの小屋から出られないと言ったが、それはどうしてだ? それに少年は納得したうえでここに住んでいると私に説明していたように記憶しているが。」
「いや、あれは呪われているのですよ? あれがいるから村が危険にさらされる。それを追っ払って何が悪いというのですか? 殺さないでやっているだけ感謝すべきなのはあれのほうではありませんか?」
「そうか、聞くが、村長。調べたところによると、少年はどうやら孤児、それも「名を持たぬ子ども」のようだ。この国では孤児、難民いかなる人物であってもたとえ犯罪者であっても最低限の生活は保障されるという法律が存在する。特に孤児というのはこの国の歴史、文化、そして、宗教観においてもっとも重要視されている。そのうえで、だ。少年を閉じ込めておくことが正当なことであると? ましてや「名を持たぬ子ども」であるにも関わらず。これがどういう意味かまさか分からぬわけではあるまいな?」
「っは…いや、呪いが…そうです、我々はあれのせいで何度も死にかけたんですよ!」
村長は言い逃れを考え、やがて、突然何かに取りつかれたように怒りを露わにした。
はあ、埒があきませんね。兄上の主張に対してこのような状態、普通はここまで言えば、国家反逆罪になる可能性を危惧し、引くと思うのですが。なんでしょうか?この違和感。
などと考えているうちに村長がついに余計なことを口にした。
「そもそも、あんな化け物、生まれてくる必要なんてなかったんですよ。我々は、私は、この村を守っているんです。王族なんて所詮は民から奪ったお金で暮らしているような奴らだ。私はそれよりもって崇高で神のお告げに従ったことをしているんだ。化け物は然るべき人たちに管理されるべきだ!」
「ほう、そうか。我々が民から奪っているか、もしそうなら王族としてあるまじき行為だが、しかしそれはあり得ない。民を守ることこそ王族としての誇り。誇りを捨ててしまえば、何も残るまい。いいか、二度同じ事は言わない。少年を即刻、解放しろ。」
「ひっ」
私はようやく口を閉じた村長を眺めながら、素早く、事の整理をしていた。
兄上を怒らせるとは…兄上が寛容な人で命拾いしましたね。まあ、今のセリフは私としても許容範囲外でしたからもっと攻めてもらっても構わないのですが。ただ今はそれよりも、でしょうか。
然るべき人による管理
何か裏があることははっきりとしましたが、それ以外は現時点でははっきりとしなさそうですね。
たとえ何かがあったとしても少年の保護が先ですかね。
とにかく早く少年を連れ出さなくては。
こんにち、一ノ瀬 リマです。
本文をお読みいただきありがとうございます。
兄王子、なかなかかっこよくないですか?それだけなのですが...
ではまた次回の話で




