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第二話 眠りの妨げは万死に値する

第二話を開いていただきありがとうございます。どうぞ、おたのしみください。



 事が起きたのはそれから一時間か、二時間か経ったすっかり日が暮れた頃だった。




普段は明かりもなく、辺りは静寂の常闇と化すこの場所に少しばかり音が響いてきた。




ガラガラ


ヒィヒィン!!




「おい、―――――」


「―――で――」


「――だ。」






実のところ、この小屋は村はずれと形容するにはあまりにも村から離れすぎていた。


明かりがなく、暗いのも、音が聞こえてこないのも、そのせいだ。




そんな村から音がした。




いや、村からというよりかは、そこから来たのであろう人たちとの距離がだいぶ近くなり、ようやく音が聞こえたのだろう。




また、冷やかしの子供かそれとも食料を運んできたのか、いや夜ということを考えれば、たまたまこっちのほうに用があっただけかもしれない。




しかし、他に用がないから近づく必要がないという点から俺をここに閉じ込めているのに、一体こっちになんの用が……




……というか、馬車か?


どっからそんなもん……




そこまで考え、結局のところ、自分にはさほど関係ないだろう。


というか、どうでもいいというのが本音だったため、早々にそう結論付け、再び眠りに入ろうとする。






ガラガラ


パッカラ、パッカラ






「――ください、お待ち――、どうか―――んを」




「――――しろ!!―――騎士とし――剣を――――」






しかし、その音は次第に大きくなっていた。


それは近づいたからか、連中がヒートアップし始めたからか、どちらにせよ、この上なく、邪魔な騒音だった。


そんな連中はためらいもなく、どんどんとこちらへ近づいてきて、やがて馬車の音だけはなり止む。


それはおそらくこの小屋の前だった。




「まだ文句を言うのか!反逆罪だぞ!」




「しかし!!殿下方に何かあってからでは!


我々は殿下方を心配して……


それなのに国民に剣を向けるというのか、騎士は!!」






相変わらず、止まない口喧嘩に不快感が最高潮に達していた。




――寝ても覚めても変わらぬのなら、寝させてくれ。




文句のひとつでも叩きつけてやろうと思い、とりあえず、重々しい体を起こし、確認のために窓へ近づく。




ほんの少しだけ窓を開け、外を伺おうと今まさにのぞき込もうとしたその時だった。




カタン






「ありがとうござます。待機をお願いいたしますね。」




「はっ!」






どうやら、馬車に乗っていた人物が出てきたようで、喧騒の雰囲気が少しばかり、緊張を孕んだ気がした。


その証拠に一旦、うるさく引き止めていた……確か、あの声は村長だったろうか。


曖昧な記憶の中にある声と照らし合わせた程度だが、外れてはいないだろう。




何せ、先程から聞こえる会話には『殿下』『反逆罪』などという言葉が並んでいた。




要するによく分からないが、要人が来ている、そう判断していいのだろう。




いや、村長の頭がおかしい……騎士だとか名乗ってるやつもいたか……






「はあ」






ともかく、そんなうるさいやつの声も一旦は止み、ほんの一瞬ではあったが、ここは静寂を取り戻していた。




まあ、ほんの一瞬のことでしか無かったのだが……






「お待ちください、殿下方。そこにいるのは呪われた子供。王族ともあろうお方々それに近づくなど、もし、殿下方まで呪われてしまってはなりません。どうぞ、その子供は放っておかれてください。村の者共で適切に処理――」




直接説得することを選んだらしい。


その瞬間、どす黒い闇に中へと引き込まれるような感覚の、一瞬にして、場を支配するような声が響いた。






「いい加減にしろ。我々のやることに口をはさむのか?」




「いいえ、決してそのようなことは!しかし」




「はあ~しつこいなあ、兄上が「黙れ」と言っているのがわからないのですか?」




「うっ…」




――……はあーうるさい。




人の家の前で大声で騒ぐのはやめてほしい。




ほんと夜でも騒がしい連中……






そう考えながら、今度こそと外を覗こうとする。が、思ったより窓の扉を強く押したらしく、ギッと音が鳴り、それに気づいた者たちがこちらを見た。




――ああ~面倒なことになったようだな。今からでも寝直そうか。








 とはいえこうなったのであれば、今更隠れて見ている必要もないだろう。




遠慮なく扉を開け、訪ねてきた人物を確認する。予想通り、村長だと思われる人物と大きな馬車、それからいかにも護衛っぽい数人、そして問題の王族?が二人いた。




その二人は特徴的な外見というか、よく人の目を惹きつけそうな人物だった。




一人は豪華に装飾されてきらびやかな洋服に身を包んだ、とにかく華やかな金髪の男性。




もう一人は正反対でシックな大人しさを感じさせる身なりに夜空のような漆黒に青やシルバーの混ざった髪の男性だった。恐らく人々が魔性のなんとかと形容する人物がこの人なのだろう。




そんなことを思っていると、あちらも俺の観察を終えたのだろう。






「夜分に家の前で騒がしくしてしまってすまない。私たちは君に用があって来たんだ。良ければ、こっちに来て話をしないかい?」






そう話しかけてきたのは金髪の男性だった。




話?誰と誰が?なんの?てかなんで?というか俺に用って…なんだ?ついに村の連中は俺を売ったのか?いや、でも村長は反対のようだし。




などと考え、村長に目を向けると明らかに不満そうな顔をして、『お前は引っ込んでいろ!』とでも言いたげだった。正直、面倒なのでどうしたものかと思ったが、何も言わないわけにもいかないだろうと思い、






「話ってなんだよ」






仮にも王族と呼ばれていた人に向ける言葉でも態度でもないが、それはあえてやったに過ぎなかった。これで腹を立てるような奴らなら放っておいても勝手に帰るだろうというなんとも雑な魂胆があったからだ。






「そうだね~、ずっとそこに居たいのかい?こんな村の端に追いやられて、


一生閉じ込められていたいかい?それなら構わないのだけど…」




そう返してくるタイプだったか。思ったより面倒でやりづらそう…




「はあー、それで?」




「ん~出してあげようかっていう話をしたいからこっちへおいでと言ったんだけど、お気に召さない様子かな?」




「こっちにおいで、ねえ~…この家から出られないやつをどうするって?」




「ん?この家から出られない?どういうことかな?」




「なんだ、そんなことも知らずに来たのか、なら帰れ。」




「いや、教えてくれたら対応するけど、それではだめなのかい?」




「うるさいな…出たいとも出たくないとも思わねーよ。そんなに何かしてやりたいほど、哀れに思うなら、いっそ殺してくれ。」






途中で面倒になって話を切り上げた。だが、間違ったことは言ってないはずだ。生きている理由なんてないのだから、この現実を終わらせてくれることこそ最大の願いだった。それすら、どうでもいいと言えばどうでもいいのだが。




こんにちは、一ノ瀬 リマです。


睡眠妨害、本当に万死に値しますよね(笑)。

私にとっての「睡眠妨害」は害悪でしかないのですが、彼が受けた「妨害」は、彼の人生を大きく変えるきっかけになる……かもしれません。


ちなみに、エピソードタイトルは私の心の叫びや感想が漏れ出ているだけの場合も少々。本編との温度差に風邪を引かないようご注意ください!ちょっとだけ遊ばせてくださいね。


ところで、皆さんは、これだけは許せない!という「妨害」はありますか?


さて、次からは少し視点が変わります。

また次回のお話でお会いしましょう!

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