第一話 始まりの小屋
この作品に興味を持っていただき、ありがとうございます。
設定のしっかりとした考察できるお話し好きな自分の理想を詰め込んだようなものですが、暖かい目で見ていてくださるとありがたいです。それでは本編どうぞ!
村はずれの錆びれた小屋。
隙間から吹き込む風はついこの前までの湿気を
多く含んでいた風とは異なり、
少し凍えるような寒さを運び、
手入れされていない荒れ放題の髪をなびかせている。
なびいた髪をうざったく思っていたのは
いつのことだっただろうか。
八年前、俺は生まれた。
この世界には魔力が存在し、魔法が使える、
それは誰しもにとっての当然の事象だった。
それは俺も例外ではなかったが、
一つ違いがあるとするのであれば、
その魔力の量が異常に多かったことだろう。
そんな俺の魔力を狙った者たちに
誘拐されそうになったり、
凶悪な魔物に餌認定されたりと度々、
周囲の者まで危険にさらしてしまっていた。
それでも両親はそんな俺を一生懸命守ろうとしてくれた。
しかし、五年前、母が流行り病を患って床に臥せ、やがて命を落とした。
そんな母を追うようにして、母亡き後、
一人で家庭のことを背負い込み、ついには過労で、
ぽっくりと父もこの世亡き存在となってしまった。
あの時の俺は理解できていたのか、
正直よくわからない。
そして、それは今でも何も変わっていない。
わかるのは一人ぼっちになってしまったことと村の者から遠巻きにされたことだけだ。
「かわいそうに、あんな子を産みさえしなければ、
こんなことにはならなかったかもしれないのにね~」
「あの子には近づいてはだめよ、近づいたらあの子の 呪いで死んでしまうわ」
「いつまであんなのを村においておくんだ!
さっさと追い出さねぇとこの村が呪われちまうだろ」
「今日からお前の家はここだ。いいか?
村に出てくるんじゃねーぞ!
殺さないでやってるだけ感謝しろ!」
故意に殺そうとすれば、魔力があふれ出すのではないかという恐れからか殺されることはなく、
この今にも崩れそうな小屋に押し込められた。
あれからというものここにはほとんど人は
近寄らず、時々、食料などを運んでくる人が
いたような気がする程度だった。
あと、冷やかしの子供たち…。
そういうやつらは窓から石を投げ込み、気が済んだら走り去っていく。
魔力が多いからか頑丈なこの体はこんな暮らしにもかかわらず、なぜか今日も正常に動いていた。
まるで意地でも死なせまいと。
他に死ぬ方法はないかと考えてもこの家から
出られないように魔法をかけられているせいで、
二階から飛び降りることも
魔物の餌になりに行くことも叶わない。
それになぜだか、ここには魔物が寄り付かなかった。魔物からやってきてくれれば餌になれると思っているのに現れないのだ。
とにかく、もう生きるのに疲れた。
だから、死にたい。
それだけのことすらできない。
神に祈ってみるもそんな願いはむなしく、
返答はなかった。
ぼーっと、夕暮れを眺め、やがて思い出した。
ああ、そうだった。結局、いつからだったか、
この髪のうざったささえ忘れたのは。
思い出せなかったが、考える気も失せたため、
早々に思考を放棄した。
どうせ、また明日も同じような
殺風景な日々を繰り返す。
何を考えても無駄だろう…と。
改めまして、初めまして、一ノ瀬 リマと申します。
まずは第一話をお読みいただき、ありがとうございます。楽しんでいただけましたでしょうか?
これから少年がどうなっていくのか、なるべくテンポよく皆様に続きをお届けできるよう頑張りますので、この作品にお付き合い頂けたら嬉しいです。
ではまた次回のお話で皆様と会えることを楽しみにしております。
補足
読者様から誤字についての報告がありました。報告ありがとうございます。
ルビの訂正ありがとうございました。(本当に色々、申し訳ありませんでした。)
ついでと言ってはなんですが、
本文冒頭の「錆びれた小屋」について
誰も寄り付かない様という意味の「寂れた」がメインではなく、ひどく古びたという意味をメインとして使用したく「錆びれた」と表現しました。
これからも誤字報告は積極的にお待ちしているのでよろしくおねがいします。




