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第一話 始まりの小屋

この作品に興味を持っていただき、ありがとうございます。

設定のしっかりとした考察できるお話し好きな自分の理想を詰め込んだようなものですが、暖かい目で見ていてくださるとありがたいです。それでは本編どうぞ!



『――ぇ、忘れないで、――、あなたはアウ――――の―――。

決して――――――だから。ごめ―――――。――がい、―――――。』











「……ん、ん」



――いつの間にか眠っていたのか……





 村はずれの()びれた小屋。


隙間から吹き込む風はついこの前までの湿気を多く含んでいた風とは異なり、少し凍えるような寒さを運び、手入れされていない荒れ放題の髪をなびかせていた。




ボロボロに破れ、使い物にならないような毛布らしきものや、どこからか入り込んだ虫、それから、大量の黒ずみ破れかけている本が乱雑に散らばった一角に俺は一人ぽつんと、壁に背を預け、座っているだけ。








ギシ、ギシギシ、ミシ、ギシ……








風が吹いても、もたれかかっても、特に何もなくたって、小屋からはいつもそんな音がした。


そんな俺は無情に何も思うことなく、どこへ行くこともなくただ、動かぬ人形のように座っているだけだったが、それに珍しく、久々に頭にほんの少しだけ、血が巡る感覚があり、一つ考えが浮かぶ。






――なびいた髪をうざったく思っていたのはいつのことだっただろうか。












 八年前、俺は生まれた。


世界には魔力が存在し、魔法が使える、それは誰しもにとっての当然の事象だった。


それは俺も例外ではなかったが、一つ違いがあるとするのであれば、その魔力の量が異常に多かったことだろう。




魔力とはそれだけで大きな力を持つものらしい。




人にとっては動力源や兵器の燃料といった使い方もできるとか。


魔物にとっては極上の餌だとか。




だからか、そんな俺の魔力を狙った者たちに誘拐されそうになったり、凶悪な魔物に襲われたりと、自身を危険に晒し、さらには村まで巻き込み、周囲の者まで危険に晒してしまっていた。




それでも両親はそんな俺に怯え、突き放すことはなく、一生懸命守ろうとしてくれた。








しかし、五年前、両親の姿は俺の前から、世界から消えてしまった。




母がどこからか拾ってきた流行り病を患って、床に臥せ、その息の根は徐々に薄れていき、やがて命を落とした。医者の診断では安静にしていれば治ると言われていたものだから、周囲も驚いていた。




おまけに病にかかったのは村では母だけだった。




それから父と二人きりになって二か月後、母亡き後、一人で家庭のことを背負い込み、ついには過労で、母を追うようにして、ぽっくりと父もこの世亡き存在となってしまった。




母が死に、父が死んだ。そんな言葉を使うことは出来はするも、あの時の俺はその本質を理解できていたのだろうか。




きっと、できていない。


そして、それは今でも何も変わっていない。

だって、何度この言葉を口にしようと、何かを感じたことはないのだから。




結局、わかるのは一人ぼっちになってしまったことと村の者から遠巻きにされたことだけだ。





「かわいそうに、あんな子を産みさえしなければ、こんなことにはならなかったかもしれないのにね~」


「あの子には近づいてはだめよ、近づいたらあの子の呪いで死んでしまうわ」


「いつまであんなのを村においておくんだ!さっさと追い出さねぇとこの村が呪われちまうだろ」


「今日からお前の家はここだ。いいか? 村に来るんじゃねーぞ! 殺さないでやってるだけ感謝しろ!」





そして、故意に殺そうとすれば、魔力があふれ出すのではないかという恐れからか殺されることはなく、この今にも崩れそうな小屋に押し込められた。





 あれからというものここにはほとんど人は近寄らず、時々、食料などを運んでくる人がいたような気がする程度だった。あと、冷やかしの子供たち…。そういうやつらは窓から石を投げ込み、気が済んだら走り去っていく。魔力が多いからか頑丈なこの体はこんな暮らしにもかかわらず、なぜか今日も正常に動いていた。まるで意地でも死なせまいと。




それだけではなく、あれほど俺を狙っていた人間も突然ぱたりとやみ、魔物さえも来ることはなくなった。






――一体、何があったというのだろうか?






他に死ぬ方法はないかと考えてもこの家から出られないように魔法をかけられているせいで二階から飛び降りることも自ら魔物の餌になりに行くことも叶わない。




おかしなことばかりのこの小屋で俺は何のために生きているというのだろう。

もう生きるのに疲れた。








――死にたい。 殺してくれ、死なせてくれッ……






それだけ。たったそれだけのことすらできない。


神に祈ってみるもそんな願いはむなしく、返答はなかった。


神さえも俺を見放すのか。




ただ心なく、ぼーっと、夕暮れを眺め、やがて思い出した。





――ああ、そうだった。

  結局、いつからだったか、この髪のうざったささえ忘れたのは。





思い出せなかったが、考える気も失せたため、早々に思考を放棄した。




どうせ、また明日も同じような殺風景な日々を繰り返す。


何を考えても無駄だろう…と。



改めまして、初めまして、一ノ瀬 リマと申します。

まずは第一話をお読みいただき、ありがとうございます。楽しんでいただけましたでしょうか?

これから少年がどうなっていくのか、なるべくテンポよく皆様に続きをお届けできるよう頑張りますので、この作品にお付き合い頂けたら嬉しいです。

ではまた次回のお話で皆様と会えることを楽しみにしております。


補足

読者様から誤字についての報告がありました。報告ありがとうございます。

ルビの訂正ありがとうございました。(本当に色々、申し訳ありませんでした。)


これからも誤字報告は積極的にお待ちしているのでよろしくおねがいします。

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― 新着の感想 ―
錆びれた小屋に関してですが、寂れたにした方が良いと言う意味ではなく、**錆びれた(さびれた)**と表示されていて、**などの記号が書かれているのが不自然に感じて、もしかしてルビを振りたかったのではない…
主人公の呪いの正体が何かとかいろいろ気になりますね! これからも応援させていただきます。
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