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怪しい話

「あ、揃ってるな。えっと、あそこにいる奴らが仲間だ」


「な、なんかイケメンがいるぜ! 見た事ねえくらいの!」


「本当に気に食わないんだよ、あいつ」


「へぇ」


 日向達はコートル達と合流しようと歩いて行くと、どうやら全員がもう揃っていた。


「日向、お前思ったより強引じゃのう」


「ちょっ! 言わないでくださいよ。から回ってたんです!」


 焦っていたとは言え少しやりすぎた気がする。飲食店に行くにしても無理やりすぎた。


「本当かのう。まあ良い、えっと、バードじゃよな、さっきはすまんかったな。日向をぶつけたが、ちょっと強かったかもしれん」


「お、おう」


「いや、そう言う事じゃないでしょ! そもそも、押さないでくださいよ! せめて自分から行かせてください!」


「けど覚悟できておらんかったじゃろ?」


「……はい」


 コートルの言葉に日向は黙る。確かにあのままだと覚悟ができず行かなかっただろう。


「て、てかさ、この子が師匠? 本当に大丈なの?」


「大丈夫だよ、一旦街の外の広いところで話そう、ここだと特訓できないし」


「訓練場あるけど行かないの?」


「いやあの人結構目立つからさ」


「そ、そうなのか」


 コートルも今はフードをかぶっている。エルフの為結構目立つのだ。それに訓練場だと小さく、それに人が集まって来る可能性もある。流石に森でないと特訓なんてできない。


「バード、言っておくがお前より年上じゃからな」


 コートルはギロリとバードを睨む。日向達の時もそうだが、子供と思われたのが不服だったのだろう。


「まじ!? 日向といい見た目と違いすぎるぜ。……もしかしてそこの子も?」


 そしてバードはフードをかぶっているリオンの方を向いく。


「違いますよ! 私はちゃんと十歳です!」


「そ、そうか」


「はい!」


 そうして日向達は森へと歩いて行く。魔王とマハナタは宿に行ってもらう。魔王の年齢もバードは聞いてきたが、年上と知り、また驚いていた。魔王のこともバードが付いて来るならいずれ話さないといけないが、今はまだ話はしない。


「バード、お前は吸収、強化のスキルをどう思っているのか聞かせてくれ」


 森に入るとコートルはバードに質問する。


「鑑定持ってるのか……えっと、このスキルは使いにくいと思う。魔法がこっちに来ても耐えれないんだよ。そもそも魔法使いに挑むことなんて俺にはあんまないし、だからこのスキル完全に使えたことがないんだよな」


「……まあそもそも剣だと最初は難しいからのう」


「やっぱそうなの?」


「ああ、まあ耐えたらと書かれてる時点で盾じゃろ普通」


「……」


 コートルの言葉にバードは少し考えるように黙る。


「けど俺は剣がいい。憧れなんだよ」


「それなら途中から剣に変えればいい。このスキルは最初は盾と相性がいい、途中からは剣や槍なんかでも戦えはするんじゃよ。弓とかは厳しいがな」


 盾が一番耐えやすいが、剣でもなんとかはなるようだ。


「それならいいぜ」


 バードもそれなら良いようで、納得してついて行く。


「バード以外はそこで見ているか話でもしているんじゃ」


 そうして、適当なそこそこ広がっている場所まで歩いて行くと、バードの特訓が始まった。


「一回そのスキルを試してみるんじゃ。わしが魔法を撃つから、スキルを使うんじゃ」


「は、はい!」


 そう言うとコートルは火の魔法をバードに向けて飛ばす。日向からみると弱い魔法だが、バードから見ると少し強いくらいなのだろう。バードは少し驚いている。


 ドカッ!


「っ!」


 バードは火の魔法を少し押されながらも耐え切ることが出来たようだ。そして、耐え切った後、バードの体が、少し光り始める。


「これが強化されたって事か?」


「その状態で同じ攻撃を出すから先ほどと同じように耐えてみろ」


 そしてコートルはもう一度同じ火の魔法をバードに飛ばす。


 ドカッ!


「……さっきより軽い。これが、このスキルか」


 これはすごいスキルだな。


 日向が見た感じではあるが、最初塞いだ時よりも格段に強くなっている。一回目は厳しそうだったのが、強化された二回目では全然余裕そうである。

 もしかしたら倍くらいは強化されているのかもしれない。


「そう言う事じゃ。よし! なら今日はレベルを上げるぞ!」


「はい!」


 バードは気分良さげに返事をして、日向達も集まり、皆はレベル上げに出発し、終わる頃にはバードはレベル二十五まで上がった。



♢♢



「てかなんで俺に強いスキルがあるって分かったんだ? 鑑定で見たとか?」


「……ん、えーと……」


 バードが帰り際に日向に聞いてくる。普通に見ればおかしい話だ。弱いやつと言われていたバードに興味を持つのはおかしい。なので、バードはコートルの先ほどの発言から、誰かしらが鑑定を持っていてたまたま見つけられたと思っているようだ。日向も神に聞いたなんて言えないので黙ってコートルの方を見る。


「お前がわし達に付いて来るなら話してやる」


 日向の視線を読み取り、コートルがフォローしてくれる。


「…………俺は行くつもりだぜ! 母ちゃんも父ちゃんも、多分許してくれる筈だ。俺が冒険者になるのも許可してくれたんだぜ!」


 少し考え、バードは答えを出す。今日だけで日向達は信用されたようだ。


「まず許可を取りに行くか」


 日向達はバードの家まで行き、親に直接許可を取る事にする。当たり前だが勝手に連れて行くわけにはいかない。


「えっと、それはちょっと許可できないわ」


「な、なんでだよ!」


 バードの母に言ったのだが、許可がおりなく、バードは反抗している。


「そりゃそうよ、冒険者をやるのもランクに見合った依頼だけで危なそうなのは手を出さないって約束でしょ? せめて後二、三年は待ちなさい」


「……」


 バードは黙り込んでしまう。バードはまだ若すぎる。親なら心配なのも当たり前だろう。それにバードは弱いと言う噂も聞いたことがあるのかも知れない。


「日向ちゃん、可愛くお願いしてみましょう。日向ちゃんが言えば何とかなります!」


「す、するわけないでしょ!」


 リオンが小さく言って来るが流石にその提案には乗れない。日向も小さく否定する。


「日向ちゃんは可愛さをもっと誇っても良いんですよ! 見せつけていきましょうよ!」


「は、恥ずかしいの! それにかっこいい方がいいって何回も言ってるよね!」


「わ、分かりました。今回は引きましょう」


 リオンは日向に話しかけるのをやめる。

 するとコートルが一歩前に行き、バードの母の前に行く。


「そこをなんとかしてくれないか? バードには才能がある。バードなら、世界を救えるんじゃ」


「……怪しい。根拠は何? それにあなた達のこともよくわからないのに、うちの子を連れて行けるとでも?」


 バードの母は鋭い目で睨んでくる。


「分かった、怪しくなければ良いんじゃな?」


 コートルはそう言うとフードを脱ぐ。


「根拠はバードは英雄バユクのスキルを持っておるんじゃ。わしの仲間のな」


「っ! ……エルフ……」


「え!? コートルさんって……」


「わしは……自分で言うのも恥ずかしいが、全能の魔剣士なんて呼ばれているんじゃ。これでどうじゃろうか、信憑性が上がったか? 見た目を変えるようにしたと思うかもしれんがそんなことできるならそもそも何言っても納得されるようにするから違うぞ」


「まじ!? 今俺英雄にあってるの! ヤバいよ母ちゃん!」


「……守ってくれるの? うちの子を」


 バードの母も信じてくれたはずだ。コートルの言うようにそもそも精神操作で今の状況を作る必要がない。


「ああ、わしの持てる限りではなんとかしよう。魔王幹部ですら、わしの防御は破れん」


「…………分かったわ」


 そうして、バードを連れて行く許可も取れ、日向達はマハナタと魔王の居る宿に向かう。

 そして次の日にはコートルは魔王を連れて、魔王城へと、出発していった。

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