少年
「ついたのじゃ」
「やっとか」
日向達は一ヶ月と1週間の移動を経て、ボースにあるユグと言う街に到着する。本当は一ヶ月の予定だったが、馬車は乗り継ぎので、空いていなければ待たなければならない為、少し時間がかかったのだ。
そしてこの街はボースの中でも王都の次に栄えている街。なので広く建物も大きい。日向達が召喚された都市よりは大きくないが移動中に見たり行ったりした街よりは圧倒的に大きい。
「よし! 明日にはわしも魔王城に行く為に離れんといけん。今日中にはバードとあって話をするぞ」
「楽しそうですね」
「当たり前じゃろう!」
コートルはここ最近はよほど楽しみなようで、誰が見てもテンションが高く、不意ソワソワし出すことも多かった。そんなコートルを見て日向は言う。
そして皆馬車から降り準備が出来ると、ユグの街を歩き始める。この間もコートルは探しているようで辺りをキョロキョロと見ている。
「日向ちゃん! あとでデートしようね!」
「ほんとそればっかだな! 1週間後とかにしてくれ」
「えー」
ヤーナは結構前からそんな事ばかり言っている。何回か一緒に出かけたことはあるが、収まる気配はない。別に遊びたくないわけではないのだ。楽しいのだが、日向はけっこう照れるので、一回遊ぶと疲れるのだ。
「日向ちゃん。なら私と周りましょう!」
「え! 絶対行く! 明日行こ!」
「ちょっと、うちが最初に言ったのに! なんでうちは明日じゃないの!」
「そりゃお姉ちゃんは優しいからね」
「酷い! うちだって優しい筈だよ!」
日向の中で間の優先順位はヤーナよりリオンの方が上だ。リオンは優しいし撫でられたら嬉しい。居心地がいいのだ。ヤーナに抱きつかれると異性としてみてしまう。リオンだとそう言う事は無い。ただ時々十五歳にもなって撫でられているのが恥ずかしくなることがあるくらいだ。
「ほら日向、リオン、ヤーナ、早く行くぞ」
「オッケー、じゃあ行こう!」
「はい! すぐ見つけましょう!」
「はぁ、冷たいなぁ」
そして日向達は、まずは人に聞くことから始める事にする。
「ん? バードか? それならいつも冒険者ギルドにいるぜ! もしかしたら依頼を受けてるかもしれないがな、まあゴブリン退治か薬草とりみたいな低い依頼しか受けていないからいなくてもすぐに帰って来る筈だぜ!」
三十分ほど経つと冒険者をしている男が情報を話してくれる。
「……ふむ、そうか、感謝する」
「おお、けどあいつは弱いぞ? なんであいつなんだ?」
「あ? そんなわけないじゃろうが」
「そうなのか? まあどう思うかは人それぞれだしな、じゃあな」
「ああ……」
日向達は情報はゲットすることが出来た。
「なんでコートルさんはそんなに不機嫌になってるんですか?」
情報をゲットしたと言うのに、コートルは喜ぶどころか少し苛立っている気がする。
気になった日向は聞いてみる。
「あのスキルを持っておいて弱い訳がないじゃろう。そりゃ戦わんような奴が持っておったら仕方がないが冒険者をしておいて弱いわけないんじゃ!」
「まあ、そうっすね」
進化前ではあるが、吸収、強化というスキルの能力は書いているとうり、魔法を吸収してそのMPを使い強化する。吸収は相手の攻撃を無理やりこちらに寄せて、全ての衝撃が襲うが耐え切れば絶大に強化されるらしい。
このスキルは強い。なのでコートルは何故戦いをしている冒険者のくせに弱いと言われているのがムカついているようだ。
「まあ、一旦見て見ましょうよ、もしかしたら噂なだけかもですよ」
「ああ、そうじゃな」
白の言葉に少し落ち着き、冒険者ギルドに向かう。
だが冒険者ギルドも今日は居ないと言われ、特徴が書かれたメモをもらい日向達は街を三組に分かれ探し回ることになった。そして日向をどの組に入れるかで喧嘩になったが、日向が有の方を選び、日向達は日向、コートル、有、リオンで探し回ることになる。
「日向ちゃんは人気者ですね!」
「あそこまで来られるとちょっと嫌だけどね」
「いや、本当にこのパーティーが可愛いが好きな人が多くて良かったよ。俺はあんまり標的にされないから」
「お前は良いだろうが! かっこいいって言われるんだぜ居るだけで、俺なんてどんだけやっても可愛いが混ざるんだよ!」
日向は有がいつも気に食わない。今だって周りの女性が有を見て見惚れている。日向も見られてはいるが、子供を見ているような目である。
「居たのじゃ!」
「「「え!?」」」
急にコートルが大きい声を上げる。バードが見つかったようだ。
そしてバード見てみると見た目は茶髪で、背は伸びきっていないためか少し小さく、顔もちょっと幼い感じもする。
「日向、お前が行け。わしよりお前の方が話すのは上手いじゃろ」
「は!? 急すぎますよ! 時間をください」
急な質問に日向は戸惑い、納得はするが急には覚悟ができない。なので少し待ってもらう事にする。日向は話すのが下手ではないが別に得意でもないのだ。
「悪い印象はやめろよ、できるだけ良い印象を持たれて連れてこい」
「ちょっとプレッシャーになるから辞めてください!」
「ああ、すまん」
日向に言われてコートルは黙る。
すると、リオンが近づいて来る。
「日向ちゃん、可愛くですよ! それならあの人もついてきます! 日向ちゃんの可愛さは最強です!」
「し、しないよ」
「むむ、日向ちゃんの可愛さを分かってもらいたいんですけど」
「ごめんね」
リオンも作戦を言ってくれるがこの作戦では日向が後から恥ずかしさに悶えるのは目に見えている。それに後から口調が変わったら驚くだろうし面倒臭い。
「あ、やばい、こっちきましたよ!」
日向達が有の声を聞いて目線を向けると、バードはこちらに近づいてきている。
だが日向はまだ覚悟はできていない。
「最初はぶつかってナンパとは思われないようにせんとな。っ!」
「ちょ、待って! っ!」
ドカッ
「「うわ!?」」
日向はコートルに押されてバードに勢いよくぶつかる。
「いった、まじかよ…………ごめん、大丈夫?」
「うえ? い、いや、こっちも悪かったぜ」
「……」
どうしよう
何を話せば良いのか分からなくなる。まだ何も考えていなかったと言うのに日向は押されてしまったのだ。何をすれば良いのか分からない。
「な、何か食べ物でも奢るよ、申し訳ないし。ほら!」
「え? は!? なんで?」
そんな少年をおいて日向はどこにあるか知らない飲食店に向けて適当に歩き出した。
♢♢
「いや、ごめんな、ほんとに」
日向は適当な飲食店に入り、謝る。
さっきのことはバードは悪くない。コートルが悪いので代わりに謝る事にする。
「あれくらいなら気にしなくていいぜ。お前の方こそ大丈夫なのか?」
まあ客観的にみたら日向の方が細く弱そうなのだ。それで心配に思ったのだろう少年が心配してくれる。
「大丈夫、こう見えて俺はレベル百はあるからな」
日向達はここにくる途中でレベルは百を越えた。レベル的にはやっとCランクに入ったくらいだろうか。だがスキルも加味するとAランクの上位くらいは強い。
「まじ!?」
「ああ、バードはレベル幾つ? 冒険者はしてるようだけど」
「いや、俺は二十とちょっとなんだよ。珍しいスキルはもってるけど意味わからねえし。半年はやってるけどまだEランクなんだよ」
「ふーん、けど、バードは才能があると思うけどな。それに力に才能の差なんてあんま無いんじゃないか? そりゃ英雄レベルになるとあるかも知れないけどさ」
「あ、ありがとよ」
嬉しかったのかバードは少し照れている。そして日向も会話をして少し慣れてくる。あとは少し話して誘うだけだ。
「けどお前俺より年下だろ? 小せえしさ、良く親の許可とか出たな」
「…………俺、十五歳だからな? こう見えてもさ」
「まじ!? 十五歳なの? この感じで年上かよ……」
「あと、男として扱って欲しい」
「え? なんで?」
「その方が良いから。あ、来たな、食べようか」
「あ、ああ」
日向は元男と言うの日和って言わずに二人はそのまま食べ始める。
「よし、それじゃあ本題話しても良いかな?」
「……本題ってなんだ?」
そして食べ終わる頃にそろそろバードに向けて提案をする事にする。少しは仲良く慣れたはずだ。
「えっと、騙したみたいで悪いけど、バードに会いたくて近づいたんだ」
「は?」
突然そんなことを言われバードは当たり前だが戸惑っている。
「強くなりたいんだよね? なら、俺についてきて欲しい。さっきも言ったけど、バードには才能があると思うんだ。怪しいと思ったら断っても良いけど、どうする?」
「……なんでそう思う? 自分で言うのもおかしいけど、俺は雑魚だ。周りにだって言われることもある」
「知りたいならついてきてくれ」
ここで言って聞かれるとめんどくさいことになる可能性もある。日向はもうコートルのとこに連れて行く事にする。バードも多分ついてくるはずだ。
「っ! 待って!」
バードも予想どうりついて来る。強くなりたいやつはついて来るだろうと予想してのことだ。結構怪しいが、食事をしたのも仲良く慣れて良かったのかも知れない。信用は少しくらいしてくれているのだろう。
「ほら、こっちだよ!」




