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魔王城

「はぁ、面倒くさいのう」


 コートルは走りながらため息混じりに愚痴を吐く。何故なら魔王城に行かないといけないからである。

 出来ればバードの特訓をしてやりたいのだが、そろそろ魔王を帰らさないと怪しまれる可能性もあるのだ。


「離せ! 何をするか知らんが魔王城を壊すならタダじゃおかんからな! わしの部下もいるのだぞ!」


「何を言っておるマユちゃん。お前はもう雑魚じゃないか。それに魔王の幹部なんて何をしてもわしには勝てん!」


「そんなこと…………」


「確証ないんじゃろ? 幹部はマハナタ以外ちょくちょく変わってたからのう。どうせ全員レベル六百くらいないんじゃろ?」


「……」


 どうやら図星のようである。念の為頭の中を見たが、あっていた。

 六百なら大丈夫だ。当たり前だが警戒は強めにする。もしコートルの存在がバレ、さらにリオンのようなスキルを持っている奴がいれば油断して居たり隙をつかれて魔王のようにやられてしまうこともある。


「とにかく行くではない! 後速度を落とせ! 一回は耐えれるにしろ落ちたら一発でHP持って行かれるのだ!」


「わしは早く行かんといけんから無理じゃ!」


「お、落とすなよ! ほんとに! 分かっているだろうな!」


「はいはい」


 ビクビクしている魔王の言葉を適当にあしらって、コートルは木の上を飛んでいく。



♢♢



 休憩もしながら飛んで十時間ほどすると魔王城が見えてくる。ここが魔王軍の本拠地である。

 コートルは周りが見ても気が付がないようにする。これはコートルが視界に入ると発動する精神操作である。リオンにかけたのと同じだ。魔王にも元の魔王の姿に見えるようにしている。そして魔王にはもう一つ、精神操作をかけ、コートルが操作できるようにした。便利なことにこの精神操作は、任せれば元の魔王のように振る舞ってくれるのだ。そして自分で言わせたことも良いように元の魔王のように言ってくれる。

 ちなみにここまでのレベルにするには【究極の精神操作】というスキルが必要で精神操作から二段階階進化しなければならない為、この世界で今持っている人十人も居ない。


「おかえりなさいませ、魔王様。それで、あの、少女はどうなりました?」


 秘書なのだろう女性が、ソワソワと魔王に聞く。


「ああ、タユ、少し厄介なことになってな、やめることにした」


「な!? そ、そうですか……はぁ、楽しみにしてたのに……」


 あからさまにタユと言われた女性は残念そうにする。少しすると、タユは真面目な顔をする。


「あ、後報告があるんですけど、そろそろジャラのとこの魔人達が愚痴り出してきまして。どこか侵略しないと後少しで暴れ出す可能性があります」


「そうか……」


 ふむ、どうしようかのう。


 適当に指摘するわけにはいない。出来れば指定したくはないが、考えている作戦的に後最低でも一年はこの状態で維持しておきたい。ここで我慢させすぎると最低でも数ヶ月後には命令など無視して、適当な街に魔人が大量に侵略に行くことになってしまう。一番良いのは今いる国だが、許可が取れて居ない。


「どれくらいならたえられる?」


「えっと、最低でも一ヶ月位ですかね。それ以上だと勝手に暴れ出す可能性が高いです」


「分かった。それまでには考えるようにする」


「わかりました。それとマハナタはどうなりました?」


「マハナタは自由にしているのだろう」


「はぁ、またあの人は……」


 タユは頭を抱えている。マハナタは普段も結構自由にしているようだ。


「それとまた少しここを開けることにした。作戦が決まれば帰ってくる」


「はい、分かりました」


「まあ念の為最後に顔くらい見せておくか」


 そうして魔王を連れコートルは広い場所に行き、タユに魔人を集めさせる。

 ここで勝手な事をしないように念を打っておかないといけない


「よく集まってくれた。ジャラとその部下は一ヶ月以内に侵略に行く準備をしておくように。そのほかの奴らも数ヶ月以内には侵略を計画している」


「魔王様! 俺たちは待たされてるんだよ! 明日にはできないんですかぁ!」


 おそらくジャラなのだろう魔人は不満げに言ってくる。


 面倒臭いのう……


 おそらく魔人の中でも欲が強い方なのだろう。こうなればやることは一つ。元からやるつもりではあったが、威圧だ。


 ブワァ!


「っ!」


「うるさいぞ」


 コートルが魔王の後ろから全力の威圧を発動する。そうすると、ジャラは黙る。魔王が自分より強いと分かったのだろう。


「それじゃあ」


 そして魔王の部屋に戻り、コートルは魔王を連れ魔王城を出る。


「くっくっくっ、これからが楽しみじゃのう」


「くそう、何故タユは気付いてくれないのだ! 

いつもと違う事が分からんのか!」


「お前はもう半分積んでるんじゃよ。魔人の中で圧倒的に強いお前が無力化されたんじゃ」


 今人類は圧倒的に有利な状況にある。数年は準備期間として取りたいと言ったが、あれは余裕を持っての数字だ。やろうと思えば一年か2年経てば負けることは殆ど無くなるはずだ。

 そして数ヶ月の場合だと日向達の準備ができて居ないため、多少の犠牲は出てしまうだろうが、勝つことはできるだろう。


「ああ、我が油断したせいなのか……」


「まあそれもあるが、どちらかと言えばわしの運が良かったんじゃ。あのタイミングで貫きのスキル持ちを発見できたからのう」


「クソが!」


 リオンの存在は本当に大きかった。日向と咲のスキルならばなんとかなった可能性も十分あるが、やはりあのスキルは確実性がある。


「早くバードに会いたいのう! 何をしてやろうか、バードとリオンがある程度育ったら日向達も連れて迷宮攻略に行かんとなぁ。……はぁ、けどリオンは後少しで学園に通う時期か、まあ仕方ないかのう」


 いつも通りコートルは今後について考え始める。そして時々魔王とも話したりしながら帰って行く。

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