アップグレードしたスキル
「魔人達を連れてこないといかんな。まあリオンとルイ以外皆来ると良い。マハナタとヤーナも連れて行く」
次の日、コートルはみんなの前でそう言い日向達はコートルの家に向けて歩き始める。
「流石にあの魔人達が魔王を連れて逃げられるとかないですよね?」
「あるわけないわよ。あの子達は私に使えてるの、魔王様じゃない」
「……へぇ」
マハナタが言うならそうなのだろう。
「なんかぎこちないじゃない?」
「いや、話したことあんま無いし。敵だったし」
ヤーナみたいに体感一ヶ月以上いたならともかく、マハナタとは迷宮内でも敵としてだったのだ。気まずい。
「何言ってんのよ、わたくし日向ちゃんのお母さん役してたんだけど?」
「え? あの人マハナタだったの?」
「ええ」
「まじかよ!」
今思い返すと少し似ていた気がする。話し方とかはもろそうだ。二百人も魔人もいれば似てることぐらいあると思っていた。
「色々あったんじゃな」
♢♢
「ついた」
三十分ほど山道を歩くと、コートルの家が見える。そこには魔人達が大量に居て、体を動かしたり、何人かで暇つぶししたりしている。
そして、日向達が来ると、全員がこちらを向く。
日向達、そして魔人ではマハナタとヤーナだけ中に入れる。
「昨日ぶりじゃのう魔王よ」
「チッ……何が目的だ」
「まあそんな事はいいんじゃ。お前には今後色々ついてきてもらわんといけん」
「え? そうなんですか?」
日向は魔王は捕まえておくのかと思って居たので驚く。
「まあ作戦にはわしも行くつもりじゃから連れて行った方が楽んじゃ」
「ああ」
コートルも英雄スキルを持っている人を探しに行くならば確かに魔王を連れて行った方がいつのタイミングでも動くことができるので楽ではある。だが魔王と居るのは居心地が悪そうなので、少し抵抗感がある。マハナタと違い魔王は魔人を動かして国を襲い人を殺させ、世界の征服をしようとして居たのだ。どの道魔人は人を襲うが、魔王が命令しての行動ならば、それは人殺しのようなものだ。それに魔王自身も殺している筈だ。
それは皆も同じようで少し微妙な顔をしている。
「ふむ、まあ今のままでは気まずいじゃろうし……日向、お前、キュートの説明を見てみろ」
「え? なんで?」
「日向と有はアップグレードしとるじゃろ?」
「「あ!」」
そう言えばそうだ。このスキルをアップグレードする方法は他人を恋愛的に好きになる。マハナタの迷宮で日向は有を好きになっている。と言う事はスキルがアップグレードしている筈だ。
「てか有は何で?」
「俺も日向と一緒だから」
「は!? 何で言ってないんだよ」
「恥ずかしかったから」
「チッ」
日向は強制でバラされたと言うのに有は黙って居たと言う事にイラつく。
それはそうとして日向はスキルの説明を見る事にする。
――――
周りから可愛がられる。
自分のことを可愛いと思っている味方がパワーアップ。
一度だけ、スキル、キュートのアップグレード前を永続に付与できる(付与されたスキルはアップグレード不可)
――――
「普通に強いな。有も一緒かなこれ」
付与は戦闘目的では使えないが、周りのパワーアップが強い。
「ああそうじゃ、二人ともほとんど一緒のスキル。そしてわしはこのおかげで大幅に強化されてた訳じゃな」
「へぇ」
「そして! わしは良い案を思いついたのじゃ!」
コートルはニヤニヤ日向を見る。多分誰かは不幸になる笑いだ。
「な、何ですか?」
「そう! 日向のアップグレードされた内容は範囲強化とスキルキュートの付与! 魔王に付与してやれば良いんじゃ! 前とは違う見た目になる可能性もある。そうなれば嫌悪感も薄れる筈じゃ! 有のスキルもイケメンにすると似ているが、イケメンするよりもかわいい方がお前達的には良いじゃろう?」
「今直ぐやるべきだよ! 日向君! 早く付与しよ!」
「うわ!? まてって」
咲は期待を込めて、日向に寄ってくる。
「いい案じゃない。もし姿が変われば、へへへ。……まあ最悪わたくしのスキルでやれば良いけど。日向ちゃんのスキルで変わったならば、キュートが付くからより可愛くなるもんね」
「うちも賛成!」
マハナタとヤーナも賛成しているようだ。
「どうする?」
一旦有に聞いてみる事にする。日向的には賛成でもいいと思っている。気分的にも少し楽になるし、一度きりとはいえ、そこまで使いようがなさそうだ。何よりマハナタに目をつけられる頻度が減りそうなのだ。今の反応を見ればなんとなくわかる。
「良いんじゃない?」
「そうだな」
そして、魔王の前に行く。少し怖いがレベル1なのだ、何もされる事はない。
「く、来るな! おい!」
魔王の言葉は無視して、日向はスキルを使う。
魔王はピンク色の光に包まれ始める。そして光が収まると、
「ああ、我の威厳のある姿がぁ!」
魔王は水色の髪を長く伸ばし、パッチリとした目の小さくかわいい少女の姿になっていた。




