リオンの役割
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「はぁ、まあ心配する必要もないかのう」
コートルは迷宮に日向達と別れ、自室に戻ると、そう独り言を言う。
そもそもマハナタの迷宮はネタ感が強く、戦うことなど最後マハナタ戦がもしかしたらあるかも、くらいのことだ。
心配点は日向が攫われるかもしれないこと。そもそもマハナタが来た理由はそれなのだろう。本人がそう思っているかは謎ではあるが。
それもマサハのことではあるし守る可能性は低いだろう。だが心配ではある。
「寂しくなるのう」
ここ最近は日向達が周りにいた。それに慣れると静かなのもなんだか落ち着かない。
「よし!」
久しぶりに自主的にスキルでも強化しようかと思ったその時だ、コンコン、とノックがなる。
「誰じゃ?」
そう言いながらなんとなくわかっている。多分王が話したいことでもあり、使用人が来たのだろう。
コートルのような英雄、しかも最近は顔も出して居ないし、前来た時は話しかけられても無視をして居た為、無愛想な印象もあるかもしれない。なので、他に来るやつなんて居ないだろう。
ガチャ
だが、コートルの予想とは違い、そこに居たのは可愛らしい少女達だった。
一人はこの国の王女であるリオンだろう。そしてもう一人は元魔人であるルイだ。二人とも王から聞かされている。
「……あ、あの! お、お話! しませんか!」
リオンは緊張した表情で言う。英雄と話すのだ緊張もするだろう。
「ふむ、まあいいか。ちょうど暇じゃったんじゃ、ほら、二人ともそこに座れ、なんでも聞くといい。魔王を倒した方法でも、昔の英雄の話でも、まあ言えない事はあるかもじゃがな」
「は、はい!」
いい暇つぶし相手が見つかった気がする。コートルは気分よくお茶を出し、席に座りお茶を飲む。
「ブフッ!」
そしてなんとなくリオンを鑑定してみた時に、コールはお茶を吹き出し驚く。
「え? な、なんですか!?」
「ゴホッゴホッ……は?」
そこには英雄のスキルが映って居た。
――――
リオン Lv1
HP50
MP200
スキル
光の才能Lv5
音の才能Lv2
貫きLv1
パッシブスキル
魔力回復Lv1
――――
♢♢
「わ、私が英雄のスキルを?」
「ああ、貫きはワカハの持っていたスキル。進化前じゃが、一つに限りなんでも貫ける」
スキル貫きは、制限はあるが、なんでも貫く矢。消費MPは100とあまり大きくはない。
制限だが、範囲が五メートル以上のものは貫けない。人の場合服を着ていたらそれは一反対である。そして流石に小さすぎるものは対象外だ。そして貫ける個数だが、レベルが上がっていくと増える。範囲レベルが上がっていくとどんどん大きいものも貫けるようになる。
そして決めた相手に向かってズレなく一直線に向かう。なので相手が動かない限りは百発百中である。なのでこのスキルはレベル1でも格上にすらダメージを与えられる強力なスキルだ。
「そうですか……戦闘のスキル……」
リオンは少し考えている。きっと将来戦う事は考えてなかったのだろう。
護身術などは将来身につける可能性もあるが、リオンはどちらかというと頭を使う方が得意そうである。
「まあ強制はしない。別にスキルを持っても気負う必要はないんじゃ。じゃがそのスキルをもらったという事はお前は何かあるのかもしれんな」
「…………取り敢えず、日向ちゃんがどうしてたか、教えてくれないですか?」
「そうか、分かった」
♢♢
「あの、私! 戦います!」
「いいのか?」
昨日リオンは少し悩んで部屋を出て行った。そして次の日になると覚悟が決まったようで、リオンはコートルに言いにくる。
「はい! 私はお姉ちゃんとして日向ちゃんばかりには任せません一緒に戦います。それに王女ですから。国も守ります!」
「ふっ、やはりリオン、お前は選ばれるだけのことはある」
戦うなんてあまり考えてなかったのに一日で戦う未来を考えたのだなかなか出来ることではない。やはりリオンは神に選んだ物なだけはある。
「じゃあ、今日は少し練習をしないか?」
「はい!!」
そして、リオンの侍女に王様に言ってももらうよう頼み、練習場に向かって行く。
別に練習場は行き来の制限は許可をとり、護衛が居るなら良いらしく、それに関してはコートルが居るのでどこよりも安全であるので、許可取らなくてもそんなに怒られないだろう。そんなことよりもコートルは早くリオンの能力が見たかった。
練習場には騎士が模擬戦をしている。
「かっこいい!」
「そうですねルイちゃん」
そして少しすると、一人の男がこちらに向かってくる。
「これはこれはリオン様、今日はどのような用事で?」
前に聞いたことがある。このメガネを掛けている男は騎士団長であるダフだ。知的でかつ強く、イケメンなので人気がある。日向が見たら嫉妬しそうだ。
「え、えっと、そろそろ、私も挑戦しようかと思いまして」
「ふむ、そうですか。それでコル様を?」
「はい! 少し釣り合ってない気がしますけど」
周りが少しザワザワとし始める。理由はダフがコルと発したからだ。
皆コートルのことには気づいて居なかったが、ダフは見たことがあるようで、騎士団長であるダフが言った事により、皆疑わず全能の魔剣士である事を疑わない。
「ふむ。それでコル様、リオン様はそこまで才能が有るのですか?」
「まあな、正直に言うとリオンは英雄にだって余裕でなれるレベルじゃ」
「……なんとそこまで……あなたが言うならそうなんでしょうね」
「一つ言っておくが。もしリオンにここまでの才能がなかったとしても、わしはリオンの特訓には協力してやだとるからな?」
コートルの特訓する理由は才能ではない。教えてくれと頼まれれば暇つぶしで教えてやることもあるし、誰だって教えてやってもいいとも思っている。本気でダメな奴だと思ったら直ぐ辞めればいいのだ。少しダメなやつやら叩き直してやれば良い。
例外は勇者パーティーのスキルを持ってる場合は自分から特訓してやりたいと思っていた。嫌と言うならば仕方がないが、選ばれる奴はそれ相応の理由があるはずなので、そんな事にはならないとコートルは確信していた。
なのでリオンは悩んでいた時もこうなる事は見えていた。
「そうなんですね」
少し以外そうな顔をされる。
「まあ暇なら言ってくれればわしも騎士の特訓を手伝ってやるよ」
「良いんですか! ありがとうございます!!」
そしてダフはルンルンで元の場所に戻って行く。最後の方はスキップしていた。
「じゃあリオン、行こうか」
「はい!」
♢♢
次の日、今日もリオンとの特訓を終え、コートルは自室でこれからのことのメモを始める。
リオンもは楽しそうにしていた。それに昨日最初で的を破壊した事により結構城でも話題である。
王様にももう話し、心配はしていたがリオンの本気が伝わり安全第一ではあるが、許可をもらえた。まあ安全面は弓は後衛なのでやりやすいのでそこまで制限される事はない。
「リオン、どうなるかのう」
コートルはこれからのリオンを考えて楽しみになる。
「て言うかあと一人なのじゃな。くくく」
コートルは先ほどから笑っている。
楽しい、毎日が楽しい。仲間が帰ってくるのも、日向達を特訓するのも、本当に楽しいし嬉しい。
そう言えばホノクの時も特訓は楽しかった。だがあのあとはすぐ弟子を作らなかった。今思えばバカだったと思う。あの時は少し焦りすぎていたのだろう。
「魔王も涙目じゃろうな。こいつらが育ち切ったら魔王にはどうする事も出来ないじゃろう」
日向達が育ち切ると言うことはマハサ達はおそらく全盛期と同等の力が出せる。そこまで育てば魔王など一分ほどで倒せるだろう。それにコートルには封の才能が有る。残機の力は意味がない。
と、その時だった。
ドゴゴゴゴゴゴ!!
「は!?」
遠くから大きな音が強い衝撃とともに聞こえてくる。
そして、この距離でも分かるほどとてつもないMPの威圧を薄く感じる。
「まずいのじゃ!」
魔王が来た。これほどまでの威圧はコートルの知る限り、今この世界には自分と魔王の二人だけだ。
「直ぐに行かねばならん……いや。無策で勝てるかのう?」
分からない、魔王に勝てるかが。確証がない。賭けれるほどの作戦がない。
コートルは頭をフルに回転させて考え、答えに辿り着く。
「日向と咲と白のスキル、そしてリオンのスキルが有ればいける……」
これしかないとコートルは直ぐにリオンの部屋に全速力で走る。
許可なんてしてる暇はない。
「リオン!」
「こ、コートルさん! なんなのですか今のは」
「リオン、魔王が来た。行けるか?」
「え!? ま、魔王って……」
「リオン、よく聞け、わしは直ぐ行かないといけない。魔王が明らかに強くなったら、わしが一秒以上止める。その時に、お前が貫け」
「な、何でですか! そんなの危ないです!」
「日向が連れ去られてしまうぞ! それにあいつらが死ぬ。そんな事になればいよいよ人類の希望が薄れてしまう」
この場面は重要すぎる。ここで負ければ人類の負けは濃厚になる。勝てば人類の勝ちが濃厚になる。そんな場面だ。
「…………それなら私は行きますよ! その為の特訓なんですよ! 私のスキルならば、魔王だって大ダメージです! 行きましょう!」
「よし! ではバレないよう上に行くぞ!」
「はい!」
コートルはリオンを担ぎ、走る。騎士にバレればめんどくさい。できるだけバレるわけには行かない。
コートルは城のできるだけ高いとこに行き、窓を開ける。
「ここの扉ににリオンは通れる結界を張った。弓を打って確認したら当たってても当たってなくてもいいから直ぐに人がいるとこまで逃げろ!」
「分かりました!」
「じゃあ、わしは行く!」
そうしてコートルは窓から勢いよく飛び出し、魔王の下えと飛んでいく。
♢♢
「へぇ、ガチでお姉ちゃんのおかげじゃん」
王様に報告した後日向達はコートルの部屋に行き、リオンと何があったかを聞く。マハナタ達はと言うと流石に放置は危険もあると言う事になり、与えられた部屋から出ないことになり、監視もしているようだが、意味は無さそではある。コートルも思ったようで、王様に言っていたが一応らしい。
「まあのう、じゃがそんな事を言ったら全員のおかげじゃがな」
「まあそうか」
リオンがいたから魔王を動けない状態にできたが、変身を待つ有達がマハサ達と変わるスキルがなければそもそも耐えれていないし、日向の折れない正義。白のMP操作、咲のオートが無ければ魔法陣に邪魔されてコートルが近づけない。そしてコートルが居なければ魔王と勝負にすらならないので、言うなればほとんど全員のおかげだ。
「わしは明日王様に謝らんとな、今日は忘れておった。まあ今はバレてそうじゃが」
コートルは明日のことを考えて体を震わせている。
バン!
「コートルさん!! やりましたよ私!」
その時、リオンがテンション高く部屋に入ってくる。
「おお! リオン! よくやってくれたのう。最高じゃったよ」
「はい!」
リオンは本当に嬉しそうにしている。
「日向ちゃん! これからは私も戦いますからね!」
「心強いね、お姉ちゃんは魔王の腹を貫いたんだから」
「はい! 一生自慢しますよ!」
リオンはずっと嬉しそう。それもそうだ。自分の手で魔王を倒すチャンスを作り、そのチャンスでコートルは魔王を無力化した。
自分が魔王を倒すのに大きく貢献した。その事実は凄すぎる。
「自慢するべきじゃよ。何せお前達は英雄が辿り着けなかった所に辿り着こうとしている。このことが公表されればお前達は英雄になるのだ」
この言葉には嘘はない。魔王討伐は何百年も前から誰も達成できなかったのだ。
そして、コートルは元々一つ余っていたコップにジュースを汲みリオンに渡す。
「じゃあ、祝杯を始めるのじゃ! 乾杯!」
「「「「「「乾杯!」」」」」」
そうして、楽しい夜が始まった。
ここで章が終わりです。




