お願い
「魔王は殺さなくても良いんですか?」
「ん? ああ、そうじゃな、利用価値はいくらでもあるからのう」
利用価値とは何かは知らないが取り敢えずこのままで良さそうだ。レベル1になってるため、日向たちでも負けることはまずない。
「僕は仕返してやらないとだよ! 魔王のくせに生意気だよね! ほんと」
有から変わったマハサは先ほどからぷんぷんしている。悔しかったらしい。今までは余裕で勝ててたからだろう。
「じゃがマハサがいなかったらわしも間に合っておらんかったじゃろうし、活躍しておるよ……あ、叩くなよ? それだけで死ぬ可能性あるからな?」
「分かってるよ!」
少し面白いな
マハサは今まで余裕があるような話し方だったため、悔しそうにしているのをみると新鮮で面白い。
「よし! 迷宮も攻略、そして魔王も討伐、これからすることは後で話すが、今日は帰って祝杯でもするかの?」
「やけ酒したい気分!」
「おいおい、有の体なんじゃ、酒は禁止じゃよ」
「ええ!!」
と空気が和み始めた時、辺りが光り始める。
「え? なに!?」
そして、光が収まり周りが見えなくなると、十メートルほど先に木が円形に囲われだ空間に日向たちは飛ばされる。
「神がきたな」
「神!?」
見ればあたりにはマハサ達もいるため、ここはマハナタの時のような別世界であることがわかる。
「異世界人達よ、よくやってくれた」
「神様なんですか?」
「そうだ」
白の質問に、神は気分よく答える。
「ここで本題だが、すまないがお主らを返すのはまだ先送りにさせて欲しいのだ」
「「「「「え?」」」」」
今は正直忘れていたが、魔王を倒したら戻れると聞いていたので、日向は少し驚いた表情になる。周りの皆んなもそんな感じだろう。
「魔王は無力化しても魔人はいる。それが厄介でな。魔王が計画的な侵略のために抑えていた魔人の欲が、魔王がいなくなったことによって抑えが効かなくなる。そうなると極短期間ではあるが今よりも大きい混乱が訪れる可能性もあるのだ」
「そっか、それでマハサ達は倒し切らずに逃して、一時的な平和をもたらしたんだっけ?」
「そうだ。そしてコートルよ、今回は何か案があるのだろう?」
「そうじゃな、案なら考えておる」
コートルはニヤニヤと答える。きっとほとんど確実に決まる作戦なのだろう。その心配はしない。
「まあ、そういうことだ。すまんが魔人を抑えるまで先送りにさせて欲しい」
「分かりました。みんなも良いよね?」
白は最初に許諾してから、皆に確認する。
「なんで確認が後なんだ? まあ良いけど」
日向は笑う。白も結構みんなのことを分かっているようだ。日向たちはいつのまにかそこまで信用されていたと思い嬉しくなる。
「俺もいいよ」
「あたしも!」
「私も……そのつもり!」
皆、快く頷く。
「ありがとう。だが魔王を倒したと言うのに何もないのは申し訳ない。何か一つ、願いを叶えてやろう」
「えー! 神様全員に一回じゃないの?」
神の言葉にマハサは異議を申し立てる。
「すご……」
マハサらしいと言えばマハサらしいのだが、神と話すのに萎縮しないのはすごいと思う。
「誰のせいで力が落ちたと思っておる。誰かが願いを実質3個プラスしたせいなんだがな?」
「……そうだね、ごめん」
マハサは痛いところをつかれたらしく、素直に謝る。
「んー、願い事って言われてもな……」
パッと思いつくのは強力なスキルだ。まあそれが一番だろう。
日向は皆と相談しようと口を開けようとする。
すると、
「すまん、わしが言っても良いか?」
「え? どうしてですか?」
「勇者パーティーの見つかっていない最後のスキル、【吸収、強化】というスキルを持つもののい場所を知りたいのじゃ」
「ああ! それだ!」
正直一番良い案だと思う、強力な仲間、強力なスキルになる可能性が高い。一人を強くするよりもそのスキルを持つものを特訓して強くする方が良いだろう。今から探しても見つかる可能性はあるが教えてもらった方が早く特訓を出来る。
皆も頷いている。これはもう決定だろう。
「いや、それは普通に言っても構わない。場所はボースという国の、ユグという街にいるバードという少年がスキルを持っている」
「ふむ」
コートルは平然そうにしているがえみを隠せていなく、口角が吊り上がっている。
「今のは無しでいいだろう」
「良いんですか?」
「ああ、おすすめは全員を均等に強化だ。その方が変に嫉妬することもあまりない」
「……僕はそれでいいかな、皆んないいよね?」
白の言葉に皆頷く。
「じゃあ、お願いします」
白は皆が頷くのを確認し言う。そして神は喋り出す。
「ふむ、……日向と有は【強化】を授けよう。白、美咲、咲は魔法容量をアップを授けよう。それでは頑張っておくれ!」
そして、再び光に包まれ、治ると、元の世界に戻っていた。




