師匠は強い
「よし!」
日向は一旦合図を待つことにする。
カラの言葉を代弁した白の説明により、状況は掴めている。今、魔王は全回復前のスキルを使っている。そしてコートルは何かをしようとしているようだ。
「それにしても、俺らのスキル今の状況に相性良いな」
「そうだね、このためにあったかのようだ」
日向のスキル折れない正義、白のスキルMP操作、咲のスキル、オート、この三つがあれば咲に白が日向のMPを補充し続ければスキルが続く間、咲の最大MPより一撃のMP量が多い魔法以外全ての魔法を相殺することができる。
何故最大MPよりも相手の一撃のMPが上回ってないとダメなのかは、MPを受け渡すことはできても、最大MPは最大MPアップが出来るスキル以外では増やせないからだ。
「今じゃ!」
「っ!」
そしてその合図と共にまた、魔法陣が数百と展開される。
♢♢
「始まったか」
魔王が魔法陣を出したと同時に、コートルも自分の身体能力アップ系のスキルを使う。
もうここで全てMPを消費するつもりだ。失敗すれば終わるが戦いなんてそんなものだ。
そして、同時に動き再度戦いが始まる。
魔法の対処は咲がやってくれる。日向のスキルは一分は続く。
咲の最大MPよりも多いMPの攻撃ならば咲には対処出来ないが、そんな攻撃なかなかされないはずだ。
「チッ、何故魔法が全て塞がれる!」
「ははは、面白いスキルじゃろう?」
先ほどよりも圧倒的に速い魔王にコートルは笑いながら答える。
ここまで完全に計画どうり。だが、一番怪しいのは次のターンだ。
自分で攻撃を当てれたら良いのだが、この状態の魔王はコートルでさえ攻めるのは難しい。そんな魔王を一秒ほど止め、更に攻撃を当てる必要がある。
ならばここで使い切る!
「2割じゃ!」
剣の奥義をコートルは使う。2割でやっと同等の力が出せるのだ。
コートルと魔王は剣を交え、その状態で止まる。
「良いのか? もう2割ほどしか残ってないだろう? 何か作戦があるのかもしれんが、この周りに私について来れるものなど居ない。2割ではどうしようもないのではないか?」
魔王も怪しんではいるが問題ないと踏んでいるようだ。
ニヤリ、と今度こそ我慢できずにコートルは笑う。
勝った!
ドシュ!
「な!?」
その瞬間、魔王の腹が光の矢によって貫かれた。コートルにも当たるが、貫くことはなく、コツンとあたり、光の矢は止まる。
そして、魔王の力は弱まり、その場でダメージ無効状態になる。
この瞬間、コートルの勝ちが確定した。
「封!」
コートルは手を魔王の胸に当てると、魔王は真っ白の光に包まれた。
♢♢
「ま、魔王の反応が微弱に……なった? 動いてないから。気絶してる?」
突如、美咲がそう呟く。
「どう言うことだ? 復活するなら微弱になんてなるはずないよな?」
日向は正直魔王が復活するのだと思っていたので、意味がわからない。
「たぶん、多分だぞ! ……カラさんが言うには多分、コートルさんが魔王の力を封じたのかも、らしい……けどよくわからないことも多いらしい」
「聞いてみるべきだろうな、これは」
日向はコートルに聞いた方が良さそうだと判断して、皆、静かに待つ。
だが、何分か待っても帰ってくる気配はない。
「カラさんが、MP切れてるかもって言ってるよ」
「そっか、行ってみようぜ」
「反応は微弱だけど魔王もいるから……気をつけていこう。後コートルさんも……動いてないし」
「そうだな」
日向は深呼吸をする。
美咲の言葉もあり、恐る恐る日向達はコートルがいたであろう場所まで歩いていく。
本当に状況が分からなく、ちょっと怖い。
そして、何分か歩き進めると、地面に倒れ、楽しそうに笑っているコートルと、その近くで倒れている魔王の姿があった。
「ま、魔王!?」
日向が驚くと、コートルはこちらに顔を向ける。
「やっと来たか……くっくっくっ、ふふふ! ははははは!! 見てたかお前達! これが師匠というものよ! 魔王なんてわけないんじゃ!」
「えっと、どういう状況ですか?」
訳がないようには見えないが、日向は取り敢えず今の状況を聞く。
「くくく、すまんな、昂ってとるんじゃ、ちょっと待ってくれ。くくく」
相当テンションが上がっているようで、コートルはずっと笑っている。
「えっとな、ざっというなら封の極意というスキルがあるんじゃがな、それを使って魔王のレベルを1にした」
「「「「「「え!?」」」」」」
一同は同時に驚く。
「そんなこと出来んの?」
「カラさんも驚いてますよ?」
「説明は後にしないか? 今はこの気分を楽しみたいんじゃよ。……くくく、まあ取り敢えず、魔王は倒したも同然じゃ」
「「「「「「……」」」」」」
実感がそこまで湧わかない。あまりにも呆気がない予想外の終わり方をしたのだ。あまりついけない。
だが、少しすると、皆ニヤニヤと笑顔になる。
「おいおい、一番の山を越えただけでまだまだやることはあるんじゃ。喜ぶのはまだ速いぞ」
「誰が言ってるんですか」
おそらく皆も思っていただろう。皆の言葉を代弁したつもりで、日向は笑い。ツッコむ。
前の話で正義の鉄槌を使う流れになってましたが、消しました。




