時間稼ぎ
「逃げれるか?」
「きついらしい」
「まじか……」
今の日向達で勝てるはずがない、マハサ達勇者パーティーですら数年は冒険してやっと勝てたくらいの強敵だ。
今、この世界に来て、約四ヶ月、レベルは100に満たない。コートルにだってほとんど何もできないのだ。魔王にだってそうだろう。
「いや、だがコートルさんが多分くるだって!」
「それしかないよな……」
この威圧、コートルは気がつくとマハサが予想したようで、有が代弁をし伝えてくれる。
「何を話しているのだ。まあ良い、そろそろいくぞ!」
ブワッ! とまた威圧が強くなる。そして、魔王は黒色の禍々しい剣を取り出す。
そして、数十はある夥しいほどの魔法陣を展開し、同時に日向に向かってくる。
「日向!」
日向が音速移動をし、なんとか交わすと、有が日向を庇おうと先ほど日向がい他場所で、魔王と剣を交える。
「ん?」
魔王は少し、戸惑ったような声を上げる。
魔王と剣を交えると、すぐに後ろに下がり、魔法を全て交わし切ったのが有ではなかったからだろう。
「なぜ、お前がいる!」
そうだ、有は咄嗟に変身を使い、マハサと交代をしたのだ。
「久しぶりだね、魔王」
ニヤリとマハサは笑う、その額には汗が流れている。相当ひりついていそうだ。
「みんな、変身できる白君と美咲ちゃんはもう変身を使ってくれ、三分で良い! やり過ごすよ! 日向と咲ちゃんは後ろでサポートだ!」
「「「「はい!」」」」
そして白と美咲も同じく変身し、日向は後ろに下がる。
「それじゃあいくよ!」
そう言うと、マハサは魔王に向かい再び走り始める。
「そうか、そう言うことか! 面倒臭いやつを呼び起こしてくれたな! 召喚者は!」
そして魔王も魔法陣を続々と展開させていく。
魔法陣からは火や水、多分闇魔法なのだろうものも出てきて、その全てが黒く染まっている。
マハサは四方からの攻撃を全て避けて斬り、交わし、掠った攻撃はハサナが的確に直す。そして隙を見てカラが攻撃、それでなんとか時間は稼げている。
「ふ、ははははは! 弱くてなってるな! 今ならまだ余裕で勝てそうだ!」
「そうだね!」
魔王が気が付いてしまう。マハサは全盛期の力よりも断然弱いことに。
「コートルさん早くきてくれ」
もう今はコートルに頼るしかない。それしか勝てる未来はないと言っても良いだろう。
「な!?」
日向が魔法の準備をしていると、横から先ほどまで倒れていた魔人達が、ゾロゾロこちらにやってくる。
「マハナタ様を解放してくれ、そしたら我々は下の層で大人しくしておくから」
マハナタの世界の学校の担任に似ている。て言うか本人なのだろう魔人はは頭を下げて頼み込む。
「……信じれると思うか? 魔王軍の言うことを」
魔王軍は敵、優しい魔人は居ない。それは当たり前だ。いくら人を殺していないとは言え、妨害くらいはしてくる可能性がある。
「いや、良いです。マハナタを連れて行ってください」
だが、カラはすんなりと魔人を通そうとする。
「い、いいの?」
「大丈夫ですよ、そもそもMP少ないですし、マハナタはこんな戦い、興味ないですから」
「じゃあ……良いか」
カラが言うならそうなのだ。否定はしない。
「ありがとう」
そして、マハナタの縄を解くと、下の階に降り始める。
すると、
「ごめん! マハナタ様!」
一人の魔人の少女が、階段を引き返して戻っていく。
「ヤーナ? どうして? 危ないわよ?」
引き返していくヤーナにマハナタは心配そうにヤーナに言う。
「ヤーナって、あの?」
よく見てみれば顔と髪、声まで一致している。ツノ以外はヤーナと同じだ。
人間の見た目のヤーナしか知らない日向には少し違和感に感じる。
「うち、好きな人には尽くすタイプなの!」
そう言うと、ヤーナは日向の横に並ぶ。
「ヤーナ、いいのか?」
日向達の味方になると言うことは、魔王軍を裏切ると言うことだ。もし日向達がが負ければ殺されるかもしれない。
「言ったでしょ、好きな人には尽くすタイプなの! これもアプローチだよ! 日向ちゃん!」
「そ、そうか」
日向は少し照れる。正面から好きと言われたからだろう。
「ヤーナ! よく言ったわ! それでこそ私の部下よ! 皆んなは下にいて、私はこれを見ないといけないから」
「「「「ずるいですよ!」」」」
「……」
緊張感がまるでない。マハサ達はあそこまで頑張っていると言うのに。
結局マハナタの部下は下に行ったようで、階段からマハナタは顔を覗かせている。
そして、改めて日向もマハサが戦っている方を向く。
「その才能は本当に面倒だな!」
「それなら良かった」
マハサの才能、これはスキルではなく戦いのだ。
今までここまで力の差があっても、かすり傷程度で防げている。
「少し攻めるか」
途端に魔王の背後に今まで出してきた魔法陣の5倍ほど大きな魔法陣が、日向達を方を向き出現する。そして、魔王はマハサに斬りかかる。
「まずいかも」
するとマハサは魔王と剣を交え、そして後ろに飛ぶ。
「カラ!」
「分かってます!」
すると、後ろに居たカラが、杖を構え、魔法陣から出てきた光線に向け、
「四割です!」
伝説の魔技をつかい、相殺する。
「ごめんね、これ、使い切らないとだ」
「そうですね」
「あと何秒?」
「三十秒です!」
「オッケー」
ドッ!
マハサの体から、MPが溢れ出す。
これは超強化と言うスキルで最初に戦った魔人、ライが使っていたやつの進化したスキルだ。
「はぁ!」
これでやっと互角。しかもMP消費は五倍である。
三十秒は耐えれても、結果は目に見えている。
「ハァ、ハァ、コルちゃんまだ?」
三十秒は一瞬で過ぎ、マハサは床にペタンと座る。MPが切れもう力が入らないのだ。
「はははは! 今日は無理にでも来て良かった。今日来なければ三年後だと手がつけられなかった」
「ぐっ!」
ドゴ!
魔王の蹴りにより、マハサは迷宮の壁に勢いよくぶつかる。
「マハサ!」
「有!」
カラはそして日向はマハサの方によっていく。ハサナも回復魔法をかける。
「大丈夫です。けど、三分が終わると……マハサは一定時間戦闘目的では出れないようです」
マハサは有に戻っており、有は情報を話す。
「そうですか。まずいですね」
「やばくないかそれ?」
マハサ達の方が戦いに慣れている。それだけでも違うのだが、三分間が終わると、戦闘目的では出れなくなるようだ。
今まで強化時間が終わると戦いが終わっていたため気づかなかった。
頼ってばかりではダメということだ。
「どうする、有」
そして白も戻ってしまったようだ。
「時間稼ぎしかない」
マハサですら勝てない、コートルはまだ来ない、逃げるのは無理。ならまだコートルを待つが一番だ。
「これで邪魔も減るな。じゃあ日向ちゃんを貰っていくぞ!」
魔王がニヤニヤとこちらに顔を向ける。
「だめ! 日向ちゃんは渡さないよ!」
「ヤーナ……」
「ふっ、だめだ、我がもらう」
そう、魔王が更に笑い、こちらに向けて歩いてきた時、
「んゔ!」
ドゴッッ!
魔王は壁を突き破り、吹き飛ばされる。
「すまん! 少し遅れたのじゃ!」
そして、コートルが謝罪と共に現れた。




