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最終日、そして戦い

 ガヤガヤと、教室が騒がしくなる。なぜかと言う、日向と有が恋人繋ぎをして歩いていたと言う目撃情報があったからだ。

 入った途端に付き合ったの? とか色々と聞かれ、日向は当然照れまくっていた。


 そして、日向は自分の席につくと、ヤーナに話しかける。


「ヤーナ、おはよ」


「おはよう! 日向ちゃん!」


「うえ!?」


 そしてヤーナはいつも通り抱きついてくる。

 日向は少し距離が空くかなとか思っていたので予想外なことに大きな声で驚く。


「何驚いてんの?」


「いや、この前のこともあるしさ」


「何言ってんの日向ちゃん! 私たちは仲良しなんだから!」


「そ、そうか」


 日向は心の中で落ち着く、気まずくなりそうで少し緊張していたのだが、そんなことはなかったようだ。


「それにね、日向ちゃん!」


「なに?」


「私はまだ、狙ってるからね、アプローチしてかないと」


「え!?」


 そう言うと、ヤーナは更に抱きつく力を強くする。

 日向は照れながらも聞いてみるが、何も返してくれなかった。



♢♢



「日向、結局付き合ったんだね」


「まあな」


 休み時間になると白に話しかけられて、日向は話すことになる。


「まあ、良かったんじゃない? 僕は精神操作されてないし、日向の気持ちはわからないけどさ」


「まあそうか、そうだな、後悔はしてないし、逆に悩みが一つ減ったよ」


 と、その時、


「何してんだ二人とも」


 有が突然、後ろから話しかけてくる。


「ん? いやちょっと話してたんだよ」


「ふーん」


 なんだよこいつ……


 いつもと違うような気がして、日向は混乱する。

 有はこう言うタイプではないはずだ。


「有、嫉妬してるんだね?」


「え? まじ!?」


「いや、まあ、すまんそうかも」


「そ、そうか……」


 お姉ちゃんの気持ちが分かったな、結構嬉しいかも。


 日向は有が自分のことを大事にしてくれているのだとわかって嬉しかった。

 きっとリオンもこんな気持ちだったのだ。


「ま、二人とも楽しそうで良かったよ、てか僕だってこの世界で遊んでもらえなくて嫉妬してたんだからな!」


「それはごめん」


「……まあいいよ!」



♢♢



「で、マハサはなんで俺たちを呼んだんだ?」


 放課後、日向の仲間全員が、公園に集められていた。

 全員ということもあり、迷宮関係なのだろう。


「なんで呼んだかはね、多分今日、少なくとも明日には、終わるから、行っておきたいことがあったんだ」


「なんで最初に言わないんだ?」


 そうだよな


 有の言葉に日向も疑問に思う。


 大事な事なら最初に行っても良かったはずだ。それなのに言ってないのが何故かが分からない。


「純粋に楽しんで欲しかったのさ、迷宮のことはあまり考えずにね」


 マハサらしいな、これは


 この世界を楽しんでほしいと思っているマハサらしい考えだ。


「そういうことか、で、なんなんだ?」


 そして有は、本題を聞く。


「えっとね、まずこれをするのは日向だ」


「俺?」


「そう、一番速いからね」


 速いといけないことなんかあるかな? 俺の知らないことかな?


「何で?」


「この世界が終わって、目が覚めたら、大きい階段があったでしょ? あそこを一気に駆け上がって、ボス部屋にいるマハナタを動けないようにしてほしい、念の為ね」


「俺だけで行って大丈夫なのか?」


 日向だけでは正直マハナタに勝てる気はしない、コートルも言っていたが、マハナタはあのドラゴンよりも強いという。そんなのに一人では勝てる想像すらできない。


「大丈夫、この世界を作るのにMPが尽きてるからね」


「ああ、そう言うこと」


 この世界を作るのにはどう見ても膨大なMPを常時使い続けるのだろう。だが、もう一つ疑問が生まれる。


「途中で終わるとかはしないのか? 良いとこまで見て終わるとかさ」


 MPが尽きてしまうなら途中でやめてしまえば良いのだ。それならMPも少しは残る。


「ないない、やめようと思ってもマハナタは辞めないよ」


「そうか、なら分かった、戻ったらすぐにやるよ。……けどマハサがそう言うんだな、何かあるのか?」


 ボス戦があるのかもしれないが、マハナタのことだ、トラップばっかりな気がする。それをマハサが伝えるのかが疑問だ。


「なんで?」


「いや、トラップとか別に嫌そうじゃなかったし」


 マハサはトラップも嫌そうではなかったのだ。何度かマハサも引っかかってはいたが、いつも笑っていた。


「そんななやつは良いけど、僕だってやばいやつは恥ずかしいんだよ」


「そ、そうなのか」


「そうだよ」


 少しマハサの印象が変わる、そう言うのは気にしないと思っていた。


「じゃあ今日は解散でいいかな、日向、よろしくね。マハナタの近くに魔人もいると思うけど、気にしなくて良いから、マハナタを捕まえたら近づいて来ないよ、マハナタ第一だからね。魔王よりも」


「……ああ、分かった」


 日向達は解散をして帰っていく。


「俺たち、もうちょっと早くても良かったかもな、付き合うの」


 手を繋ぎながら帰っていると、有がそんなことを言い出す。


「そうかも」


 日向も考えてみてそう思う。早く付き合っていれば、あそこまで悩むこともなかったかもしれない。まあそれは多分無理だっただろうが。


 そして、家の近くまで来ると、有が急にこちらを向く。


「告白はお前からだったろ?」


「そうだな……急に何だよ」


 急な質問に日向は混乱する。


「もうそろそろ終わるし、今度は俺からいくから」


 そう言い、有は日向の目線までかがむ。そして、


 チュッ


 日向にキスをする。


「な!? お前!?」


「いいだろ、恋人だし」


 なああ!! ファーストキスなのに! ……いや、恋人だし普通か?


 混乱するが、すぐに納得はする。


「まあ、いいか、じゃあ、また明日」


「ああ」


 落ち着かないまま日向は家の扉に手を伸ばす。

 するとその時、世界が紫色に光出す。


「うわ!? まさか」


 日向はわかる、多分これでこの世界が終わりなのだろう。気合を入れる。


「よし!」



♢♢



「戻ってきた? 行かないと!」


 日向は起き上がり、先ほどまであった感情がないことに虚しさを覚えながら階段を最速で上がっていく。


 そして、十秒も経たないうちに登りきり、大きな部屋に出る。


「いた!」


 最上階、そこには椅子に座ってぐったりしているマハナタと、地べたには百人は超えているであろう魔人が意識はあるが倒れている。みなMP切れを起こしているのだ。


「マハナタだけでいいんだよな、よし!」


 日向は急いでマハナタのとこまで駆け寄り、持ち上げようと、手を伸ばす。

 そのときだった。


 ズドーーーーン


「は!?」


 迷宮の天井が、爆発する。そして、天井に大きな穴が開く。


 ブワァ!


「やば!?」


 いままで、コートルでしか感じたことのないほどの、MPのオーラが、放出される。


 MPの放出、MPの量だけ強くなる威圧というスキルがある、一般的にこれで相手に強さを見せつけるのだが、その威圧が、圧倒的に多い、それこそ前見たコートルと同レベルな程だ。


「大丈夫か日向! な!?」


 そこに有が上がって来て、そのオーラに驚いている。


 そして、その大きな穴から、一人の魔人が姿を現す。


「魔王……」


「魔王だと!?」


「魔王……だよ」


 有がそう呟く。そして、同時に上がって来た白、そして美咲も、魔王という言葉を使い、驚いたいる。

 おそらく、マハサ、カラ、ハサナが言ったのだ。それしかない。


「まじかよ……」


 今、目の前にいる魔人は、ラスボスである魔王だ。


「ふ、ふふふ! はははははは!! やはりマハナタは命令を破ったか! 我が来ておいて良かったな!」


 魔王は独り言を笑いながら言う。


 そして、


「ついにこの時が来た、ようやくそこの日向ちゃ……そこの日向を我がつれさることが出来るのだ!」


「は!?」


 魔王は嬉しそうに、そう言い切った。

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