たとえ男だとしても
「ごめん、ちょっと遅れた」
ヤーナに告白された後、日向は早足で待ち合わせ場所に行く。
そこには有がもう来ており、日向は謝りながら合流する。
「いや、別に大丈夫、ヤーナとなんかしてたんだろ?」
「ま、まあな」
「じゃ、行こうぜ」
「おう」
そうして、日向達は歩き出す。
今日の予定は一旦映画を見てあとは未定、あとは好きなことをしようと言う話だ、日向としては、縁結び公園と言って勘づかれたくないため、その方が助かる。
ちゃんとできるはず! 俺は一回告白してるんだ! 失敗したけど
♢♢
やばい、どうしよう、緊張してきた!
映画が終わり、建物を出ると、日向は焦り始める。
日向は映画にあまり集中できず、ずっとどうなるかを考えていた。だが、この緊張は取れない。
考えた通り、やらないと
「じゃあさ、この後、この世界の観光でもしない? マハサももうこの世界は終わるって言ってたし」
そう、マハサに昨日メールで聞いてみたところ、最低でも後五日以内には終わると思うと帰ってきたのだ。
なので、それを使いできるだけ勘付かれないように誘う。
「そうなのか、そうだな、行こうぜ」
最初に展望台に行く事になる。
展望台とはこの町で特にでかい建物で街のシンボルとも言って良いほど目立つ建物だ。
マハサが言うには、展望台からは、この世界の端っこが見えるらしい。
「マジで見えるじゃん」
展望台に、登ると日向は驚く。
この街は大きい建物がいくつかある、そして、街の周りは山に囲われているのだが、その奥からが何もない、空だけが見える空間が広がっていた。
「凄いな……」
人生でこんな風景は見たことがない、なので、日向と有は言葉を失う。
「どうする? 次行くか?」
「そうだな」
数分経つと、日向は有に言い、展望台を出るため、歩き出す。
そして、昼ごはんをファミレスで食べると、縁結び公園での告白である。
♢♢
「……」
どうしよう! やっぱりめっちゃ緊張する! 大丈夫、昨日考えた通りにやれば良いだけ、今日だって何回も考えただろ!
案の定日向は緊張しまくりで、有にはギリ隠せているが、もうバックバクである。
「うわ、凄いな、ハートだらけ」
「お、おう、そうだな」
さっき見たけど……
日向は四時間ほど前に、ここで告白されたばかりなので、驚きは少ない。
「歩いてみようぜ」
有の提案で、この公園を、見てみる事にする。
この縁結び公園は結構広く、ハートがいっぱいあり目を惹かれる所も多いため、見て回るのも結構時間がかかる。
十分ちょっと見て周ると、日向は勇気を出して、提案する事にする。
「有、真ん中行ってみない?」
「そうだな、この公園といえばあそこだし」
誘えたー! やばい、もうちょっとで言わないと、大丈夫、どっちにしろマハナタのせいなんだ! 言い訳はできる
日向は必死に心を落ち着かせる。
そして、公園の真ん中にある、ハートの石だらけの場所に来る。そして、このさらに真ん中、公園の中央には、大きなハートの石があり、そこで告白すると成功すると言われている。
「さっきもすごかったけど、ここはもっとハートだらけだな」
「そうだな……」
「……」
だが、緊張でなかなか喋り出せない。
「あのさ、日向、話したいことがあるんだが……」
「その前に! 俺も話したいことがあってさ」
有の言葉が終わるとすぐ、日向は有に言う。
有が喋ったら、言うタイミングを逃すと思い、焦って言うことができた。
「なに?」
「あのさ、マハサが最初、何らかの精神操作がかけられてる可能性があるって言ってただろ? 俺、精神操作されてるんだよ」
「まあ、そうだろうな」
マハナタの一番の狙いは日向の為、有も何かしら有るのだろうと思っていたらしい。
「その、精神操作の内容はさ、…………有! お前のことが、好きになってるみたいなんだよ! だから、付き合ってください!」
「なっ!?」
言った、後悔はない、だが、怖い。フラれるのが怖い。
中学生の頃の感覚が蘇ってくる。
もし、これでフラれてしまったら、誰かに慰めてもらえるのだろうか。いや多分一人で泣くのだろう。
「……ホントは俺からするつもりだったが、そうか、お前も、そうだったんだな」
「ど、どう言うこと?」
「俺も、お前のことが好きだ、だから、今日告白しようと思ってたんだよ」
え? てことは、両思い?
日向は期待が膨らんでいく、いや、もう確信する。この告白は成功するだろう。
「じゃあ、答えは?」
「良いに決まってるだろ」
日向と有、この二人は今、恋人になった。
♢♢
「手、繋ごうよ」
「ん? ああ、そうだな」
告白成功の帰り道、日向はそんな提案をする。
恋人らしい行為だろうと、日向は思っている。日向が見てきたアニメなどでも主人公とヒロインの手を繋ぐ描写は結構描かれていた。
「……」
手を繋ぐと、日向の心拍数はさらに上昇する。
彼女がいなかった日向は恋人繋ぎはしたことがない。
それに、有の大きな手が、何だか魅力的に感じた。
「なあ、明日も遊ばないか? 残りももう少ないんだろ?」
「そうだな」
有の提案に日向は頷く。少しでも思い出を作っておいた方が良いだろう。日向もそのつもりだったのもあり、悩むことはない。
「じゃあ、また明日」
「うん」
そして、日向と有は、家に帰る。
♢♢
「まあ、そうだよね……」
ヤーナはハートのオブジェの後ろで、分かりやすく落ち込む。
たった今、日向の告白は成功した。
分かっていたことだが、やはり少し辛い。
「諦めないんでしょ? ポジティブにいかないと」
「そ、そうだよね、私にだってまだ、チャンスくらいあるよ!」
「そうそう!」
ヤーナも今回は諦めていたが、これからも積極的にアプローチをするつもりだ。一回で、それに相手が付き合っていても、ヤーナは諦めきれなかった。
「じゃあ、うちらも帰る?」
「そうだね」
日向達が場を後にすると、ヤーナと咲も帰り始める。
「けど、咲ちゃんほんとありがとね。お陰で日向ちゃんに告白できた。失敗しちゃったけどね」
「まあ、失敗するのは分かった上で言ったから、ちょっと申し訳ないけど」
「気にしないで良いよ!」
咲には感謝している、まし伝えられなかったら、多分今よりもっと辛かった筈だ。
「じゃ、バイバイ! 咲ちゃん」
「うん、バイバイ!」
そうして、二人は帰っていく。
「っ!……ひっく」
少しすると、ヤーナは涙を流し始める。
告白現場を見たら、また少し辛くなってしまった。
「悔しいよぉ」
♢♢
「ふふふ、良いものを見せてもらったわ、ヤーナが日向ちゃんを好きになった時は驚いたけど、良いスパイスになってくれたわね」
マハナタの世界での日向の家、そのリビングで、マナ、いや、マハナタはテレビに映像を映して、日向達を観察していた。
「初々しいって最高ね! やっぱりこっちの方がいいわね」
最初から観察していたが、本当に楽しませてもらった。最初は男同士の親友ということもあり、耐えていたが耐えられなくなり両方告白。マハサではこれはみることはできない。
「それに咲ちゃんも良いわぁ! 良い動きをしてくれたわね! 本当に」
咲の行動にはマハナタは興奮させられた、咲のお陰でヤーナの告白も見れた。
MVPと言っても良いだろう。
「あと、一日か二日、楽しませてちょうだいね。ふふふふふ!」
マハナタは笑顔で、画面を見続ける。
「そう言えば、日向ちゃんを捕まえろって魔王様の命令どうしましょう。……まあ良いわね! どうでも良いでしょ」
この世界が終わる時、マハナタのMPも尽きるので、日向を捕まえることはできなくなるのだが、そんなことより今、大事なことがあるのだ。
そして再びマハナタは画面に目を向けて眺め始める。




