咲のお悩み相談
「咲、日向の事、どうすればいいと思う?」
ある日、有が廊下の端に読んだと思えばこんなことを聞いてきた。
「なんで私に聞くの? 好きなら言えばいいんじゃない?」
咲は知っている。有は日向のことがこの世界では好きなのだ。
いつも日向の方を見ては見惚れている。
咲は周りを見ることについては自信がある。
ああ、この人はこの人が好きだな、と少し見れば分かる。
「けどさ、日向は男なんだよ、それに親友の関係でありたいと思ってるかもだろ?」
「関係ある? 好きなら、付き合いたいなら言ってもいいんじゃない?」
「…………ありがとう、言ってみるよ」
「そうだね」
「じゃあまた」
「うん、バイバイ」
そう言うと、有は帰っていった。
「これはもう付き合うだろうね」
日向も最近は特に有を見ている気がするし、日向が告白されて断ることも考えにくい。
咲は少し嬉しかった。あの二人もこれでもっとこの世界を楽しめるのだろう。
だが、同時に少し悲しくもなる。
それはヤーナが確実に落ち込むだろうと言うことだ。
教室に戻ってもヤーナはいない。
もし、有が今日告白してしまったら慰めてあげよう。どのみちそうなりそうだが、咲は心に決めることにした。
♢♢
「咲、俺はどうすればいいと思う?」
有が質問をして一日後、日向も同じ場所で咲に聞いてくる。
「有君のこと?」
「うん」
「ははは、可愛いなぁ」
咲はいつも通り日向を撫でる。
「うるせぇ」
本当にそう思う。日向は可愛くて仕方がない。今の照れてる表情もすごく可愛い。
「私わね、いいと思うよ。日向君、最近いつも見てるでしょ?」
「はぁ、バレてたのか」
「まあね」
有と同様、咲にはお見通しだ。
「だからね、好きなら言っちゃえばいいの、それで砕けても悩むよりはいいんじゃない? 悩むのは嫌でしょ?」
「けど、親友……」
「親友でも、好きなら言ったらいいじゃん」
笑いそうになった。本当に似ている。二人ともほとんど同じ内容を聞いてくるのだから。
「…………ふぅ」
不意に日向は深呼吸をする。
「咲、ありがと、覚悟は決まってないけど言うことにするよ」
「それなら良かったよ」
「じゃあな」
「バイバイ」
そう言うと、日向は帰っていく。
「これは……早めに言わないとだよね!」
言わなければ帰ってしまうかもしれない、今日は金曜日、これを逃すと、今日日向たちが付き合う可能性もあるわけだ。
日向との話が終わると、咲は教室のドアを開ける。
「ヤーナ! ちょっときて!」
「何? 咲ちゃん」
咲が呼ぶと、ヤーナはこっちまできてくれる。そして先ほどの場所まで行く。
「ヤーナってさ、日向君のこと、好きだよね?」
「え!? …………うん」
驚いた後、ヤーナは頷く。
嫌われるかもしれない。これから咲はヤーナを悲しませる事になるだろう。
だけど、負けるにしても、ヤーナは言わないと落ち込んでしまうはずだ。
「そろそろさ、告白したらいいんじゃい?」
「…………けど、覚悟が……」
「早くしないと絶対付き合っちゃうけど、いいの? もしかしたら、今日かもよ?」
もう見たら分かる、二人ともが覚悟をできた表情で咲の元をさっていった。
多分、次の日曜までには告白するだろう。
「それって…………そう言うことね! ありがと咲ちゃん! ちゃんと慰める準備はしててね!」
「分かってるよ!」
これは、嫌われることは多分なさそうだね。
ヤーナが走って行くと、咲はほっと胸を撫で下ろす。
自分の選択は間違ってなかった。
「はぁ、いい負け方、出来そうだね」
咲は、この世界の負けヒロイン、ヤーナを送り出すことが出来た。
結果、良い負け方をヤーナは出来るはずだ。
「どう慰めようかな」
せめて、全力で話し合ってやろうじゃないか。作戦会議でも、慰めるでも、全て受け止めるつもりだ。
「手助けするから、ヤーナ、頑張ってよ!」




