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遊ぶ約束

 日向がマハナタの世界に来て三週間が経った。

 相変わらずヤーナとヤクヒはグイグイと近づいて来るのが悩みではあるが、その事に関して日向はもう諦めている。


 そして日向にはもう一つ悩みが増えていた。


「は、春田さんってなんか好きなこととかあるの?」


「……」


 たじろぎ過ぎたろ。ショックなんだけど。


 そう、男子が日向に話す時や話しかけられた時、殆どがオドオドとされてしまう。

 こうなっては気まずいだけで、日向からしたら男子にオドオドされたショックもあるので尚更気まずくなる。


「あ、ああごめんね、ありがとう」


「え?」


 あ、やべっ


 日向がショックで喋らなかったせいで、相手に日向は話したくないと勘違いさせてしまい、有達が話している方に男子は逃げてしまった。


 日向は直ぐに男子を追いかける。


「ちょっと待ってくれ」


 有を含む男子達が話してるの方に行き肩を下ろしている先ほどの男子の腕を日向は掴む。


「え? 春田さん!?」


「ごめんごめん、何も頭に入ってこなかっただがだから」


「え? ああ、そうなの?」


 男子も急に日向に掴まれ、先ほどよりも戸惑っている。


「好きなことだよな? えーと、アニメ、漫画、あとゲームとかが好きだな」


「へぇ、じ、ジャンルとかはどう言うの?」


「んーと、漫画とかは少年漫画とか、まあ他も見るけど、ゲームは対戦の方が好きかな」


「けどゲームはセンス無さすぎていつまで経っても弱いけどな」


「うるせえ!」


 男子と話していると、有が横から揶揄ってくる。

 有の言ってることは本当で、日向は有と同じ時間くらいゲームをしているのに、有の方が上手い。


「え? 二人はやっぱり結構一緒に遊んでるの?」


 すると、今の会話で二人の関係が気になった先ほど話していた男子が質問する。


「まあな」


「そうなんだ」


「もう話したしいいか、じゃあさっきはごめんな」


「あ、うん」


 日向はもう話すこともなくなった為、最後に謝って自分の席に戻ろうと歩き始める。


「あ、ちょっと日向待ってくれ」


「なに?」


 帰ろうと歩いていると、日向は有に引き止められる。


「今度の土曜日に遊ぶんだけだお前もくる?」


「「「「え!?」」」」


 予想外の提案に、日向を含め、有と話している三人も驚いている。

 きっとこの三人も遊ぶ予定だったのだろう。


「いいのか? なんか、雰囲気とか」


 正直めちゃくちゃに行きたいが、先ほどのようにオドオドなったり、気まずくならないかが不安だ。

 本当にキュートの力は面倒くさい。この力が残っていなければ、ここまでではなかっただろう。


 それともう一つ日向は周りの目とかも考えてしまう。

 

「いいに決まってるだろ、気にする必要はないんだ。みんなもそうだろ?」


 有の言葉に皆頷く。


「……」


 だが、やはり考えてしまう。周りはどう思うのかを。


「じゃあ、僕たちも言っていいかな?」


「マハサ? まあ良いけど、急だな」


 日向が悩んでいると急にマハサがカラを連れ、横から割り込んでくる。


「僕たち二人でいっつも遊んでるからたまにはと思ってね! それに日向くんも女の子一人じゃ気まずいでしょ?」


「そ、そんな事ない!」


「またまた、分かりやすいよ」


 女の子扱いはやめてほしんだけど、まあ気を使ってくれたのは嬉しいけど


 どうやらマハサは気を使って言ってくれていたようで、日向としては思うこともあったが、これで一番悩んでいたことが無くなった。


「で、日向はどうするんだ?」

 

「行くよ」


 こうして、日向は次の土曜日、この世界に来て初めて有以外の男子と遊ぶことになった。



♢♢



「マハサ」


「何?」


 学校が終わり放課後になると、日向はカラと帰り出しそうになっているマハサを呼び止める。


「さっきはありがとな」


「ははは、良いんだよ。僕が遊んでみたかったのは本当だからね」


「それでもだよ」


 日向はマハサに感謝をしていた。先程の事のおかげで日向は男子と遊ぶことができた。

 マハサはこう言っているが、日向は相当感謝している。


「じゃあ俺はもう帰るから」


「ちょっと待ってくれない?」


「なに?」


 日向がお礼を言い終えたため帰ろうとすると、今度は日向はマハサに止められる。


「伝えたいことがあるんだよ」


「なんだ?」


 日向が首を傾げると、マハサは話し出す。

 

「前にも言ったけど、日向、君はもっと楽しむべきだ。周りを気にすぎるんじゃない。特にこの世界だとね」


「……分かったよ」


 そうだな、俺ももっと積極的に行かないとな、じゃないと仲良くなんてなかなかなれない。


 少し日向は考えを改めることにする。マハサは何も気にしていないのは見てわかる。

 あそこまではなれないにしろ、少し気にしすぎだと先ほども思った。


「それと、君の有くんへの気持ちもだ」


「っ!? な、なんで知って……」


 は? バレてた? 何処で?


 どうやらマハサには日向が有を好きなことがバレていたようだ。


「ははは! 僕にはバレバレだからね! 初日でわかったよ」


「まじか……」


 マハサは最初話した時、二人のことを見てもう勘づいていたのだ。


「だから、有くんに告ればいいんだよ、どうせ全てマハナタのせいなんだから」


「まあそれは良いかな、やっぱり、俺は有と親友でいたい。いや、俺じゃなくてもあいつがそう思っている筈だ」


 日向は有と付き合う気はない、日向の拘りもあるが、一番は有が日向のことを好きではないと思っているからだ。


「はは、可愛いな……じゃあ、ばいばい!」


 そうしてマハサは最後に笑い、元気よく手を振りカラを連れ早足で教室を出る。


「はぁ、なんであそこまで自由に行けるんだろ」


 日向はマハサが出ていくと尊敬を込めて独り言を呟く。


「ふふ」


 だが今はこの事を考えるのはやめにする。

 日向はこの世界で初めて男子と遊べる事をまずは嬉しく思うことにした。


「土曜日が楽しみだな」



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