親友への気持ち
「何処だここ」
有が起きると先ほどまでいた迷宮ではなく、日本にいた頃にありそうな部屋で目を覚ました。
そして直ぐにおそらくマハナタの何かなのだと思う。
一旦部屋を出てみる事にする。
有は階段を降りて、リビングだろう部屋に入る。
「あ、有、今日は早いな! ほら、早くご飯を食べて日向ちゃんの所に行ってやれ!」
「え? はい」
見知らぬ女性が、勢いよく言ってくる。
有はこの女性を知らないが、何となく状況が見えて来た、多分この世界の親なのだろう。
そして日向はこの世界にいるようだ。ならば早く会いに行かねばならない。
「お? なんか丁寧だな? 高校の練習か?」
「いただきます」
一旦有は無視をして朝ごはんを食べる、そして分かったが、マハサが居ない、と言うことはこの世界に普通の姿でいる可能性がある。
英雄三人が居ないと状況が分からないため、一旦マハサ達と会いたい。
だがその前に日向だ、
「ご馳走様」
「お、今日は早いなあ!」
そして、有は今日が入学式なのに覚えていないのかと軽く叱られたが、学校の場所を知る事ができた。そして日向の家を聞くと、冗談だと思われたらしく笑いながら隣だろと言われたので分かった。
「じゃあ行って来ます」
「おお! 行ってこい!」
そして元気よく送り出してくれた。
日向の家の前に行くと、インターホンを鳴らす、すると日向の親ではない知らない人が玄関から出てくる。
「こ、こんにちは」
「あら、有くん? 早いのね? 今日向を起こしてくるから待っててね?」
「は、はい! ありがとうございます」
そして、見知らぬ女性は、有に上がってて、といいリビングに案内し、急いで階段を上がり出す。
そして、少しすると不機嫌になり降りてくる。
「ごめんね、こんな早く来てくれたのに」
「あ、いえ、俺が早すぎただけなんで」
「ホントいい子ねぇ」
それから少しすると、早めに階段を降りてくる足音が聞こえ、音が鳴り終わると、十秒程して、日向が入ってくる。
「っ!?」
一瞬で有は異変に気づいた、可笑しいのだ、日向のことは親友と思っている、だが今の有にはそれ以外の感情が日向に向けられている。
この気持ちはなんだ? いや、分かっている。これは日向に恋愛的な感情を持っているのだ。
「あ、やっと来たわね、もう有くん来てくれてるから、早く食べて着替えなさいよ」
「え? 良かった有いたんだ」
「ああ、まあ取り敢えず行ききながら話したいから早くしてくれ」
そう言うと有は下を向く、なんだか顔を見るのも恥ずかしくなってきた。
「う、うん」
そして、日向が食べ終わると、着替えに自分の部屋に戻って行く。
一旦考える事にする。
多分これはマハナタが何かしたのだろう、有が日向を好きになる事なんて普通ない、何故なら親友だからだ、親友が女になったとてそれは変わることはなかったはずだ。
そして、着替え終わって降りて来た日向を見て有は目を離せなくなる。
なんでこんなに可愛いんだ!
女物を着ている日向はより一層可愛い、て言っても有はいつもこんな姿は見慣れている。
いつも可愛いとは思うが、ここまで目を奪われたことはない。
幸い、ガン見していた事はバレていないようでここからは普段通り接する事に力を注ぐ。
「ちょっと、リボンの付け方、教えてくだ、くれない?」
まだ全然慣れていないため、少し敬語になりかけながら、日向は女性に言う。
「この前言ったじゃない!」
「ごめんなさい」
女性は叱りながら日向にリボンを付ける。
そして有にはさらに日向が可愛く見える。
「じゃあ行くか」
「ああ」
と、日向は恥ずかしそうにしながら歩いてくる。
「行ってらっしゃい」
「「行って来まーす」」
そうして二人は家を出る。
「はぁ、まじで何これ」
日向は家を出て直ぐため息をつく。
その一つ一つの仕草がいつもと同じはずなのに今は妙に魅力的に見える。
だめだ、落ち着け、普段通りに、だ。
有はそう言い聞かせ心を落ち着かせる。
「俺もマハサが居なくなってるから分からない」
「え、まじ?」
と、有は真剣な顔つきで、頭の中では必死に冷静を保ちながら、学校まで日向と話しながら歩いていく。




