大聖女、降臨!!
「し、進化したよ」
一時間ほど探索すると休憩スペースを見つけ、そこで美咲の進化をさせようと特訓をすることに決める。
そして、三十分ほどすると、美咲のスキルは進化した。
「い、いる、頭の中に、声がする」
美咲は頭に声がすると言う、変な感覚に驚いている。
「ハサナさんに変身するかどうか聴いてみて」
有達は決めていた、変身してしまうと1日は使えなくなる。もしその状態で、次の会に行ってしまうと、もし何かイベントがあったりボス戦だった場合少し不利になってしまう。
それでも約三百年も待ったのだ、なので本人に有達は決めてもらう事にした。
それで変身して、階層に上がる所を見つけたら上がらず、クールタイムが終わるまで待てば良いと。
「うん………………変身したいって言ってる」
「なら身体を預けて見ようか」
そう有が言うと、うん、とだけいい、ハサナと変わり、それと同時にスキルを使う。
「っ! なんで!?」
何故か有や白のように、光るわけではなく、黒とピンクが入り混じった色で、包まれる。
可笑しくないか? この世界で姿が変わったりする時は大体黄色に光るのに。
ボスでも出てくるのではないかと言う、雰囲気に、日向は息を呑む。
すると、
「はっはっはーー!!!! 大聖女、降臨!! どーーーーん!!」
最後にブワッとオーラを放ち、ピンクの髪を背中まで伸ばした大人っぽい声の女性が高々と笑いだす。
「久しぶりー! ハサナ!」
「久しぶりです!」
変身をして入れ替わったマハサが、ハサナに抱きつき、同じく変身をして入れ替わったカラが近寄っていく。
どうせ変身するのだ、あまり変わらない。
「久しぶりね!」
三人は再会を喜んである中、日向は少し驚いていた。
「この人が、ハサナさん?」
何故驚いているかと言うと、日向の持つハサナのイメージと違ったのだ。
日向はハサナの事を、お姉さん枠として認識していた。絵や銅像なんかも結構大人ぽかったし、英雄譚を聴いた時も、こんな感じではなかった。
だが、今のハサナは結構はっちゃけている。
「そう、私が漆黒の癒し係! 大聖女ハサナよ!」
日向の声が聞こえていたハサナが、こっちを向いて、言い放つ。
「は、はぁ」
漆黒の癒し係とは?
聴いたことのないフレーズにまたもや日向は困惑する。
「えっとね、ハサナはかっこいいのが好きなんだよね。イケメンとかじゃなくて、言い方とか演出とかのほう」
「なんか、イメージが少し崩れるんだけど」
日向は癒し系枠だと思っていたので、すこし違和感があった。
だが、それでどうとか言うことはないので、別に何も言わない。
「じゃあ自己紹介するか」
そう日向がいいハサナへの自己紹介が始まる
♢♢
ハサナが復活して自己紹介もやり終え、どうせ安全なのだから探索しながら話そうと言う事になった。
なので今、前に日向と美咲、後ろにマハサ、カラ、ハサナの並びで歩いている。
そんな時にハサナが少し興奮気味に話し出す。
「ねぇねぇマハサ、日向君って可愛すぎない?」
ハサナが唐突にそんな事を言う。
先ほどから咲に触られたりして言い争っている日向を見てハサナは思った。
可愛くない? と、
「そうだよね! だけどこんなもんじゃないよ、有君の前で時々見せる甘えん坊モードを見たら本当に可愛すぎるから」
「気になるんだけど!」
そう言うのは本人の前で言うもんじゃないでしょ。
そう言われてしまうと照れてしまう。やめてと言いたいのだが、ハサナとは話した事があまりないので、言いづらい。
「ちょ、ちょっと、そんな可愛い可愛い言わないで、くれないっすか?」
だが、言わなければずっと恥ずかしいので、日向はマハサ達の方を向いて、気まずそうにお願いする。
「凄いのね、全部可愛く見えちゃう」
それでもハサナは遠慮なく可愛いと言う。
可愛いと言われるのは少しは慣れたが、恥ずかしいのは変わらない。
「そうですよね! 日向君は怒ってる時も不貞てる時も、可愛いんですよ! あ、そうそう、甘えてる時の動画ありますよ!」
咲が話に入ってきて、興奮気味に日向の可愛いを語る。
そして、保存している動画を探し出す。
「ダメダメダメダメダメダメ!!!! ダメに決まってるだろ!」
見せるわけにはいかないだろ! て言うか甘えてねぇ!
日向も有にくっ付いている動画は見せられたくないので本気で拒否する。
「日向ちゃんの事、知ってもらわないとでしょ!」
「許可をとれ、許可を! 見られたくないもん勝手に見せるんじゃないよ! あとちゃんつけるな!」
咲は基本的に勝手に見せてしまう。そもそも基本的に言っても聞かないのだが。
「あ! もう移しちゃった」
日向の方を見ずに、わざとらしく、咲はいう。
壊してやろうか、いやそれはダメか。
日向は魔法を破壊する能力はあるが、こんな事で出せるほど小さい魔法ではないので、画像を見せなくするために、ハサナの前に立ち塞がるしかない。
「ちょっと退けてくれない?」
ハサナも少し気になるようで、日向に言うが、当然退ける筈がない。
「見ても、別に良い事ないから、見ないでくれ!」
だが、立ち塞がる日向に咲に抱きつかれて止められてしまう。
「退けろ! 人が恥ずかしがるとこを見て楽しいのか?」
必死に咲を離そうとするが、日向の方が力が強いが、抱きつかれているので離れない。
「楽しいに、決まってる、でしょぉぉ!」
こっちも必死に日向に抱きついて、何とか止めようとするが、流石にジリジリと前に押される。
「マハサさん!」
「ごめんね!」
そこにマハサも加わり、日向を止める。
そうなると日向は力で勝てるはずはなく、止められてしまう。
「離してくれ!」
そう訴えるも離されることはなく、動画は再生されてしまった。
だがその時、急に日向を止める力が弱くなる。
「なあ咲、また日向を泣かせる気か?」
マハサが有に変わる。
有の方が優先度は高いため、日向を可哀想と思った有がマハサと変わったのだ。
「ご、ごめん」
興奮していた咲も有に言われたことで少し落ち着き謝る。
咲も泣かせようとは思っていない。日向を見て欲しかっただけだ。
「ハサナさんも、日向すぐ泣くんで、あんまりいじめないであげてくだい」
「そ、そうなのね! ごめんなさい少しはしゃいでたわ」
ハサナも変わっているのには気づき、申し訳なさそうに謝る。
そして、有は頭の中でマハサにも注意すると、また入れ替わる。
「ごめんね、少しやりすぎたよ」
マハサも注意された理由を理解しているので、すぐに日向に謝る。
「俺……ない」
だが、日向はそれどころではなかった。先程の有の発言が頭から離れていない。
「俺、泣かない!」
そんなすぐには泣かないよ。俺だって十五歳だし。
有のすぐ泣く発言に、日向は納得していない。
今半泣きなのは一旦置いといて、流石に高校生にもなってすぐ泣くと言われるのはプライドが許せない。
「も、もう進もう!」
だが、言っても信じないのはわかっているので、気を取り直して探索に進む事にする。
「ごめんね日向君」
「もう気にしてないよ」
謝る咲も、すぐに許して、日向は少し溜まっている涙をバレないようにぬぐい、探索に進み出す。
そしてその後ろではマハサとハサナがバレないように小さい声で話し出す。
「少し悪い事をしたね」
「そうねぇ」
マハサはハサナとの再会で興奮していた。そこに日向のスキル、キュートの力が合わさって抑えられなくなっていたのだ。
「けど、日向君は普通に見てるだけでも可愛いからね! そんな無理に行がないようにしよう!」
「そうよね! そうしましょう!」
「それに、多分何もしなくてもいつかは、あのモードを見れるから、それを楽しみにしてなよ!」
日向は今後も咲に触れ回されるだろうし、マハナタにも目をつけられている。
無理に見に行く必要もないのだ。
「そうなの! じゃあ楽しみにしてましょう」
少し残念そうだったハサナもそれを聞きテンションが上がったようだ。
「だから、もっと本人に聞こえないようにしてくれよ」
今の会話は日向にかからないように話していたが、日向はガッツリと聞こえていていたため再び注意をする。
「ごめんごめん。あ、そうだ、仲も深めないとだし、僕とカラは有君と白君に変わるから美咲ちゃん以外の四人で、ハサナと話しなよ!」
マハサは軽く謝ると、急にそんな事を言い出す。
これからは五人でいる時はハサナも美咲の身体に居る。それにこの迷宮で入れ替わることもあるかもしれない、だから直ぐに仲を深めて損はない、そう思いマハサは提案する。
「それはいい案ね!」
ハサナもその案には賛成で、マハサの提案に乗る。
「まあ、そうか」
「良いですね!」
そして日向、咲も賛成をする。
「決定だね。じゃあカラ、入れ替わろう」
「うん」
そうして、マハサとカラは有と白に入れ替わり、五人での仲を深めるために、話し出す。




